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ダンジョン防衛作戦、第十六階層①

短いかも?


一部間違いがありましたので訂正します。


◆ダンジョン コアルーム カゲマサside



俺は、第十二階層の惨状を見ながら第十一~第十五階層の様子を平行して見ていた。見ながら俺は、少し冒険者達に同情する。


「随分と楽勝だな」


第十一階層では、タマモによる上空からの爆撃で身を焼かれ、配下のモンスターによって身体をバラバラにされて喰われていった。更には、骨をフリスビー代わりにされて犬型モンスターの玩具になっている。


第十二階層では、クーハによって首だけを刈り取られていった。この階層だけは、どうやら強者が混ざっていたようで幾つかの兵士が討ち取られたが、その後やって来た上級兵士の部隊に討ち取られた。


第十三階層では、ハザルによって冒険者達がドンドン潰されていき、私兵団に至っては凄惨な目にあっていた。中には、頭だけを取られてお手玉代わりとされたものもいる。


第十四階層では、レオーネが一人だけで冒険者+私兵団を相手にして全員返り討ちにしていた。その戦いぶりは、手に持つ大剣で複数の冒険者を真っ二つにして、獅子の牙で冒険者の肉体を噛み砕き、爪で切り裂いていった。正に蹂躙だった。


第十五階層では、ポイズン他スライム達が冒険者+私兵団達を溶かしていき、ワイズが子供特有の無邪気な残酷さで人間を解体、その後はつまらなくなり暴れている。


「何故だ?ワイズや〈狂星〉はともかく、少なくともランクC冒険者も少なからずいたんだ。ここまで楽勝になるか?」

「マスター、我らと人間とでは種族差があるのでは?ドラゴンとゴブリンジェネラルを例にとれば」

「確かに両方同じランクCだが、ふむ、種族差ねぇ」


シロの予想に俺はいまいちピンと来なかったが、取り敢えず肉体性能に差がある程度に捉えておけば良いだろう。それよりも第十一~第十五階層についてだ。


「それよりもシロ、各階層はどうなった?」

「ゴブイチ担当の階層は、掃討戦に移行しています。ワイズの担当階層に至っては、もはや全滅に近いです」

「そうか。よし、次はゼクトの担当階層に目を向けるか。どうなっている?」

「はっ、ゼクトの担当階層に侵入した者達は、大体が密林を彷徨っていますが、幾つかのグループは兵士の部隊とぶつかっています」

「わかった。···ゼクトの実力を信じるしかあるまい」


俺は、今更不安を覚えながらもゼクトの担当する第十六~第二十階層に目を向けた。















◆ダンジョン第十六階層 毒素密林



ダンジョン第十六階層に存在する密林、そこには濃い毒素が蔓延している。そんな密林を冒険者+私兵団達は進んでいた。彼等が一重に毒素漂う密林を進めているのは、ヤーコプから渡された毒の効果を抑える魔道具のお陰であった。


「まさか、ヤーコプ副長の魔道具に助けられるとは思いもよりませんでしたわ」


そう呟くのは、パークスと同じランクB冒険者であるガルシア・トレービーという女冒険者である。彼女は、元はロシフェル聖王国の聖堂教会所属の神官だが、訳あって冒険者になった経歴を持つ。


「ガルシアさん、ヤーコプ副長が気に入らないのはわかりますが」

「わかっております。···しかしこの密林は、毒素が酷いですね。普通の人間が耐えられるものではありません」


ガルシアは、密林に漂う毒素に眉を潜める。余りにも濃厚な毒素の漂う空間があまり好きではないようだ。


そんなガルシア達が進んでいくと、上空から数体の虫型モンスターが飛来する。


「っ!ガルシアさん、あれは!?」

「···ウィンドフライですね。皆さん、風魔法に注意してください」


ガルシアは、注意喚起しながら数体のウィンドフライを《鑑定》する。



名前

種族 ウィンドフライ

職業 偵察第三小隊構成員

レベル 10

ランク E

スキル 風魔法 飛翔 念話 毒耐性



「···偵察第三小隊?」


職業欄にある偵察第三小隊の文言に少し困惑しながらも、気を取り直してウィンドフライと向かい合う。


「へっ!たかがランクEの雑魚じゃねぇか!俺の弓で落としてやる!」


そう言ったのは、ヤーコプの私兵団構成員で弓に手を掛け、矢を引き絞る。


「喰らいやがれ!」


矢は真っ直ぐとウィンドフライに向かい、軌道を変えて明後日の方向に飛んでいった。


「なっ!?」

「··風魔法で矢の軌道を剃らした?」

「モンスターの分際で!?」


私兵団達は、ウィンドフライの為したことを信じられないとばかりに叫び、戸惑う。


「皆さん!あのウィンドフライには、矢は効きません!ここは私の魔法で落とします!【セイグリッドアロー】!」


そこでガルシアは、自分の魔法で落とすことを選択。直ちに【セイグリッドアロー】で数体のウィンドフライを撃ち落とした。しかし一体だけ辛うじて逃がしてしまう。


「おお!さすがはガルシアさん!」

「すいません、一体だけ逃がしてしまいました」

「いえいえ、お気になさらず!さあ、進みましょう!」


他の冒険者パーティーの言葉で全員の士気は上がった。しかしガルシアの胸中はというと。


(彼等は偵察部隊、つまり本命はこの後やってくる。私が力を見せてしまったから、敵は恐らく最高戦力を投入してくる可能性が・・・!!)


と、不安が渦巻いていた。そんなことを知らない他の人間、主に私兵団達はズンズンと奥へ進んでいく。


「へっへっへ、待ってろよお宝ぁ~。俺が存分に役立てて、ん?」


そんな中、私兵団の一人が空を見上げて、何かを見つける。


「何だありゃあ、ん~、玉か?あれ?なんか近付いて」


それが私兵団の一人の最後の言葉となった。頭上から降ってきた大きな玉、いや種に潰されたのだ。


「っ!?総員一塊になってください!警戒を!」


ガルシアは、不安で警戒を怠ったことを悔いる。そして回りの冒険者達に指示を出して、一塊になる。


「まったく、困ったもんだぜ」


その声が種の中から響いた。種は、ゆっくりと真っ二つに割れて中にいた存在がのっそりと出てくる。


「···なっ!?」


ガルシアは、思わず声を出してしまったが、それほどまでの存在が現れた証拠だった。


全身は蔦だらけで体表は濃い緑色、まるで丸太の二倍以上ある太さの腕や脚、体長八メートル以上ある体躯。そして太い腕を易々と切り離せそうな巨大な斧、何より此方を見る殺気に満ちた目。


「テメェ等だよな?報告にあった侵入者は」


その緑色の巨人は、ガルシア達を睨みながら質問して。


近くにいた私兵団達を斧で切断、殺害した。


「っ!総員散開、毒耐性の魔道具を落とさないよう注意を!」

「侵入者は、皆殺し。さあ、お前達もダンジョンの贄となれ!」


ガルシアは、冒険者達に散会を指示したと同時に緑色の巨人は、突進を開始。先程まで固まっていた場所の大地を抉り、巨木を薙ぎ倒しながら止まる。


ガルシアは、その隙に敵を《鑑定》して、軽く青ざめた。


「···ついてませんわ。私」



名前 プラギ

種族 ギガ・プラントマン

職業 〈百魔〉 第十六階層二番領域守護者

レベル 41

ランク A

スキル 植物魔法の達人 魔力吸収 生命吸収 魔力障壁 超速再生 身体能力強化etc.



ガルシアは、初めて遭遇する強敵を前に己の運を呪ったのだった。


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― 新着の感想 ―
[気になる点] 「わかった。···キラーの実力を信じるしかあるまい」 恐らくキラーじゃなくてゼクトだとおもう。
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