閑話 聖邪の神々
閑話です。
色々追加しました。
時は少し遡り、邪神によってカゲマサが異世界に飛ばされた後だった。
「ふい~、危なかった危なかった」
黒髪に黒いシャツ、黒い短パン、顔の上半分を覆う黒い仮面をつけた少年の姿の邪神は一仕事終えたように額を拭う。
「あの真面目馬鹿で聖人気取り年増ロリの目を盗むのは苦労したけど、何とかいったな。ふふふ、これで僕の陣営も面白くなるぞぉ〜」
「何が面白くなるですって?」
その声が聞こえた時、邪神は体を硬直させ、顔をギギギギと後ろに向ける。そこには、邪神とは違い白く長い髪に白いシャツ、白いスカート、顔の上半分を覆う白い仮面をつけた少女が立っていた。仮面で分かりづらいが、怒りを抱いている。
「教えてほしいわね。何が面白くなるのかをねぇ?」
「ハ、ハハハハハ。な~んだ、いたんだ聖神ちゃん。何か用?」
邪神は、聖神と呼ばれた少女に笑いかける。だが、その場しのぎの笑みだというのが丸わかりだった。
「じゃあ、用件だけ言うわ。貴方ねぇ、私が召還する予定だった勇者候補の一人を召還したでしょう?」
「サ、サア~ナンノコトカナ?」
「嘘を言っても無駄よ。貴方と勇者候補の一人が話しているところバッチリ見たわよ?生憎異世界召喚を止めることは出来なかったけど」
邪神はしばらく黙る。そして。
「てへペロ♪」
邪神のふざけた顔に聖神の鉄拳が炸裂した。
「で、何で私の勇者候補を召還したの?」
邪神は正座で、聖神からの尋問を受けることになった。邪神の顔は、聖神の鉄拳によってたんこぶだらけになっている。
「暇潰しだよ!」
「満面な笑みで言いますか貴方!?第一、人々を邪悪から守る勇者を邪悪側に召還するなんて一体何を考えてるのですか!?」
聖神は、心底信じられないとプンスカプンスカと怒っていた。
「いいじゃん別に。大体そっちは召喚し過ぎなんだよ!一時期、こっちの新しい子供達が全滅しそうだったんだぞ!?」
「それは貴方が、面白がって世界規模のスタンピードを起こしたことが原因でしょうが!」
「何を!」
「やりますか!?」
二柱の神は、しばらく相手を罵り合った。
「はあ、はあ、はあ、何か不毛な戦いをした気分だよ」
「・・・・遺憾ながら同意します」
「ねえねえ、今君の勇者候補君の様子見たくない?」
「そうですね。確か魔人にしたとか言ってましたが、どうなってい・・・ます・・・・か・・ね」
邪神が見せたモニターには、カゲマサが映っている。だが、聖神が注目したのはカゲマサの魔力量だった。ランクCにしては、魔力が膨大すぎるのだ。それも並の勇者を遥かに越えて。
「何ですかこれは!?」
「わお、カゲマサ君凄いね。もうこんなに強くなっちゃって」
「何でそんなに平然としているのです!?」
「いや~、だって君が勇者に成長促進を促すならさ。こっちだってやるよね。」
「ま、まさか!」
「うん。カゲマサ君の成長速度を倍にしちゃった。君もしてるし、おあいこだろ?」
聖神は、顔を真っ赤を通り越して、真っ青にした。
「ま、た、あ、な、た、はァァァ!!!!光と闇のバランスを壊すつもりですかァァァ!!」
「ハッハッハ、もうやっちまったから何もできないよ?神が地上界に干渉するのはルール違反だしねえ?」
「・・・分かってますよそれぐらい!」
聖神は、邪神を睨みながら答えた。それを邪神は、ニヤニヤしながら見ていた。
「うぷぷ、やっぱり君をイジるのは楽しいなぁ。少しは仕返し出来ただろうか」
「貴方はですねぇ!」
「アハハハ、怒鳴っても無駄だぜ?なんせ、“創造のジジイ”が何も言ってこなかったんだ。つまり、これは合法なんだよね!」
「・・・ああ、我等が父よ。何故邪神をこのような陰険な糞ガキにしたんですか」
「そりゃあ僕が邪神だからでしょ!そんなことも分からないの?年取りすぎて頭がアッパラパーになった?ねぇ、年増ロリよ」
「この糞ガキャアァァァ!!!!」
その言葉を皮切りに邪神と聖神の大喧嘩が勃発した。
次回も、閑話を挟みます。すみません。
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