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赤き怪人③

戦闘描写って、やはり難しい。


◆港町セイワン 路地裏の広場 カゲマサside



《冥針剣・針山地獄》。


俺が身体欠損を治療させる実験の為に購入した奴隷の中にいたアンという女性を殺害した技。故人であるアンの記憶には、同じ技を使う存在が“騎士(ナイト)”と呼ばれていたとあった。そして記憶で見たままの技を放ったコイツを俺は、“騎士”と断定した。


「おやおや~~、私のことをご存知で?♪だとしたら素晴らしい偶然ですねぇ♪」

「俺からすれば最悪だ」


本当に最悪だ。かつて“冥府教”の下級幹部だった“四兵士(ポーン・フォー)”の内の一人であったブラッドの記憶を抜き取った際に、“騎士”は強さで言うと、少なくとも故人である上級幹部“僧正(ビショップ)”より遥かに格上とされていた。


それを聞いた俺は、“騎士”の強さをランクSのレベル50~90あたりと推定し、鍛練を重ねてきたが全て遅かった。今の俺はレベル25なのだから。ランクSになってからというもの、成長スピードが減速したのが響いていたのだ。


「···チッ、本当に嫌な時に来やがって。【クリムゾンジャベリン】」


俺は、牽制目的に【クリムゾンジャベリン】を放つが。


「ふふふふふふ、無駄ですよ無駄ぁ♪私を焼き殺したかったら、地獄の炎でも持ってきなさい♪」


“騎士”は、持っていた剣で【クリムゾンジャベリン】を真っ二つにする。そして一気に俺の懐へ踏み込んだ。そして俺の腹に一突き。剣が俺の腹を貫通した。


「···テメェ!」

「地獄の炎、私が手本を見せて差し上げます♪《冥炎剣・灼熱地獄》♪」


俺が“騎士”のスピードに目を見張った瞬間、俺の腹から俺の【クリムゾンジャベリン】が生温い程の高温の炎が吹き出した。


「ぐああああぁぁぁぁ!!」

「ふふふふ、熱いでしょう♪苦しいでしょう♪ならば、死になさいな♪私は、貴方の死に様を見て貴方を嘲笑いたいのです♪」


“騎士”は、悲鳴をあげる俺を見ながら嘲笑する。












◆“騎士”side



(《冥炎剣・灼熱地獄》♪高出力の炎を剣から放出させて敵を焼き殺す技♪威力は調節可能でじわじわ苦しめるのも、一瞬にして蒸発させるのも思うがまま♪我ながら素晴らしい技を身につけたもんですねぇ♪)


そう考えながら燃える男を見る。


(······ん?♪)


しかし“騎士”は、あることに気付く。


(何故倒れないのです?♪)


人間が受ければ、間違いなく数秒で炭になる筈だ。


(あ♪私としたことが、《鑑定》を忘れてしまいました)


咄嗟に思い出した“騎士”は、ニヤニヤしながら炎に近付く。そして。


「さてさて♪貴方の素性は一た···もがぁ!?♪」


首を捕まれた。目の前の燃える男に。


「···よくもやってくれたな··!」

「ぐ、おお!?♪」


“騎士”は、まさかの事態に驚き半分歓喜半分となり、嬉々として話しかけた。


「ふ、ふふ、ふはははは!♪よくぞ耐え抜いたものですねぇ!!♪貴方、もしかして人間じゃなくてモンスターが人に変化した存在ではないでしょうかぁ!?♪」

「うるせぇ!」


“騎士”が煽るように聞くと、燃える男は質問をかき消すように叫ぶ。その瞬間、視界がひっくり返った。そして頭から地面に叩きつけられる。


「ごふぅ!♪痛いですねぇ!♪」

「だったらもう少し痛そうにしろよ!」


再び男によって持ち上げられた“騎士”は、今度は氷漬けにされ、灼熱の槍によって貫かれたのだった。














◆再びカゲマサside



いきなり身体の中から燃やされた時は焦った。回復魔法の【メガヒール】とスキル《超速再生》と鍛練の合間に習得した《炎耐性》《放熱》《水分貯蔵》などによって、どうにか命を繋げたぜ。


さて、《冥炎剣・灼熱地獄》を凌いで、“騎士”の頭を地面に叩きつけて、【アイスロック】で縛り【クリムゾンランス】で粉砕したがどうだろうか?


「ふ、ふふふふ、ふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふ、ふふふふふふふふふふふふ、ふははははははははははははははははははははははははははは、ははははははははははははは!!!!!!!!」


げっ、なんだなんだ!?急に笑いだしやがって!!


「ははははははははは!!····ふ~♪いや、すみませんね~♪何せ久しぶりに肉体の損傷が起こったものですから、気持ちが昂ってしまいました♪」


バラバラになった“騎士”だが、まるで気にしていないように話し始める。


「ふ~む、これは怒り?♪殺意?♪嫉妬?♪う~ん、様々な悪意が混ざって解りにくいですが、一言言っておきましょうか♪」


すると“騎士”の身体が紫色に輝き出す。


「ありがとう♪それしかありません♪私に久し振りの特大な悪意をありがとう♪」


紫色の光が収まった時には、バラバラになった“騎士”の身体が綺麗に消え去っていた。


『今回はこれぐらいです♪次回合間見えた時には、本気でぶつかりましょう♪特大の悪意、楽しみにしてますよ♪』



夜空に響く声を残して。


俺は、少し寒気を感じながらも、その場から逃走した。

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