表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
148/302

帝都からのお呼びだし


◆セブンス帝国 帝都セプト カゲマサside



 俺は今セブンス帝国の帝都セプトに来ている。どういう訳か、ナナさんから呼び出されたのだ。経緯を簡単に説明する。


『今から大事な会議があるので来なさい』

『え、嫌です。今から特訓を』

『来なさい』

『え、あの、だから』

『こなければ、ランクSモンスター十体を貴方のダンジョンに向かわせます』

『行かせていただきます!!』


 まあ、簡単に言えば脅されて来た訳である。これが、弱者の宿命か…。


「ランクSが十体・・・。ナナさんだからあり得そうなんだよなぁ」


 俺は、ため息を吐きながら帝都を歩いていく。帝都は、何処も市民や冒険者、商人、兵士が行き交い賑やかだ。まあ、帝国の首都だしこんなものだろう。


「確か、この喫茶店で待つんだったよな」


 集合場所として提示されたのは、帝都にある喫茶店でも有名らしい。名前は、『喫茶セプト』。俺は店内に入り、店員に適当な飲み物を頼む。そして数分後、出されたオレンジジュースらしき飲み物を飲みながら待っていると、


「お待たせしました」

「・・・まさか貴方とは。ロロさん」


 ナナさんの側近である少年執事ロロ・セブンス。見た目麗しい少年だが、内面は何らかのモンスターだろうな。


「では行きましょう。ナナお嬢様がお待ちです」

「へいへい。店員さん、勘定お願いします」


 俺は、勘定を払いロロさんに付いていく。やがて帝都の象徴である皇宮にロロさんの顔パスで入っていった。因みに俺の服装は、何時もの茶色外套に仮面という怪しさ満点のスタイルだ。

 皇宮を歩いている時、俺は気になったことを聞いてみる。


「・・・あの、ロロさん。俺は一体何の為に呼ばれたので?」

「貴方は以前、お嬢様より〈帝将〉の地位を預かりましたよね?」

「ああ、確かに。そんな地位に着かされた気が」

「今日は〈帝将〉が護衛に付かなければならない重大な会議があります」

「へ?」


 〈帝将〉。セブンス帝国における武の象徴。七人のみがその座に付けれる。以前は六人いたが、内五人が反乱を起こして、ナナさんに始末されたとか。俺がランクSになった途端話が来たので、選定基準はランクSだと思われる。


「その重大な会議、とは?」


 ロロさんは真剣な表情で、口を開いた。


「西方大陸の有力者が集う西方諸国会議です」



















 俺とロロさんが会議室に入室した先には、数十人の西方諸国有力者、というか王様達がいた。頭に王冠のせてたらわかるよ。あ、フリン公国のフィナロムス殿下に俺の管理下にある国、エルザムの女教皇セレスもいるぞ。


「おお、帝将ロロ殿」

「はて、隣にいる茶色の男は?」

「ご存知ありませんか?新しく帝将になったカゲマサ殿ですよ」


 その話を聞いた各国首脳がひそひそ話をしていた。あ、フィナロムス殿下が気付いた。セレスも。俺とロロさんが、大会議室の一番奥に座っていたナナさんの後ろに付くとナナさんが宣言する。


「それではこれより、西方諸国会議を始めます。今年も実りのある会議にしましょう」


 そして会議が始まる。内容は良くわからなかった。俺は会社勤めだったが政治はからきしだったし。しかし、断片的には聞き取れた。やれ農業やら、やれ経済やら、やれ外交やら、やれ多数決で判決やらと様々だった。

 俺が少し眠気を感じ始めた時、会議のテーマが軍事関連に変わっていた。


「実は、最近我が国で盗賊団の出没が相次いで降りましてな」

「なんと、我が国もですよ。首領は貴族の子弟なのが頭に痛い。余計な知恵を働かせて鎮圧に時間が掛かっていましてな」

「我が国の国内では平和そのものですが、最近南西部の敵国からの密偵が入りこんで来ており・・」


 う~ん、西方諸国もそれなりに苦労してんだな。

 俺がそんな呑気なことを考えている時、一人の王が意を決したように立ち上がった。


「ナ、ナナ・セブンス皇祖殿!」

「あら、ナデラン王国国王、どうなさいました?」


 立ち上がってたのは、白髪に白い髭を生やした不健康そうな爺さんだった。


「じ、実は我がナデラン王国に南西部のサタリム王国が侵略を開始しようとしています!な、何卒ご助力を!」


 ナデラン?サタリム?何処だ?俺は、小声でロロさんに訪ねる。ロロさんは、同じく小声で教えてくれた。

 ナデラン王国。西方大陸の南よりにある国で、漁業が盛んだとか。軍隊はそれなりで、南西部に広がる砂漠地帯にある敵国の侵攻をなんどもはねのけているとか。しかし、最近は戦がなかった為に平和ボケ。軍隊の規模を縮小したらしい。

 サタリム王国。西方大陸の南西部にある国家で、南西部屈指の軍事国家。過去にも何度か攻めてきているが撃退されていた。兵器生産や魔法研究、奴隷商売が盛んに行われており、最近では新兵器を開発したとか。砂漠地帯の国ゆえか、農業や漁業などの産業は比率が低い。ナデラン王国を攻めていたのも農業が出来る土地を求めた故らしかった。


「なんともまあ」

「密偵の報告によれば、サタリム王国の食料事情はかなり深刻です。軍事力拡大の影響でしょうね。後が無くなってきたサタリムは、動かせる全戦力を持ってナデランを落とそうとするでしょう」

「具体的にはどの程度の戦力で?」

「サタリムの戦力は、今までは一~二万程でしたが、今回は六万以上ですね。おまけに新型の兵器や魔導師を多く抱えているので、今のナデランでは滅ぼされてしまいます」

「ナデランも運が無いですね。軍事力縮小した矢先にこれですか。というかロロさん、なんで今の動きを詳しく知ってるんです?」

「今サタリム軍の様子を《千里眼》で見てますから」


 なにそのスキル、俺も欲しい。そんなことを考えている内に、ナナさんとナデラン国王の話が終わったらしい。


「分かりました。報酬は後程。カゲマサ、少し聞きなさい」

「はい?なんですか?」


 なんだろう。すごく嫌な予感がするのだが。


「ナデラン王国にかわり、サタリム軍を滅ぼしなさい」

 

 やっぱりなァァァァァァ!!!!


良かったなら高評価、ブックマーク登録、感想、誤字報告等、お願い致します。励みになりますので。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ