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1ヶ月、聖邪の語らい


◆カゲマサダンジョンコアルーム カゲマサside



 〈魔の夜会〉が終わってから1ヶ月が経過した。俺のダンジョンは、順調に拡大・強化を続けている。モンスターの繁殖・育成は勿論、人工魔人の製造、武器や兵器の製造、ダンジョン内のトラップ増設、等々といった感じである。

 追加事項としては、以下のことを行った。


 ダンジョンの外に迷宮攻略軍を駐屯。ダンジョン内のモンスターが余りにも多くなりすぎた為、外に出そうとなったからだ。ダンジョンを掘ることも考えたが、アリ系統のモンスター達がやたらと内装に拘り時間がかかりそうだったため断念した。以後攻略軍は、野良モンスターを装って人間の動向を監視したり、怪しい輩の拉致・殺害を目的に動いていく。

 幹部の名称の簡略化。〈六将〉はそのままだが、〈階層二十狂星〉を〈狂星〉に。〈領域百魔隊長〉を〈百魔〉とした。自分で名付けたが、長かったので止めた。

 組織表の作成。これは組織の確認を込めて作成したもの。



1.黒木影正→別枠の迷宮研究所、迷宮近衛隊

2.〈六将〉。シロ、クロ、ゴブイチ、ゼクト、ワイズ、キラー

3.〈狂星〉。オニメ、マキア、ルシファ、カース、ツリー、スピノ、リューゾウ、アラネ、ウリエル、レオーネ、クーハ、イフリート等々。

4.〈百魔〉。ランクBモンスター達。

5.上級兵士。ランクCモンスター達。

6.兵士。ランクF~C-までのモンスター達。



 こんな感じになった。因みに迷宮近衛隊と迷宮研究所は含まれていない。俺の直属組織らしいが、そういうものだろうか。

 以上が追加事項として行ったことである。で、今俺が何をしているのかというと。


「もぐもぐ・・・・。上手い」

「ありがとうございます、御主人様」


 俺の奴隷であるマヤの手料理を食べていた。今回のメニューは、鳥の照り焼きにご飯・味噌汁・麦茶といった物である。


「しかし、大分上達したよなマヤ」

「いえ、まだまだです。この料理本の通りにしないと、作れませんから。いずれ越えるものをと」


 マヤに渡したのは、DPで召喚した日本の料理本である。確か、クックなんちゃらとか言うサイトの料理をまとめた本だった気がする。マヤには、偶然見つけた本と偽っているが。


「そうか、楽しみにしてるよ。職場はどうだ?上手くやってるか?」

「はい、皆様優しい方ばかりです。偶に体目当てに襲い掛かってくる輩もいますが」

「え?大丈夫か?それ」

「ナタリアが居ましたから」


 その言葉に俺は安心して、鳥の照り焼きを再び食べ始める。その後は、マヤと他愛無い会話を繰り返した。


















◆ここではない何処か 三人称。



 地涂ではない何処か。そこに邪神はいた。顔上半分を覆った仮面に黒いシャツ、黒い短パンといった様相の邪神は、嬉しそうに呟く。因みにシャツに書かれていた『可愛い子には旅をさせよ』という言葉が『過信、駄目絶対』に変わっていた。


「ふむふむ、順調に成長しているねぇ、カゲマサ君。期待以上だよ、ハッハッハッハ!!いや~、彼が聖神のような暴力ロリ年増なんかに取られなくて良かった良かった!あ~はっはっはっは!!」

「聞こえているのですよ!ショタ爺!!」

「アウチッ!?」


 邪神が高笑いをしている背後から、白い腕による鉄拳が炸裂。邪神は倒された。


「悪は滅びました」

「勝手に殺すな、ロリ婆!!」

「ふんっ!」

「ぶべらっ!!」


 反論した邪神は、またも白い鉄拳によって沈む。邪神を殴った少女、聖神は白い仮面で顔上半分を覆った顔をしかめながら怒鳴る。


「邪神!今度はロシフェル聖王国に大規模テロを実行しましたね!?」

「うん?何のことやら。(´゜з゜)~♪」


 邪神は、口笛を吹きながら誤魔化す。


「騙されませんよ!!貴方が聖王国にいる信者を諭して、聖城に爆破テロを引き起こしたんでしょう!?場も押さえてあります!」


 怒鳴った聖神は、空中にホログラムのようなものが写し出された。


『君も鬱憤たまってるんだろ?ならばしてみたまえ、スッキリするから』

『ははーっ!!邪神様のおっしゃる通り!』


 そこには、邪神が下界にいる信者の人間を諭している光景だった。


「・・・・さらば!」

「あ、コラ!待ちなさい!」


 邪神は逃走、聖神は追跡した。この神様通しの追い駆けっこ、軍配は聖神に上がった。


「・・・待ちなさいと言ってるでしょう!」

「やぁぁぁ!止めて!犯されちゃうぅぅぅ!!」

「何てこと言ってるんですか貴方は!」


 暫くして邪神が治まったので、改めて質問する。


「邪神、今回の聖王国聖城の爆破テロ、あれは貴方の仕業ですか?」

「うん、暇だったし」


 暇だった。この言葉に聖神はイラッとするが流す。


「では、“(キング)一派”も?」

「は?」


 邪神は、急に真顔となる。


「見くびるなよ聖神。オレは確かに愉快犯だが、奴のような裏切り者に加担するのはあり得ん」

「・・・そうね、ご免なさい」

「お前が言ってくるとしたら、動き出したか?」

「間違いなくね。昨日も彼らの手で一国が墜ちたわ」

「・・・“アレ”を集めてやがるか」

「目的は、“五千年前”と同じね」

「だろうな、チッ。奴は、諦めるという言葉を知らんからな。厄介この上無い」

「まったく、あの時仕留めていれば」


 聖神は、怒りで身を震わせる。邪神は、ため息を吐きながら続けた。


「嘆いていても始まらん。今はマスター達や眷族に命じて探しだすしかない」

「わかったわ。じゃあ聖王国に神託を落としてきます。余計なイタズラはしないでくださいね?」


 聖神は、祈るように目を向ける。邪神は、いつものいたずらっ子の如き笑顔で。


「ごめん無理!」

「ゴラァ!!」


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