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魔の夜会。再び


◆ダンジョン本部 コアルーム カゲマサside



 ユラ、フラン、ホース、オニタロウの四体にダンジョンの場所を与えてから二週間が経過した。四体のダンジョンは、今も盛況らしく冒険者がかなり押し寄せているらしい。エルザムとしても、ダンジョンから産出される鉱石や武器、防具などを獲得して輸出したり、軍隊に回したりと幾分か余裕が出てきたようだ。そして、俺のダンジョンも順調に戦力拡大が進んでいる。モンスターの繁殖・強化や強力な武器や道具の開発、ホムンクルスや人工魔人の製造を行いまくった。

 モンスターは、又もや新種が誕生したり、準幹部クラスの〈領域百魔隊長〉も増えた。幹部クラスの〈階層二十狂星〉は今だ増えず。最高幹部〈六将〉に至っては、レベルの伸びが遅くなった。

 強力な武器や道具は、炎や雷を纏う剣であったり、袋に【ボックス】を付与したボックス袋などである。

 ホムンクルスや人工魔人の製造では、様々なアプローチが行われている。例えば、ホムンクルスをベースに筋肉移植やスキル付与、モンスターの遺伝子混入を行い新たな特殊型を生み出したり、ウルフやアリ、トロール、ドラゴンの死体と人間の死体をベースに動物型の人工魔人を生み出したりと、人間側からしたら洒落にならないことをしている。その研究の賜物か、今では量産型・動物型・特殊型の人工魔人が製造されるようになった。簡単に纏めると、こうなる。

 量産型。人間の死体だけをベースに筋肉移植やスキル付与を行い、デッドパラサイトを寄生させた個体。ランクがDからBとバラつきがある。スキルは、ミレンダの気まぐれで決まる。筋肉は、少なくとも常人の約八倍。一番数が多く、約五百体。

 動物型。人間の死体やウルフやアリ、トロール、ドラゴンの死体を接合したりして、動物のように仕上げた個体。ランクBは固定で、中々の完成度を誇る。その気になれば一つの町を一体で軽く殲滅出来る。デメリットはコストが安くない。全部で約百体。

 特殊型。量産型や動物型と違い、指揮官としての役割を持った個体。デッドパラサイトリーダーを丁寧に調整した死体に寄生・適合させ死虫魔人としたあと、《超速再生》や《気配察知》等といったレアスキルをデフォルトとして、役割に合わせたスキルを付与する。人型からドラゴン型まで様々。ランクAの化け物で、現在は稼働中の十二体に制作中のホムンクルスベース八体の合計二十体がいる。なお、コストはバカ高い。


 我ながら強化し過ぎたかと考えたが、防衛力が上がるので良しとする。因みに、全てのホムンクルスや人工魔人は灰色軍服を着ている。


「良し、このまま増やしてダンジョンの守りを磐石にして、ん?」


 俺がそう言い掛けたその時、俺の目の前に一つのテーブルと一通の手紙が現れたではないか。


「あれ?この手紙一年前に見たことが」


 俺は、手紙を開封して読み始める。


『招待状。


やあ、皆!皆大好き邪神君だよ☆


今回も待ちに待った魔の夜会のお時間さ!!今回はちょっとしたお披露目会も兼ねてるからね?!な、な、な、何とォォ!新たなマスターを二十人程増やしました~!ドンドンパフパフゥ~。今回は新たな試みで、ある程度ダンジョンを造らせた後、夜会で紹介してからに地上へ解き放つのさ♪まあ、特別何かを弄った訳じゃないから安心しなよ?じゃあ皆、夜会で待ってるぜ!合言葉は、“魔よ来たれ”だぞ~。忘れるな~?


息子、娘を愛する優しい優しい邪神君より。


個人への追伸。カゲマサ君。君の世代のマスターが三割を下回りました。君は優秀なので邪神君は失いたくありません。頑張って生き残りましょう。人工魔人は良い着眼点だと思います。しかし、国土経営に穴が見受けられます。暇な時でも良いので、政治を学んでみると良いでしょう。国王となり政務を体験するのも良いかも知れません』


 ウザイ。というか最後の追伸なんだよ。俺の世代もう三割切ったの?そしてサラッと人工魔人計画がバレてるじゃん!神様かよ!!・・・・邪神様だったわ。最後の文言は頷かざるおえない。俺政務とか詳しくないし。

 俺は、〈六将〉の面々を集めて事情を話す。


「・・・と言うわけだ」

「なるほど、また魔の夜会ですか。迷惑なものです」

「シロ姉上。仮にもマスターが出席なさる会議ですので、悪口は控えた方が」

「まあまあクロさん。シロさんのイラつきもオイラ分かるっすよ。でも断ったらとんでもないことになるっす」

「え~、お父さんと遊べないの?」

「・・・俺はマスターの意思に従う」

「私もだ。これはカゲマサ様がお決めになること。腹立たしいのは認めるが」


 どうやらクロ、ゴブイチ、ゼクト、キラーは俺が抜けることに了承。シロとワイズが渋々といった感じか?


「じゃあ、行ってくるよ。毎度毎度留守にしてごめんな」

「いってらっしゃいませ!」

「いってらっしゃい!お父さん!」


 俺は、招待状を持ちながら、「魔よ来たれ」と唱えた。そして、目の前の風景がガラッと変わった。
















◆魔の夜会 会場 カゲマサside



 風景は、俺のダンジョンから一変して一面がプラネタリウムのような世界になった。地面は、鏡のごとく星々を写している。


「凄いな。今度は満点の星空の下で夜会かよ」


 俺の目線の先には、大きな円卓が置かれており椅子も備え付けられている。俺が円卓に向けて歩きだそうとした時、不意に肩を叩かれた。


「ん?あ、ゲローロか。久しぶりだな」

「カゲマサこそ久しぶりゲロ。数ヶ月振りゲロか?」


 ゲローロ。俺が初めて遭遇した他のダンジョンマスターであり、友人の一人である。巨大なカエルで種族名はフロッグエンペラー。


「いやぁ、すまなかった。少々ダンジョン強化に勤しんでてな。行く暇がなかったんだ」

「ふむ、ランクSになったゲロね?大した奴ゲロ。一年ちょっとでランクSになるなんて。晴れて同類ゲロね」

「そうだな。ああ、そういえば新しい調味料見つけたんだ。後で送るよ」

「おお!ありがたいゲロ!最近虫料理の味がマンネリ化してきたんゲロよ!」


 俺とゲローロは、他愛ない話をしながら席に向かっていった。


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