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ちょっとした会議と確認

※旧「確認②」と統合しました。


◆新生エルザム 会議室 カゲマサside



 俺は、徒歩で会議室に向かう。兵士は、俺の姿を見るなり姿勢を正し敬礼する。


「ご苦労さん。他の奴等は?」

「はっ!皆様揃っております!」

「ありがとう」


 礼を言った俺は、会議室に入っていく。会議室には以下の面々が揃っていた。新たにエルザムの宰相となったリーゲ侯爵。近衛騎士団団長に昇格したフラーロ元副団長。一介の奴隷商からエルザムお抱えの御用商人となったリゲル・サンダーソン。使用人を統括する執事長に昇格したハンスさん。そして、新生エルザムの女教皇となったセレス・ミレーリア。

 俺は、一瞥した後空いていた席に座る。


「・・・さて、皆様揃いましたね?では、今からエルザムに発生している問題について話し合いましょう。リーゲ侯爵」

「はっ」


 セレスに指名されたリーゲ侯爵は、立ち上がり説明を始める。


「今我が国は、主に三つの問題に直面している。一つ目は財政問題。二つ目に領内の治安問題。三つ目に立て続けに現れた“二つ”のダンジョンに対する対策。以上だ」


 まあ、大変だろうな。財政だが、今は帝国の支援で何とか保っているだろう。だが、いずれ限界がくる。

 治安問題だが、盗賊が領内に蔓延っている時点で悪いに決まっている。一部盗賊は、この国の元下級貴族だぞ。話がそれたが、とにかく領内に盗賊が多すぎるのだ。特にオニタロウがダンジョンを構えているビーリッド侯爵領は。

 二つのダンジョン?さて、知りませんね。まあ、嘘で見つかったのは俺とフランのダンジョンだ。オニタロウ、ホース、ユラは、人化の術で予め私兵隊長、馬の牧場主、領内の代理管理者と言いふらしている。フランは、林業の専門家だ。


「まあ、ド素人の俺は関係ないか」


 俺は、そう呟きながら紛糾する会議を見ていた。その時。


「カゲマサ殿、カゲマサ殿!」

「はい?」


 いきなり呼ばれたので俺は、声を掛けてきたリーゲ侯爵に顔を向ける。


「何か?」

「カゲマサ殿、ダンジョン問題について何だが」


 おっと、いつの間にそこまでいっていたか。


「貴殿は、ダンジョン学に精通していると帝国高官から伺ったことがある。我等は、ダンジョンにどう対処すべきかな?」

「利益に繋げろ」


 俺は、間髪いれずに言う。同時に何喋ってんだ!?と帝国高官に心の中で怒鳴った。


「利益に、か?」

「そうだ。帝国では、ダンジョンは脅威であると同時に様々な資源を生む鉱山。ダンジョンに利益があれば人が集まるし、経済が回る。まあ、簡単なことではないが」


 ダンジョン本部前の村は、運が重なって上手くいったからな。今回は国単位だし、失敗もあるだろう。一応エルザムのサブダンジョンには、鉄やらミスリルやら魔剣やら薬草やら素材のあるスポーンモンスターを配置してあるから、今他国の冒険者がわんさか来ているが。


「はい。カゲマサ殿のおっしゃる通りかと。現在神都メーカに出現したダンジョンからは、鉄やミスリル、貴重な薬草が確認されています。早速僕の商会で買い取りを始めまして」


 ほお、リゲルの商会では既に便乗していたらしい。


「分かりました。エルザムの利益となるならば、利用しましょう。カゲマサさん、我が国のダンジョン対策特別顧問に任命したいのですが」

「構わない。まあ、気まぐれで止めるかも知れないけどな」

「・・・なるべく止めない方向で」


 とりあえずダンジョンは、厳重に監視して利益に繋げる方向で話がまとまり、会議は終わった。俺は、会議が終わった後すぐさま【ゲート】でユラのいる廃城に転移した。















◆ユラの城 執務室 カゲマサside



 俺が転移した先では、エルザムにてファーブレン公爵領を俺の代理で管理していることになっているユラが事務仕事に追われていた。


「よお、大変そうだな」

「誰のせいよ!ってか、大変と思うなら手伝ってよ!」

「ちょっとだけならな」


 どうやら余りに膨大な作業の結果、相当苛ついているらしい。まあ、仕方ないか。

 俺は、ユラの埋もれている報告書を手に取り、次々と処理していく。そして、五分後には全て片付いた。


「・・・嘘でしょう?あんなにあったのに」


 転移する前は会社員で、良くこの仕事やってたからな。慣れだ慣れ。


「そういえば、何の用?」

「ダンジョンの調子はどうだ?」

「ああ、ダンジョンね。はい、報告書」


 俺は、渡された報告書を見る。


●悪魔のダンジョン

マスター ユラ


·第一~第五階層

インプやスケルトン、ゾンビ、ゴーストを放流。全てスポーンモンスター。罠あり。宝あり。


·第六~第十階層

レッサーデーモンやデーモン、サキュバス、ゾンビ系統上位種などを守備に配置。幹部が直接指示を出して迎撃。各階層ごとに任命した部隊長がボス。部隊長は五体。


·コアルーム

最高戦力を集めた部屋


●幹部

グレーターデーモン、リッチ、アークサキュバスを仮の幹部として採用。部隊長を纏める役割。



「うん。即席にしては上出来だ」

「ありがと。他の奴等は見たの?」

「今からだよ」

「そう。まあ、私のがいちばんだけどね!」


 自信満々だが、コイツ前の幹部失ってるんだよな。確か、ハイサとキュースだったか。


「まあ、頑張れよ。ダンジョンが開かれれば、人が押し寄せるからな」

「分かってるわよ!」


 そして、俺は再び【ゲート】で転移した。













◆フランのダンジョン前 カゲマサside



 【ゲート】でフランのダンジョン前に転移した俺は、少し驚いてしまった。フランのダンジョン周辺は、荒地が広がっており、一欠片の植物も無かった状態だったのである。だが、今まで荒地だった土地は、草木が生い茂る土地に変貌していたのだ。


「ここまでやるとは、植物の力は凄いな。あれ?水分は何処から引いているんだ?」

「ダンジョン機能で生み出した水源を用いています」


 俺が疑問を口にすると、答えは後ろから返ってきた。


「フランか。様子を見るに成功してるようだな。早い気もするが」

「いえいえ、カゲマサさんのダンジョンに比べたらまだまだですから」


 そういえばコイツ。特訓が終わった後から敬語になったよな。ツリーに何をされたんだ?

 俺は、階層二十狂星の一体である魔樹王デビルツリーキングに若干の恐怖を抱いた。


「それよりもカゲマサさん。此方がダンジョンの報告書です」

「はいはい、拝見しますよ」


 俺は、フランから報告書を受けとると、読み始める。



●草木のダンジョン

 マスター フラン


·地表

 只の林、只の草むら、ゴブリンの集落(ゴブリン×10、ゴブリンリーダー×1)、支配下の小型モンスター等が地表を監視。


·第一~第三階層

 ポテトランナー、キャロットランナー、プラントマン、アルラウネ等の植物系統のモンスターが管理守護。


·第四~第六階層

 レッサートレント、ポイズンマッシュルーム、ウッドゴーレム等のモンスターが管理守護。


·コアルーム

 絶対防衛ライン。



●幹部

・地表を軍団蝿ぐんだんばえが監視兼管理。軍団蝿とは、所謂沢山いる蝿。一体一体だと、ランクF以下だが沢山集まると、集団リンチでランクCは容易く仕留めるモンスター。全にして個という性質をもち、一体のレベルが上がれば、他の個体もレベルが上がる。現在はランクC+。


・第一~第三階層をポテトキングが管理。ポテトキングとは、大きさ三メートルのポテトにムキムキな人間の手足が生え、ポテトの頂点に王冠がのった植物系統モンスター。ランクBに該当。

※完全なイロモノだが、実力あり。


・第四~第六階層をマイコニドウィザードが管理。マイコニドウィザードとは、人形のキノコである。人間のような顔を持ち、髪に当たる部分はキノコの笠になっている。ウィザードなので魔法が得意。ランクB+。



 うん。素晴らしい戦力だと思うよ。だけどさぁ、だけどさぁ。


「どうやって進化したらポテトキングになるんだよっ!?」


 俺は、報告書を返しながら怒鳴る。

 一体どんな紆余曲折があったらポテトキングが生まれるんだ!!


「申し訳ありません」

「・・・いやいや、イロモノだけどランクは高いからいけるのか?いけるな、うん」


 俺は、若干呆れ気味になりながらも報告書を読み込む。


「・・・うん、これならいけるかな」

「では、いよいよやって来るのですか?」

「・・・ああ、冒険者=DPがな。もっと警備を厳重にしておけ。奴等は隙があり次第根こそぎ持っていくぞ?」

「はい」


 そして、俺は再び【ゲート】で転移した。













◆ホース、オニタロウのダンジョン報告書纏め カゲマサside


 先ほどのポテトキングの一件で若干やる気が失せた為、ここからは報告書だけ纏めることにした。



●馬のダンジョン

 マスター ホース


·地表

 売却用の野生馬を放牧。マスター自身が馬な為、馬のストレス管理や繁殖は順調。


·第一階層

 普通の馬及びウォーホース、ジェネラルホース、フレイムホース、スレイプニル等の馬を広い空洞にて放し飼い。


●幹部

 無し。選定中だが、知恵のある奴が中々出てこない。



 ホースは、時折ケンタウロスサイズになって牧場を駆け回っているそうだ。伸び伸びやっている証し、なのか?


 続いてオニタロウ。



●鬼のダンジョン

 マスター オニタロウ


·第一階層

 軍団集結地。地表にいる敵を討つ軍を集める場所。基本的には戦闘員はいない。


·第二階層

 ゴブリン系統やオーク系統のモンスターがいる階層。絶賛増え続けている。もうすぐ千体を越える。


·第三階層

 トロール系統やサイクロプス系統のモンスターがいる階層。繁殖力は低いが、確実に増えている。数は三百体程。


·第四階層

 オーガ系統のモンスターがいる階層。繁殖中。約百体程いる。


·コアルーム

 オニタロウがいる。


●幹部

 各種族のリーダーが勤めている。ゴブリンだとゴブリンロード、オークだとオークロード、トロールだとウォートロール、サイクロプスだとサイクロプスリーダー、オーガはオーガコマンダー、とある。かなりバラつきがあるためか、本人の頭の悪さかは知らないが、オニタロウは覚えきれてない。



 現在は、ある程度育ったモンスターを引き連れ、盗賊を倒してはDP。倒してはDPにして、DPの足しにしているらしい。部下のレベルも上がりウハウハだとか。

 さてさて、これがダンジョンの現状だが、エルザムの冒険者連中はどう見るかね?

 俺は、少し不安になりながらも、新たに三つのダンジョンが発生したことをセレスに告げ口した。


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