表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
108/302

戦後処理①


 フリン公国にて発生した革命戦争。勝者は、戦争を起こしたプーリ侯爵達革命軍。だが、両軍共に被害は甚大。公国軍は、革命戦争の序盤戦であるプーリ侯爵領戦にて侵攻部隊の殆どが死亡又は逃亡。防衛部隊も大半が死亡及び逃走した。

 一方のプーリ侯爵軍だが、首都ツンドルンに攻めいった際、魔道師ジメイの放った火魔法により軍の約七割が焼死した。残り約三割は、プーリ侯爵領に帰還している。また、両軍の主だった人物達も死亡しており、公国軍側だと魔道師ジメイや貴族達。侯爵軍は、首魁であるカリウス・プーリ侯爵や彼の臣下も亡くなった。

 カリウスの娘であるカナベール・プーリは、父の死亡に膝から泣き崩れたが、何とか持ち直し、カリウスにカナベール以外の子供が居なかったのもあり、正式に領主となった。プーリ侯爵軍の象徴だったフィナロムス・フリンは、プーリ侯爵領に帰還した後、軍を纏め直して再度ツンドルンに侵攻。カナベールも同行した結果、ツンドルンはあっさりと陥落した。そしてフィナロムスは、正式に公女王となることを宣言する。

 一方今まで国の公王だったハマル・フリンは、カゲマサ一派の首領であるカゲマサによってフィナロムス達に引き渡された。その際散々抵抗したが、カゲマサが敵軍の長だから死刑もあり得ると半ば脅しのような助言をすると、途端に大人しくなり牢屋に入れられた。

 近衛騎士団団長のゴウエン・フィーゾムは、玉座の間にて氷付けになっているところを発見された。その際フィナロムスから仕える気はないかと問われたが、拒否。故に牢屋に入れられた。

 そして、俺ことカゲマサはというと。









◆ツンドルン ヤーレラ城客室 カゲマサside



 俺は、現在城のソファに寝転んでいた。今まで戦乱続きだったので精神的に疲れたのだ。


「あ~~~っ、疲れた。美味しいもの食べたい。風呂入りたい」

「ならカゲマサよぉ!!俺と戦おうぜっ!」

「こらっ、カゲマサ様はお疲れだ。我慢しろ」

「まあ、今回ばかりは仕方ないねぇ。諦めな喧嘩坊主」

「ああッ!?何か言ったかババア!!」

「喧しい!!」


 部屋には、ギオ・ウォーマンやジ・キラー、魔女ミレンダ、その部下達もおり、思い思いの時間を過ごしている。因みに部下達は、十二人から九人に減っていた。まあ、元が犯罪者なので心は痛まない。ギオは、部下相手に軽く小突いたり、キラーは部下と共に俺の後ろに待機。ミレンダは読書をしている。

 暫くすると、部屋のドアがノックされた。


「はいどうぞ」

「失礼する」


 入ってきたのは、一人の鎧を着た男。今回の戦争の結果、新公国軍の将軍となったドラヌス・ローベッジだった。


「やあ、ドラヌス君。改めて将軍の地位おめでとう」

「ありがとう。・・・随分と疲れぎみですな」

「ああ、やっと戦争が終わったんだ。疲れぐらいでるよ」

「そうですか・・・そんな時にすみませんが、女王陛下より召集がかけられております。同行願えますかな?」

「ええ~、・・・・わかったよ。行くよ。皆はここに居てくれ」

「はっ、お気をつけて」

「次こそ戦え!!」

「あいよ」


 そして俺は、ドラヌス将軍に連れられて玉座の間へと向かった。















◆ヤーレラ城玉座の間 カゲマサside



 俺が玉座の間に入ると、俺に目線が集まるのを感じた。俺から見て右側には、プーリ侯爵軍に付き従った貴族達。左側には、顔を青くしているハマルに与していた貴族達が整列していた。そして最奥の玉座には、新女王フィナロムス・フリン。隣には、カナベール・プーリが立っている。

 ドラヌス将軍は、俺をフィナロムスの前まで連れていくと、フィナロムスに膝間つく。


「女王陛下、カゲマサ殿をお連れしました」

「ご苦労。ドラヌス将軍、下がりなさい」

「はっ!」


 ドラヌス将軍は、そう言って下がっていく。一方の俺は、茶色の仮面の奥で目を新女王に向ける。すると新女王フィナロムス・フリンは、こちらに鋭い目を向けながら表面上笑顔で口を開いた


「さて、傭兵カゲマサ。此度の戦において目覚ましい活躍をした貴殿に報いたいのです。何か希望はありますか?」


 希望か。今この国は疲弊しているから、報酬を払える余裕は無いと思う。


「そうですね・・・・あっ、珍しいモンスターの魔石とかありますか?」

「モンスターの魔石ですか?ちょっとお待ちください。・・・カナ、どうだったかしら?」

「えっと、確か南西の砂漠地帯にある国から贈り物として一つと南方諸島の国から一つあるわ」

「わかったわ。・・・二つしかありませんがよろしいですか?」

「構いませんよ。むしろ有難い」


 そして暫く待つと、俺の目の前に二つの魔石が大事そうに置かれる。


「一つは、南西に位置する砂漠地帯にて現れた、ミイラの王ファラオというモンスターから取れた魔石です。ファラオはランクBのアンデッドモンスターと聞き及んでいます。もう一つは、南に広がる島々、南方諸島に現れる幽霊船です。何でも地上でも浮くとか」


 おお、おお!豊作だ。実に豊作だ!ファラオって恐らく地球で言うエジプトの王の呼称だろうけど、こっちではモンスターなのか。ミイラの王なんだからミイラを召喚するなんてことも出来そうだな。幽霊船は、ランクは分からないが部隊の輸送とか海戦になった時なんかは頼もしいに違いない。多分。

 俺は、二つの魔石を受けとると空間魔法【ボックス】に入れる。


「喜んで貰えて何よりです。さて、本題に入りましょうか」

「あ~、さっきのが本題じゃないのか。で、何ですか?」

「ええ、傭兵カゲマサ。貴方、我が国に仕官」

「失礼致しますッ!!!」


 いざ本題に入ろうとすると、玉座の間に一人の兵士が駆け込んできた。たまらずドラヌス将軍が問いかける。


「今は大事な話だ。手短にせよ!!どうした!!」

「は、はいドラヌス将軍!!・・・て、てい」

「てい?はっきり申せ!!」

「帝国です!セブンス帝国の軍がフリン公国の新女王に会わせろと!!」















◆ツンドルン 帝国軍第四軍第二師団 陣地



 ツンドルンを取り囲んでいるのは、セブンス帝国における六つの軍の内、第四軍に所属する兵士達だ。そして速やかに構築された陣地の中心に指揮官はいた。


「中佐。魔法大隊の展開は?」

「はっ。万事順調であります。エルランド少将閣下」


 指揮官の名は、エルランド・バーニッヒ。帝国軍第四軍に所属する軍人で顔にある一つの切り傷が特徴の男である。


「うむ、歩兵及び騎兵はどうだ?」

「はっ。合図があれば何時でも動けます」

「宜しい。では公国に告げよ。我々はこの国の女王に話があってきた。応じない場合は、一斉攻撃を加えると」

「はっ!」


 そして中佐と呼ばれた男が出ていくと、エルランドは椅子に深く腰かける。


「・・・全く、責任重大ではないか」


 エルランドは、一枚の紙を開く。そこには、こう記してあった。


『帝都軍総司令部から帝国軍第四軍第二師団へ。


 フリン公国にて革命が発生。革命軍が勝利した模様。我が帝国は国交を回復すべく使節団を送ることを決定。使節団の護衛を任ずる。

 追記 フリン公国に英雄カゲマサ殿を潜入させている為、発見した場合無闇に手を出すことを禁ずる


            帝国軍元帥 ロロ・セブンス』



軍隊の指令ってこれで良いかな?駄目だよな(^_^;)。


良かったと思ってくれたなら高評価、ブックマーク登録お願い致します。励みになりますので。


出来れば感想や誤字報告くれたらうれしいです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ