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第四十四戦

今年、一発目です!

今年もノリで読んでください!

占い師さんは、俺が何をいうわけでもなく、俺が悩んでいると言う事を当てた。


フードを被っていて、表情は、顔は見えないけど、雰囲気で、口調で、それがあてずっぽでもなく、ちゃんと分かった上で聞いているものだと分かる。


「分かるんですか?」


でも俺は、テンプレの如く聞き返した。

占い師には見えない占い師さんだけど、占い師さんに分かるんですか?なんて聞くなんて馬鹿だ。

それが、特技なんだし、職業だ。

こんな失礼はない。


俺は内心、怒られるんじゃないかと、ビクビクしながら占い師さんの次の言葉を待った。


「ん〜分かるというか、まぁ分かるんだよね〜占いなんてしなくてもさ。私も経験したことだし」


良かった。怒っては無さそうだ。


占い師さんは少し意味深なことを言った。

俺が悩んでいることは分かったのだろう。でも、分かるには分かる、私も経験した?

俺のこの悩みを占い師さんが?

それは俺の悩みを理解しているということなのか?


いやいや、それは無いだろう。

俺の悩みはごく一部の人になら当てはまる。

『総大将』になら。それか、何かしらの頭を張っている人。


この俺の悩みを占い師さんが内容をわかった上で共感した?理解した?

それはおかしい。占い師という職業なら俺の悩みを理解できる筈がない。俺はこの占い師さんに不信感を覚えた。


「むっ。なにかな?その顔は。いかにも僕…じゃなかった。私になんか俺の悩みが理解できる筈がない!見たいな目は」


「いや、だってあなたに俺の悩みが何なのかが解ってる体で話しますけど」


「分かってるよ!」


「……。じゃあ、聞きますけど、どうしてあなたは俺の悩みを理解できるんですか?それに経験したってどういう意味ですか?」


「私が君の悩みを理解していて、そのことにさっきの私の発言だけで分かるとは、君は頭がいいね」


「誤魔化さないで下さい。俺は真面目に聞いてます。答えてください」


どうしてか、この占い師さんが何者なのかが気になる。いや、気になるというか、この人は占い師なんかじゃない。俺の中の何かがそう言っている。そのせいか、いつもより語尾を強くしてしまう。


「お〜怖いよ。怖い。そんなんじゃモテないぞ!いい顔してるのに、あっはいはい。答えるから!答えるから!もう〜そんな怖い顔しないでよね〜」


俺とは裏腹に占い師さんは軽快に話す。

その喋りのせいなのか、口調のせいなのか、はたまた異様にテンションが高いのかが原因なのかは分からないけど、黙っていたりしたら、いや、何かをしていたとしてもこの人にペースを持っていかれそうな気分なった。


「ん〜。じゃ、答えるよ。君の質問にね!ん〜でも、ここじゃ人の往来がちょっ〜と激しいかな。この国の人達が私の事を知らないって人の方が多いと思うけど、知ってる人もいるかもだしね!一応トップだし」


俺の質問にやっと答える気になったのか、座っていた占い師さんは立ち上がり、あたりを見渡しながら、独り言だと思うけど、大きな声で喋る。もしかしたらこれはわざとなのかもしれない。この人はどこか掴めない。俺はそう思った。


やがて、一通り周りを見渡したのか、俺に向き直り言う。


「付いて来て。ここじゃやっぱり人が多いし、今からする私の話はこんなところでするような話でもないから。それに、『総大将』である君がここにずっといるのもね」


さっきの軽快な話し方とは一変して、落ち着き払った声で話す占い師さん。それはどこか、風格があった。


俺のことを『総大将』と知っているこの人は何者なんだ?ほんとに。

つい最近、そう。つい最近なったばかりだと言うのに『総大将』に。



「ん〜ここがいいかな〜!んっ!ここでいっか!」


占い師さんに従ってついて来た場所は、城下町から少し離れた、周りには何も無い、草原だった。確かにこんなに何もないところだったら、誰かが盗み聞くことも出来ないし、近くに誰かが来たら会話をやめることも出来る。


どうでもいいことだけど、上着はフードパーカーで下はミニスカ?とでも呼んでいいのか、とにかく占い師さんはミニスカだった。


声からして、女の人だというのは分かってはいたけど、改めてミニスカから伸びる白い脚や全体的に華奢な体を後ろから見ていると女の人なんだなと思う。


咲のことを少し思い出してしまう……。


「さてさて、前田のトップくん。まずは自己紹介から始めようとしよっか!」


「え?」


占い師さんは被っていたフードを取り、頭を、髪を、顔を。太陽の下に出す。


そして、俺に振り向く。


「初めまして、前田軍『総大将』。僕は……あー、いや」


振り向いてみせたその顔は、万人もの人の目を引き付けるなんだろうなと思わせるほど、綺麗だった。


そして、彼女はその綺麗な顔立ちからは想像できないことを言う。いや、これは単に俺が想像できなかっただけだ。


「私は真田幸村」


「………っ!?」


「四国の大名、真田幸村だよ」

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