第三十八戦

「前田軍って…あの´千人切り,の！？」

「そ。『同盟』を組んだの」

真田幸村の言葉に驚く天下道千代。それもそうだろう、なんせ天下道千代が戦に再び熱をいれたのは´千人切り,迅の動向が気になっていたからだ。なのにその迅と『同盟』を組んだとまでいう。さすがに驚きを隠せない。

「ここ一週間何の動きも見せてなっかたのに…いや『同盟』を組んだ、ううん、真田が近づいたっていう情報すら入ってない…どうやったの？」

天下道千代はただ純粋に聞いた。天下道の情報網ではそういった情報は一切入ってこなかった。そう一週間前田が何の動きも見してないという情報しか。

「ん～何ていえばいいのかな？個人的に…プライベートで会ったからって言えばいいのかな」

「というと大名同士ではなく、一個人として´千人切り,に会ったということだね？」

「そうそう。まっ偶然会ったんだけどね～。いや会えるかな～と思っては行ったんだけど、まさか、本当に会えるとは思わなかったよ～。どこか抜けてるというか大物というか本当に凄いね！前田の『総大将』は！」

「ん？ちょっと待って？会いに行ったっていつあったの？」

天下道千代は真田幸村の弁舌を聞きながら疑問に思ったことを聞く。元々中国四国地方の四国を治めていた真田幸村の動向は近国ということもあり常に監視はしていたはずだ。しかし、一時期真田幸村が国を留守にした情報は入ってない。

「ここ一週間いないかな？」

「それは分かるけど。具体的にいつなのかってことよ」

「ん～それはちょっと覚えてないかな～。ちゃちゃと行って帰ってきたしね～。そうまるで疾風、ん？颯爽のように？まっどっちでもいいや！」

掴めない。天下道千代はそう思っていた。黙っていたらどんどんと真田幸村のペースに持っていかれるという危機感を感じていた。ペースは非常に重要なものだということは天下道千代の自論だ。いや天下道千代だけでなく多くの者も思っているだろう。自分のペースに持っていければ戦いはやりやすい。逆もまたしかりだが。

「あっでも、いつ行ったかは覚えてないけど。どのタイミングで行ったのかは教えてあげるよ」

不意にそういう真田幸村に耳を傾ける天下道千代。

「これは知ってる…情報は聞いてるよね？どこかの国が全国各地に患者を送ってるって話」

「まあそれくらいは…私の軍の情報でも入ってるね」

天下道千代は自分の軍にいや、情報網を信じれてなかった。真田幸村との会話でことごとく自軍の情報網の脆さを知ったから。

そして考える天下道千代。そして頭の回転が早いかは分からないが、天下道千代は気づく。

「まさか…」

「そ。全国各地に患者を送っていたのは真田軍、つまりは僕！あっ違うや、私なのでした！」

びしっと決めようとテンションを上げて言ったのだが、一人称を僕とまた言ってしまい言い直したせいか決まらなかった。

天下道千代はそれを気にせず言う。

「なるほどね。全国の大名がその情報を聞いてから防御を固めたり情報工作をしたりしているほんのひと時の混乱に乗じたのね」

「ほんとに混乱は一瞬だったよね～。まっ一瞬でもあれば真田には関係ないんだけどね。」

正直、真田を真田幸村を甘く見ていたと思う天下道千代。思い通りにことは運ばない。でもそれが楽しいと天下道千代は真田幸村と対峙しながら思っていた。

（この世界はことがうまく運ばなくても楽しい！だって私は強いんだから、強さで解決できる！）

「おっと。目つきが変わったね。この話のながれで説得をしようと思ったんだけどな～」

「説得？」

「そ。説得。というかお願いかな」

「何の？」

「『同盟』を組まない？」