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第三十五戦

久々の連続更新です。

「出血多量!」


「医療班急いで!迅が死んじゃう!」


なんだ?声が聞こえる…。


これは……サクラの声か?


出血多量だって?笑わせんなよ俺はこの世界じゃ死なないんだ。出血多量くらいすぐにどうでも良くなるくらい傷は治るさ。


「ですがサクラさん!迅の血液型が分からず輸血出来ません!」


「そんな……!!」


大丈夫だってサクラ。傷くらいすぐ塞がるからさ。輸血とかそんなのいいから。


「死なないで……死なないで迅!」


死なねーよ。俺はこの世界じゃ……。



「右腕左脚切断!出血多量!この他にもダメージがある模様!」


「なんとかしなさい!医療班!「美蝶姫」をこんなところで失うわけには行きません!彼女は舞剣に必要な戦力なんですよ!」


「し、しかし片腕と片脚が……」


「なんとかして繋ぎなさい!」


(しかしこのままでは……背に腹は代えられませんか……)




「こんなところになんのようだい?大心」


「頼みがあります」


「僕にかい?珍しいね」


「ほんとなら嫌ですけどね。大事な戦力を失うわけにはいきませんから」


「そうかい。まっ君の頼みならいいよ。で、どんな頼みかな?」


「必ず治して欲しい人物がいます」


「いいよ。僕はどんな物、人でも治せるからね」


「お願いします。元就」



目を覚ますと見知った天井があった。


「ここは前田城か……」


蘇る記憶。ここは前田城。前田家の城なのにその主は居ない。


「慶次さん……」


瞳から涙が溢れる。多田さんの言ってたことはこれなのか。ゲームの世界とはいえ人が……自分の身近な人が死ぬっていうのは厳しいな。


「あっ起きてたんだ」


「サクラ……」


襖を開け中に入ってきたサクラの手には桶とタオルがあった。水を変えていたのだろうか。それどとずっと俺の側にいたということになるな。

とりあえず体を起こさないとな。


「い……!」


なんだこれ超痛てぇ!傷口は例の通り塞がってるけど痛みは尋常じゃねぇな。


「あぁまだ無理しちゃ駄目だって。迅ほんとにすごい怪我だったんだから」


「悪ぃ俺、また記憶がねぇんだ。思い出そうとすると慶次さんのことしか思い出さねぇ」


「そっか。戦の結末も知らないよね?」


「あぁ」


「じゃ話そっか」


ゆっくりとサクラは語り出した。



「迅は!?迅はどこ!?」


「はっ聞いたところによりますと敵の本陣近くに向かった模様だと」


「何やってるのよ迅!伊達政宗がやばいのに!!」


私じゃ援護にもならない。悔しいけど舞剣大心には敵わない。



そして数分後伊達軍『総大将』伊達政宗が死に私達の負けが決まった。



「舞剣大心はどこに行こうとしているの?」


「おそらくは本陣に帰るのかと。……我々も早く撤退をっ!」


でも本陣近くには迅が……。!!

まずい!迅がやられる!!


「貴方達は撤退して兼続の指示を煽ぎなさい!私は迅を回収するわ」


「危険です!敵による残党刈りも始まるというのに!」


「でもっ!!」


「よく行ったぜ姉御!」


「ソード!?」


「今のうちの『総大将』は大将なんだ。ここで失えば前田は滅亡だ。前『総大将』が大将に『総大将』を譲ったのは前田を滅亡させねぇためでもあるからなっ!」


「ソード……」


「それより早くしな姉御!傷を負っているとはいえ舞剣大心は強い。それに大将も無傷なのかは分からねぇ。早く大将を回収しないと」


「分ってる!」


私は飛び出し迅を回収するために走り出した。



「これは……ん?これはこれは前田の」


「ま、舞剣大心……」


「剣を抜くのは辞めなさい。今はどちらも戦力を失いたくはないでしょう?」


そういい、舞剣大心がどくと倒れている二人の姿があった。


一人は女性で片腕と片脚が切断されてる。


そしてもう一人は……


「迅!!」


迅を抱き上げる。出血がひどい。早く治療をしないと。


でもこの場には舞剣大心が……。


いやでもどちらもって……今はこちらには気づいてないようね。



「そうして舞剣大心に気づかれないうちに撤退したってわけ」


「そうか。伊達政宗も死んだのか……」


「うん」


俺の知ってる歴史上通りの伊達政宗では無かったけど、いいやつだったよなこの世界の伊達政宗。


伊達政宗と慶次さん二人の死はでかいな……。


「?なんで泣いてんだよサクラ」


「いやさ。我慢はしてたんだけどさ。思い出すとさ。だって……だってぇ……ほんとにあの時は迅が死んじゃうと思って……!!今はこうして意識もしっかりしてるけどさ……私は……私はほんとに怖いくらい心配したんだから……!!」


「ごめん」


人にこんなに泣かれたのはいつぶりだろう。もしかしたら無かったかもしれない。


「ところで俺はどれぐらい寝てた?」


サクラは涙を拭い答えてくれる。


「一週間くらいかな」


「一週間……か。ずいぶんと寝てたな俺。舞剣になにか動きは?」


「何もないわ。動きがあったとすれば天下道くらいね」


「天下道?」


「九州を制覇した武将よ。今度は中国四国地方を攻めるみたい。あとはどこの国かは分からないけど全国に患者を送り込んでいるところもあるみたい」


「そうか。俺らも注意しないとな」


ん?なんかサクラが一段と元気がないように見えるな。


「どうした?」


「軍医は当分は目を覚まさないだろうって言ったのを思い出して……」


やばい。またサクラが泣きそうだ。なんとかしてやらねーと。駄目だ考えてもろくなもん思いつかない。ちょっといやかなり痛いけど。


「……え?」


俺はサクラを抱きしめた。不安がらせないように。体は痛い。痛いけど、今はサクラをもうこんな表情にはさせないと思った。そのためにも俺はしっかりと『総大将』をやらなければいけない。


「俺は死なない」


死ねないの間違いか、これは。


「そして心配もかけない」


これは本心だ。


サクラを抱きしめたまま俺はサクラに聞かせるように言葉を綴っていた。


俺は今までどこか臆病だったと思う。けど、俺はいう。言わなきゃならない。


「俺は舞剣を倒して……」


しっかりと……


「慶次さんそれと伊達政宗の仇をとり……」


自分の決意を


「天下を統一する!!」









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