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第三十四戦

「ふぅ……」


超遠距離当的


私の特技。私の特殊技。


殺った。殺ってしまった。


いやこの感情は違うかな?もう私はこの世界でたくさんの人を殺してしまったんだ。誰を殺そうが殺したかなんて私には関係ない。


それが例え迅の尊敬している人でも。


「はぁ……はぁ……あ゛あ゛っ」


来た。私に今猛烈に恨みを持ってるであろう人物。


「やろっか。迅」


ここはゲームの世界。そうゲームの世界なのよ。


私はただこの世界を楽しみたいだけ。そして迅の隣に立ちたいだけ。




「はぁぁぁぁ竜撃閃!」


伊達政宗の放つ蒼い斬撃。

それは撃つ度に威力を増していく。


「くっ……!」


舞剣大心はそれをギリギリで躱す。だがこのギリギリで躱す行為ももう何度目かは分からない。


「威力は増しているようですが。スピードまでは増さないようですね。目とは慣れるものです。今はまだギリギリでしか躱せませんが。そのうち余裕で躱せますよ?」


(体が万全ならね)


「ならもっと早い攻撃をすればいいのじゃろ?」


「え……?」


ブシャーー。


突如として体のあちこちから吹き出す血。


舞剣大心な何が起きたのか分からなかった。分からなさすぎてか体も痛みを感じることを一瞬放棄した。


そして舞剣大心は元凶であろう。伊達政宗のいる方を向く。さっきまで正面に居たはずの伊達政宗を。その背後に。


「……神竜撃閃」


伊達政宗は独り言のように技名を呟く。

今度の攻撃は斬撃ではなく。斬り込み。それも神速での。これが竜爪を纏った伊達政宗の強さ。


「がはっ……!」


体が痛みを発したところで舞剣大心は地面に膝を着いた。


(竜爪がこれほどとはほんとに計算違いでしたよ。でもそろそろです。そろそろ。ここからは強靱強さが勝負の鍵ですかね)



「咲……。俺がここにいる理由分かってるよな?」


「もちろんだよ。迅」


少し救いがあった。

目の前にいる咲の表情が儚げだから。

少し俺の怒りが収まった気もする。


「まさかこんな所から慶次さん目掛けて一寸の狂いもなく当てることが出来るなんてな」


「そう。さすがでしょ?ゲーム補正もあるけどこれが私の実力」


「そうか。なら……」


腰に差してある刀に手を伸ばし……


「俺の実力も見せてやるよ……?」


一気に間合いを詰める……!!



例え咲の顔が儚げな表情をしていようとも怒りが収まるはずはない……!


「うっ……!」


短剣で防いだか俺の初手を。

簡単に防がれたということは俺の実力がまだまだってことなのか。咲の実力が相当ということだな。……悔しいな



だけどまだ初手の攻撃だ。畳み掛ける……!

二撃……三撃……!!


「はっ!はっ!……うわっ!!」


咲の短剣が宙を舞う。咲はそんなに短剣の扱いには慣れてないようだな。だけどそれでも何度か防がれた……。


「はぁはぁはぁ……」


目の前にいる咲に刀を向ける。


「どうしたの?止めを刺さないの?」


だけどそれ以上のことが出来ない。


「辞めだ。どうせ何をやっても俺と咲はこの世界じゃ死なないんだ。それに俺の中では仇を討ったつもりだしな」


嘘だ。仇を討ったつもりなんてない。全然足りない。けど、けどさ咲を殺せるはずなんか無いじゃないか。


俺は背を向け、未だに戦っているであろう伊達政宗の元へと向かおうとした。


ヒュン


頬を掠める矢の音。


タラーと頬から血が流れる。


「……咲……?」


「迅。ここはゲームの世界だけど戦場なんだよ?」


そして再び放たれる矢。


腹に手を当て、その手を見ると血がついていた。


腹に矢が刺さっていた。


「がはっ……!」


体が地面に倒れる。駄目だ回復するまで時間がかかる。


「迅はそこで寝てて。そして伊達の負けをそこで見てて」


「ま……てよ」


「体を動かそうとしても無駄よ。矢には神経麻痺を起こす毒を塗っておいたから。迅対策の為にね」


咲がどんどん離れていく。

体がゆうことを聞かない。


ーーー意識が……


「ふぅ。やっぱり覚醒というかそのモードになっちゃったか〜迅。……でも今度は負けないから」



「かはっ……!」


地面に倒れた伊達政宗を舞剣大心が蹴飛ばす。


「手こずりましたがようやく竜爪も解けましたね」


「か、体が……動か……ぬ」


「無理もありませんよ伊達政宗。貴方の竜爪は確かに凄いものです。ですが体が付いていけなかった。もともとの貴方は戦闘向きでは無いですからね。」


「くっ……」


「ですが少し計算違いでした。直ぐに竜爪が解けると思ったんですけど予想以上に竜爪を纏っていたので大変でした。悔しながら貴方の体が耐えられなくなるまでこちらも我慢するということに途中から変えました」


「妾はお主に踊らされていたのか……?」


「いえいえそんなことはありませんよ。まさに予想以上の強さ。「独眼竜」は伊達じゃありませんね」


「ぬかせ……」


「ですが私も疲れました。そろそろこんな下らない戦を終わらせましょう」


「く、下らないじゃと……?」


慶次が死んだこの戦が?


下らない?


許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない。


伊達政宗は片膝立ちし、近くにあった刀を持とうとする。が。


か、からからん。


地面に落ちた刀の音が響きわたる。


「だから本来の貴方は戦闘向きじゃないんですよ。刀すらろくに持てないほどね。万全の状態なら持てたかもしれませんが」


伊達政宗は天を仰ぐ。


「……そうか。妾は戦闘向きじゃ無かったのだな。だましだましやってきたがやはりそうじゃったのじゃな。」


そして静かに眠っている前田慶次に話しかける。


「ごめんよぉ慶次。妾、慶次の仇討てなかった……ふぐっ……」


「御託はいいです」


舞剣大心の刀が伊達政宗の体を貫く。


「ふぅ。これでやっとこの戦も終わりましたね。いやまだ前田の残党が残っていますか」


舞剣大心は刀を伊達政宗に刺したままこの場を立ち去った。もうようはないかのように。


「あはは。終りとはあっけないものじゃのう」


刀が刺さったまま伊達政宗は言葉を紡ぐ。


「慶次よ。今まで……ありが……とう。妾は慶次のことが……」


舞剣対伊達&前田


伊達軍『総大将』伊達政宗の死により決着。


勝者舞剣。



「千代様ご報告が」


「なに?」


「天下に名を馳せていた舞剣対伊達の戦が決着いたしました」


「舞剣?あーあれね。それでどっちが勝ったの?」


「伊達政宗の死により舞剣が勝利しました。討ったのは舞剣『総大将』舞剣大心です」


「そうなんだ」


「それともう一つ」


「ん?」


「この戦には前田が伊達を支援しておりましたが前田軍元『総大将』前田慶次も討ち取られました」


「元?」


「はっ。どうやら戦の最中に千代様がお気にしていた。´千人切り,迅を『総大将』に任命したそうです。なので前田はまだ存続しております」


「ふ〜ん。そうなんだ〜」


千代はゆっくりと椅子から立ち上がり外を見る。


「私と同じ現実世界からきた子がね〜」


「何か仰られましたか?」


「ううん。何でもないよ〜」


楽しくなってきたじゃない今回のゲームの世界!





やっと、というかこの戦も終わりました。伊達政宗の死という結末で。ここからは舞剣が無双していくでしょう(たぶん)

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