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第十八戦

痛い


それが今の俺の感覚だ。


俺はゆっくりと目を開けると空が見えた。視界の隅には城の屋根と思われる瓦が見切れている。


脳がゆっくりと覚醒しだす…


「そうか。俺刺されたんだ。」


ついさっきの出来事を俺は徐々に思い出していた。


俺は全力でやった。だがそれでも俺は負けた。いやフェイントごときを見抜けない俺がまだまだ弱いという事か。


俺は右腹を刺されてから意識を失っているので、どうして城内ではなく外にいるのかが分からなかった。


「つーか。多田さんの言う通り死にはしないんだな」


憶測だが、俺は多分城から落とされたのだろう。

右腹を刺されたうえに落とされる。通常なら死んでもおかしくないはずだ。でもここはゲームの世界で俺が死ぬことはない。

だけど…


「痛みは感じるんだな」


俺はそんな事を思いつつ。右腹だけでなく、あちこち痛む体を無理やり起こし、立った。


そこで一つ気づく。

右腹の傷がもう塞がっていた。

そうか。ある程度のデカイダメージはすごい治癒力で回復するのか…チートじゃね?

でも打撲になってるであろう足とかは今すぐの回復は見込めないからそこまでチートではないか。


ここまでうだうだ考えたが城内で戦っているであろうサクラの応援にいくか。さっきと違い満足に体は動かせないが少しくらい微力になるはずだ。そして慶次さん達を待つ


俺は再び城内に向かって走りだした。あちこち痛むがそんなのは気にならない。今はとにかくサクラがどうなっているのかが気になっていたから。優勢なのか劣勢さなのか。とにかく無事でいろよサクラ



私の剣と長宗我部元親の二つの槍が交わる。

あれからどれほど時間がたったのかが分からない。いや全然経ってないのかもしれない。


「どうしました?随分剣が鈍ってきましたよ」

「うるさい!まだこれからよ!」


嘘だ。私はとうに疲れている。最初逆上した為に型などを気にせずただ剣を振り回していた私は今は防戦が手一杯だ。攻撃になんか転じれない。


「投降しなさい。女であるあなたの命まで取るつもりはありません。私はあくまで前田慶次を倒せればいいのですから」

「私を弱者扱いしないで!それにあなたは迅を殺した。仇は取るわ!」


私は疲れている体にムチを打ちつつ攻撃に転じた。けど全然剣にキレがない。簡単にあしなわれる。そうしているうちにバランスが崩れた。やばい…


長宗我部元親の槍が体を貫く


「急所は外しました。これで戦えないでしょう」

「サクラっ!」


不意に声を呼ばれて振り向くとそこには死んだと思っていた迅がいた。

長宗我部元親はゆっくりと私に刺さっている槍を抜く

私は迅を見ながら床に突っ伏した。そして意識を失った


「まさか…生きているとは…」


長宗我部元親が何か言っているが気にしない。それより今はサクラだ。

俺はサクラの近くにより体を抱き上げる。

良かった。すぐ手当てすれば助かるぞ

待ってろサクラすぐ助けるからな


俺はサクラをそっと床に寝かせ、心の中で慶次さんに言う。俺が長宗我部元親(こいつ)を倒します!


驚愕の顔をしている長宗我部元親に刀を向ける。


「早くやりましょう。それとさっきの俺とは違いますよ」


感覚が研ぎ澄まされてく…不思議とさっきの戦いよりも出来ると思える。


「今はなぜ貴方が生きているのかは考えないでおきましょう。それに私にとってもはやく済ました方がいいでしょうし」


そう言うと長宗我部元親は俺がさっき入ってきた方に目を向ける。

俺も目を向ける。すると下の方から喧騒な声が聞こえた。どうやら慶次さん達が来たみたいだ。


このまま慶次さん達を待つのもいいけど俺が倒したい!


俺は足に力を溜め、一気に長宗我部元親との距離を詰めた。


キンッ


刀と槍がぶつかる金属音が辺りに響く


俺は初手から緩めることなく刀を振るう。

さっきの戦いとは違い俺が攻め側になっている。

もしかしたら勝てるかもしれないという気持ちが湧いくる。


「今、勝てるかもしれないと思いましたね?」


防戦一方だった長宗我部元親が不意に言う。そして…

俺の体が吹き飛んだ


「ぐはっ」


俺は強く床に叩きつけられた


「その慢心こそが駄目なのです。今のは私の得意な技でしてね。密接すればするほど相手を弾き出す…一種の防衛ですね。これで前田慶次も二度も迎撃できたのです。それにしてもやっぱりがっかりですね。こんなに弱いとは。これじゃなにも守れませんよ」


守れない

この言葉が深く突き刺さった

悔しい

悔しい

悔しい


畜生!


俺はまた意識を失った

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