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第十六戦

「っく、やはり前田の『総大将』ともなると強いですね。よく姉さんはこれを2回も倒したものです」


「お前じゃ話になんねぇな。早く元親を出しな」


慶次さんの矛と親泰の槍が交差する。


親泰は兼続さんと戦っていた影響もあってかだいぶ動きが鈍っていた。そこを慶次さんは間髪入れずに攻撃する。

卑怯かもしれないがここは戦場で戦いだ卑怯とかそんなのは関係ない。


「あの馬鹿め出るなとあれほど…」


俺の隣に移動し慶次さんの戦いを見つめながら声を漏らす兼続さん。たがその顔はそこまで怒っているようには見えなかった。


「そこまで怒ってない感じですね兼続さん」

「私は怒っているぞ。だが慶次が来てくれたことによりだいぶ楽になったのも確かだ。それにこの戦いもすぐ決着がつくぞ」


見ると慶次さんは親泰の槍を弾き、矛を首に突き立てていた。


「どうしました?前田慶次。早く止めを」

「ふん勘づいてんだろ?」


凄いな。いくら敵が疲れていたからといってこんなに早く決着をつけさせるなんてさすがだ。

俺と兼続さんはすぐさま近くによる


「兼続、こいつを捕縛しろ」


兼続さんは慶次さんの言う通り親泰を縄で動けなくさせ一般兵に身柄を渡す。

この世界では今のように幹部クラス以上の相手を倒すと捕縛というのを行える。これは相手を一時捕らえ戦場に出せなくするということができ捕らえた者は戦が終わったあとに味方に勧誘することもできるシステムだ。

慶次さんは親泰のことを殺すには惜しいと思ったのだろう。兼続さんも何も言わなかったから賛同したと言うことだろう。


「でこの後は何か考えがあるのか?」

「特に決めてねぇ」


いや慶次さん!そこでどや顔しないで下さい!


「ハァたく、何も考えずに出てきたのか」


兼続さんは呆れながらもこのあとについて考え始める。やっぱり考えるのは兼続さんじゃないとな


「ではとりあえず各個で攻めるか。長政も攻めに加え私も含めた四人で各個拠点を落としにかかる」

「防御は?」

「それは大丈夫だ。たとえ長宗我部が本陣に来たとしてもライトがいるからな」


俺たちに今後の作戦、(と言っても攻めしかないのだが)を伝えソードに長政さんにも伝えるようにと兼続さんが命令し、俺達は別れた。


俺は東側から攻める役割だ。中央に慶次さん、西に兼続さんといった形だ。長政さんは順次弱い攻めに入る。と言っても俺の所だろうが

兼続さんから聞けば長宗我部は親泰くらいしか強い幹部はいないという。だがそれはほぼたった二人で長宗我部を強くしたと言ってもいい。トップの長宗我部元親はどれくらい強いのか俺には予想もつかないな


東側から俺は攻めたが拍子抜けするほど次々と拠点が落とせた。確かにそれほど強い幹部がいないらしい。長政さんも敵が多い中央に応援に向かったそうだ


「大将このままだと大将が一番早く城に着きそうですね」


次の拠点に向かう途中ソードに会った


「そうなのか?てっきり最後くらいだと。中央の慶次さんと長政さんがもう着いてるんじゃないのか?」

「いえそれが西と中央は思ったよりも敵が多いらしくて。それほど強いのはいないらしいんですがなかなか進めない状況らしくて。そこで『総大将』から伝言を預かりましたぜ」

「慶次さんが?」

「はい。ではいいますぜ。城に着いたら俺達を待たずに長宗我部元親をやれと」

「待つだけ時間の無駄ってことかな。分かった」


ソードと別れ拠点に向かいながら俺は考える

俺は長宗我部元親を倒すのは多分無理だろう。だが一応慶次さんに頼まれたんだ。倒すのは無理でもせめて疲弊くらいはさせよう



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