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第十五戦

笠をとった親泰は辺りを見渡し、俺と目が合う


「そちらにいるのは噂の´千人切り,ですね。初めまして。長宗我部軍の香宗我部親泰と申します。以後お見知りおきお」

「そんな余裕があるのか?親泰。この拠点は我々が圧倒的有利だぞ?」


確かに兼続さんの言う通りだ。この拠点は俺と兼続さんによって全然被害を出していなくて圧倒的にこっちが有利だ。なのに親泰の俺に対する自己紹介は余裕があるというか舐めている。


「ええ、確かに先ほどまではそちらが有利でしたが今は私が居ます。なんとかなるでしょう」


自信たっぷりの表情で言う親泰。

その言動に対し兼続さんが心なしか苛立っているように見える


「それはどうかな?なんせこちらも私が出ているからな。好きにはさせんぞ」


そう言い腰に一度納めていた刀に触れる兼続さん。

それを見て親泰も槍を構える


「迅!他の敵は任せたぞ!私はこいつをやる!」


そう言い終わると兼続さんは親泰目指し一直線に飛び込んだ。そして間合いが近くなると納めていた刀を抜いて相手を斬る!俗に言う居合斬りだ!

だが親泰はそれをジャンプで回避し、そのまま落下の勢いを使って槍を突き刺す。それを兼続さんが躱す!


つい二人の戦いに見とれてしまったが俺も兼続さんに頼まれた事をやらないと。


俺は最小の動作で敵兵を倒すがちらりと二人の戦いを見ると二人とも自分の必殺技や特殊攻撃を使っていた。(ゲームの世界だから武将にはそれぞれ得意とする必殺技や特殊攻撃などを持っている場合がある。ちなみに俺はまだ何もない)

兼続さんは手から波動を出す特殊攻撃。親泰は斬撃を出している。

こういうのを見るとほんとに凄いと思う。


俺はあらかた敵兵を倒すと、二人の方を見た。

二人は今、間合いを取っていたどちらも息が最初に比べかなり上がっている


「ところで兼続、気づきましたか?」

「何をだ?」

「何故長宗我部が、茨城では幹部クラスを派遣し無かったのかということを」

「それは我々を疲れさせる為だろう?だが結果的に我々は直政の軍しか使っておらん」

「くくく」

「何が可笑しい?」

「それが狙いなんですよ兼続。」

「どういうことだ?」

「私達も井伊直政いや前田軍の幹部のことはあらかた知っています。特に警戒すべきは井伊直政の初手の攻撃力です。なので私達は井伊直政を留めれるだけの戦力しか置かなかったんですよ。あなたのことだ井伊直政を使い一気に戦況を有利にしたかったのでしょう。しかしそれが私達の狙い」

「そして直政がいない我らはこの長宗我部の本拠地では一気に戦況を有利にすることは出来ないか」

「そういうことです。ついでに井伊直政がすぐに合流しないために千葉はあけておきました。」

「我々はまんまと長宗我部の術中にはまったということか」


兼続さんと親泰が何かを話しているが途切れ途切れにしか聞こえない。だが何を話しているかは雰囲気で分かる


「そして今日ここで私達は前田慶次の首を取らせて頂きます。」

「やらせるか!」


間合いをとっていた二人が刀と槍を交じらわせる。

力の差は五分五分と言った所だ。

だがそこに一つの矛が割って入る


「代わりな兼続」


その姿はとても貫禄があった


「おや?誰かと思えば姉さんに2回もうちまかされている前田慶次じゃないですか。まさか『総大将』が出てくるとは前田は切羽詰まっているのですね〜」

「慶次!なぜお前がここにいる!本陣を動くなと言っただろ!」


兼続さんが叱責する

だが慶次さんは顔色一つ変えず声を上げる


「少し黙りな兼続。もう我慢ならねぇ長宗我部はいろいろやってくれたようだがもうそんなのはどうでもいい。こっから俺らは小細工なしの力だけで長宗我部を倒す!!まずはお前だ親泰!」


そう言うと慶次さんは矛を親泰に向ける


「こっからは前田のターンだあ!!」

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