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法術装甲隊ダグフェロン 永遠に続く世紀末の国で 『特殊な部隊』の初陣  作者: 橋本 直
第八章 銃とかなめと模擬戦と

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第49話 模擬戦開始

 ただ、どうやら全天周囲モニターに映る見慣れないゲージがランの言葉に関係しているだろうことだけは推測が付いた。


『おーい。準備できたか!』


 モニターにかなめのたれ目が映し出された。


「なんとか……」


 誠はそう答えつつ、操縦桿を握りしめた。


 かなめの赤い機体が望遠画面の正面に映し出される。


 距離は1000。もし飛び道具アリならば数秒で誠機は撃墜されているような距離だった。


『それじゃあ、西園寺かなめ対神前誠。模擬戦、スタート!』


 アメリアの合図で模擬戦は始まった。


 誠は全速力をかけて前進した。シミュレータは『位相転移式エンジン』の振動をリアルに再現するように、操縦桿を握る誠の両手を震えさせた。


「遅い……」


 先ほどかなめが指摘した通り、この機体05式の巡航速度はこれまで乗ってきた練習用シュツルム・パンツァーのどの機体より遅かった。巡航速度は02式の半分以下。確かにこれだけ遅ければ上層部が量産を見送るのも戦術などにはまるで興味のない誠にも理解できた。


「運動性は……」


 とりあえずすぐに撃墜されることはないだろうということで、誠は軽く機体を振り回してみた。


 サブエンジンの上々な吹きあがりで、機体は一気に回転する。確かにかなめの指摘通り反応速度は02式のそれをはるかに凌駕していた。


『05式は運動性は高いからな。うまく使え!』


 カウラがエメラルドグリーンの瞳でじっと見つめていた。


 距離が500に近づいた。


「どこから攻める……」


 かなめ機のどこに回り込むか。誠は頭をフル回転させて考え始めた。


 正面から切り結べるような簡単な相手とは思えない。当然背後に回れるほど05式の機動性は高くはない。


 そうなるとどの角度で切り込むかになる。誠は周りの宇宙空間に目をやった。


 戦艦の残骸が一つ浮かんでいるのが見えた。そこへの距離は誠の機体の方が近い。


『あそこに隠れよう』


 誠はそう思ってそのままその残骸の陰に機体を向けた。


『まあ、常識的な判断だな』


 操縦を見守っていたランはそう言って静かに頷いた。


「でも、レーダーが効かないんだ……西園寺さんの機体の様子が……よくわからないな」


 誠はここで身を隠すことの不利益を理解することになった。


『さて、ここからだ。西園寺への距離は200。その間に障害物は無い。どのタイミングで西園寺が斬りこんでくると思う?』


 ランの問いに誠はじりじりと機体を残骸の板の上から顔を出しつつ考えた。


「西園寺さんは……西園寺さんは……西園寺さんは……」


 誠の考えはまとまらなかった。とりあえずかなめが近づいてきている。そして飛び道具は無い。この二つの条件以外がすべて誠の頭から消えていた。


『神前!』


 誠はカウラの叫びを聞いて背後を振り向いた。


 そこにはすでにかなめが大型軍刀を抜いて誠機に斬りかかってくる様が見えた。


「なんで!まだ距離があるはず!」


 誠は何とか上段から斬り下ろしてくるかなめの一撃を避けてそのまま残骸の背後に逃げ延びた。


『手足を振って機動を制御すれば若干の距離は稼げるんだ。そんくらいシュツルム・パンツァー乗りなら常識だぞ』


 ランは冷たくそう言い放つ。誠は必死になってかなめと遭遇した地点から逃げ出そうとした。


 また正面に真っ赤なかなめ機が現れた。


『残骸を蹴って距離を稼ぐ。これも常識』


 ランの解説を聞きながら誠はさらに機体を反転させて逃げ始める。


『逃げてるだけじゃ勝てないわよ』


 少し呆れた調子のアメリアの声を聴きながら、誠は冷や汗を流しつつかなめ機におびえて残骸の中を進んだ。


「逃げてるだけじゃ……逃げてるだけじゃ……」

挿絵(By みてみん)

 誠は仕方なく軍刀を抜いて行き止まりの地点で機体を反転させた。


『あらら……行き止まり』


『終わったな』


 アメリアとカウラは完全に勝負がついたというようにため息をついた。



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