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法術装甲隊ダグフェロン 永遠に続く世紀末の国で 『特殊な部隊』の初陣  作者: 橋本 直
第四十二章 国士の『意地』と誠の『力』

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第187話 見る前に跳べ

『神前……死ぬ気か?』


 鈍重な05式とは思えない進行速度で進む誠に向けてカウラはそう冷たく言い放った。


「死なないんでしょ?僕は東和共和国民で遼州人ですから死なないんじゃないですか?僕は東和国民です。『ビックブラザー』は東和国民の死を望んでいないんでしょ?どうにかなりますよ」


 誠はやけになってそう言った。『那珂』から射出されたミサイルがかなめの周囲に向かう軌道を進んでいる。


『敵のミサイルは照準を正確につけずに発射されてる。それに主砲の狙いもかなめの馬鹿に向いてる。かなめの機体付近で爆発が起きればそれに巻き込まれて死ぬな。法術師のすべてが不死ってわけじゃねーんだ。だからオメーはいずれ死ぬ……だけど、今回は死なねーんだ。『05式特戦乙型』に乗ってるかんな。それにさっき言ったようにアタシがオメーを守るから……まー気の済むようにしな』


 ランの冷静なことばを無視して誠は光学迷彩が解けてきたかなめ機の前に飛び出した。


「僕が居れば大丈夫です!今のうちに後退を!」


『間に合うかよ……』


 二人の眼前でミサイルが炸裂する。さらに『那珂』の主砲の不確実な射撃により誠機、西園寺機は爆炎に包まれた。


 誠は死ぬと思っていた。


 たとえ、『ビッグブラザー』の加護とやらで『那珂』が沈んだとしても、ミサイルの爆発と戦艦の主砲の直撃に耐えるほどの装甲が05式にあるとは思えなかった。


 画面が爆発に包まれた瞬間、誠は恐怖から目をつぶった。


 だが、轟音が響くばかりで何も起きなかった。


 コックピットは無事。全天周囲モニターの脇の画面に映るヘルメットを外したかなめの姿も少し乱れた程度だった。


「僕……死ぬんじゃなかったんですか?」


 爆発が収まった段階で誠は何でも知っていそうな自分でも認めた永遠の八歳女児、クバルカ・ラン中佐に声をかけた。


『今回は死なねーんだ。なぜかと言うとオメーも『法術師』だから。完全な『法術師』のアタシに比べるとまだまだだけどな。目の前見てみ』


 ランはそう言って(あご)をしゃくってモニターの前を見るように誠に促した。


 銀色の鏡状の『板』が誠とかなめの機体を(おお)っていた。


「これ……何ですか?」


 誠には理解できなかった。それでもこの銀色の壁が誠とかなめを守ったらしい。そのことだけは誠にも推測が付いた。


『それがオメーの東和共和国や遼帝国以外の国の『科学では理解できない』力だ。アタシ等は『干渉空間』と呼んでる。アタシの使える『空間転移』とは違う『距離』を無効化する特殊能力だ。まあ、使い方としては『異能力が作り出した最強の盾』としても使える便利な能力だな』


 ランの言葉を聞いて誠は思った。もう自分は後戻りできない『力』に目覚めてしまったということに気が付いた。


「僕は……僕はどうすれば!」


 誠はそう叫んだ。


 近藤一派の攻撃が効かないことは分かった。そして直接誠を攻撃できないことも分かっている。


 でも、それでは任務を完遂することはできない。


『神前。準備はできたぞ、跳べ』


 ランの突然の言葉に誠はいつもの通り困惑した。


「跳ぶ?……どうやって?」


 子供のように自分に尋ねてくる誠に子供のような姿のランは頭を掻いた。


『目の前の『干渉空間』に飛び込め!次に飛び出る場所は西園寺を狙った近藤の旦那のいる『那珂』のブリッジの前だ!そこをイメージしろ!見る前に跳べ!』


 ランの叫び声を聞いても誠はうろたえることしかできなかった。


「無茶ですよ!いきなり言われても!」


 反論する誠の機体のコックピットの全天周囲モニターの中に一人の女性が真剣な表情で誠を見つめる姿が映っていた。


 カウラだった。


『神前。貴様には人にない『力』がある!跳んでくれ!』


 はっきりと力強く彼女は誠にそう言った。


「ですけど……」


 口ごもる誠はそのまま視線をかなめの画面に向けた。


『今動けるのは中佐とテメエだけだ。中佐は最後の切り札だ。そいつを出したら次の出動に差し支えるんだ。テメエが決めろ』


 かなめの檄を受けて誠は目の前にある自分の作り出した『干渉空間』に目を向けた。




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