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法術装甲隊ダグフェロン 永遠に続く世紀末の国で 『特殊な部隊』の初陣  作者: 橋本 直
第四十一章 隠されていた『力』

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第177話 跳べる人達

『地球の科学の限界が見えたところで……もう一つ、いーことを教えてやる。この宇宙の外から来た『リャオ』の言語に欠けてたのは『時間』の概念だけじゃねーんだ。『リャオ』の概念に欠けてるのは……』


 得意げにランは驚くべき話を続ける。


『まだ……あるのか?あなたの隠し玉は』


 すでに近藤はあきらめていた。相手は『不死の存在』である。科学の及ぶところでないことは地球人である近藤にも理解できるところだった。誠はこの『特殊な部隊』に魅入られた『重罪人』に同情の視線を送るようになっていた。


『ヒントをやる、遼州人は『船』を作らなかった』

挿絵(By みてみん)

『それが……何の意味が……これ以上我々を驚かせて何が楽しいんですかな?』


 突拍子もない事実を聞かされた近藤の力ない言葉にランはかわいらしい笑みで答える。


『理由は簡単。必要なかったんだ……『船』が要らなかった』


『船が要らない?あなたは運用艦『ふさ』から発艦したのでは?』


 ようやくランの言葉の矛盾を見つけて近藤はなんとか反撃に出ようとしてそう言った。


『分かってねーなー。アタシ達遼州人は『遅れた焼き畑農業しかできない未開人』にしか見えねーかな?』


『確かに……死なない原始的な化け物にしか見えないが……どうでしょうかね?クバルカ中佐』


 近藤は自分の優位を確認するような調子でそう言った。


『ちげーよ。必要がねーんだよ。必要が無いと生物は『退化』するんだよ。地球人だって尻尾がねーだろ?それが『生物学』の常識だ。これも隊長の受け売りだけどな』


『退化だ?脳が退化したんじゃないですかな?あの、『駄目人間』にふさわしい』


 そう言うと近藤の顔が元の高慢な雰囲気を帯び始めた。誠もこの『心理戦』が失敗したような気がしてきていた。


『オメーはやっぱり、隊長が言うように頭には『八丁味噌』が詰まってるわ。見えてねーよ、リアルが。遼州人の『船』への関心が退化した理由は簡単だ。『距離』の概念がねーんだよ、『リャオ』には。だから、『船』が必要ねーんだ。だから作る必要を感じなかったんだな……アタシ等『遼州人』は』


『距離の概念が……『無い』?』


 近藤は不審そうにそう言った。自分の優位が崩れていることを認めたくないという焦りがその顔に笑みを浮かべさせる。


『そーだ。今、アタシが得意の『空間跳躍』を繰り出せば、オメーの乗艦『那珂』のブリッジはいつでも潰せる。そして、アンタが間抜けな調べ方をしていたうちの神前にも似たようなことができる……つーわけだ。アタシの態度がでけー理由がわかってよかったな。バーカ』


 一瞬で『重罪人』近藤忠久中佐の表情が硬直した。


『嘘だ!でたらめだ!他の何かの事実を隠すためにでたらめを!何を知っている!貴様は何が言いたい!』


 敗北と死を悟った『漢』だがまだ彼にはそれを認めない『プライド』が残っていた。


『そうか……僕は『跳べる』のか……その力が『法術』……それを引き出すのが『法術増幅システム』……』


 誠は憐れみを込めて、そしてこれから自分が『処刑』するであろう近藤のうろたえる様を眺めていた。ランの余裕のある態度を見れば誠にも先ほどの無茶なランの命令がいかにもできることのような気がしてきた。


『これ以上オメーの『八丁味噌』に刻み込む言葉はねーんだ。それは今生きてる『遼州人』のプライバシーだかんな。アタシは隊長みたいに地球人の『実験動物』にはなりたくねーんだよ』


「地球人の『実験動物』……?」


 誠は二人の会話の外野にすぎないのは分かっていたが、その言葉につい反応していた。誠も嵯峨と同じ純血の『遼州人』である。地球科学の教えの下生きてきた自分が地球人の『実験動物』になるかもしれないという意味のランの言葉に誠はうろたえていた。


『『八丁味噌』の旦那。はなっからあんたは負けてんだ。あんたの死んだあと、アタシ等はちょっと無茶な『敵』と戦うつもりなんだ。その関係で『地球圏』やこの通信を傍受した『力無き人々』に言っとくわ……』


 ランのかわいい笑顔が凶暴な野獣のそれに一瞬変わった。




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