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法術装甲隊ダグフェロン 永遠に続く世紀末の国で 『特殊な部隊』の初陣  作者: 橋本 直
第三十四章 司法局実働部隊運用艦『ふさ』

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155/212

第155話 誠にあてがわれた私室

「ずいぶん少ないわね。せっかくいろいろとグッズ見せてもらおうと思ったのに……。これは……ふーん。画材なんだ」 


 アメリアはそう言うと警備隊員が運んでおいてくれたダンボールを一つを覗き込んだ。誠はベッドの上の着替えなどをバッグから取り出しロッカーに詰め込んだ。それほど物はない。手間がかかるわけでもない。


「ええ、帰りに宇宙でも描こうと思って……絵は昔から得意なんで」


「宇宙?何にもないだろ?」

挿絵(By みてみん)

 カウラのつぶやきに手にスケッチブックを持ってめくっていたアメリアが噴き出す。


「あのねえ、カウラちゃん。宇宙はロマンなのよ。絵師なら描きたくもなるわよねえ」


 アメリアの言葉に誠は頭を掻きながらうなづいた。


「そんなもんなのか……」


 カウラがどうも納得しきれていない表情を浮かべるのを見ながら誠は着替えなどを片付けることにした。


 三人は黙って誠の私物を私室の備え付けの棚にかたずけた。


「じゃあ、私は行くから」


 誠のイラストを机の引き出しにしまったアメリアがそう言って立ち上がる。


「そうだな。もうそろそろ出航の時間だ」


 カウラはそう言いながら誠の酔い止めの入った薬箱をその下の引き出しに入れた。


「動きます?」


 自分で言っておきながらかなり間抜けだと誠も思っていた。


 船である以上動くのは当然である。しかし、誠は人並み外れて乗り物に弱かった。


「大丈夫よ!重力制御装置は最近ではかなり性能がいいから。しかも、この艦はハンガーや倉庫まで重力制御が効いてるのが自慢なの!まるで無重力状態になると胃袋が逆流する誠ちゃんのためにあつらえたみたい!それじゃあ!」


 誠の私室を去っていくアメリアの言葉に誠は少しばかり安心した。


 誠の胃は重力の制御を離れるとすぐに暴走するやんちゃな胃袋だった。この宇宙大航海時代にあって、まだ飛行機すら乗れない誠はまさに時代から取り残された存在だった。


 パイロット育成過程でも誠の吐瀉癖(としゃへき)は最強の酔い止めでなんとか止められる程度であり、自分としてはとても宇宙軍勤務は不可能だと思っていたので今回の演習には危機感を持って挑んでいた。


「神前……大丈夫か?」


 カウラの言葉で誠は自分の顔に冷や汗が浮かんでいることがわかった。


「大丈夫だと思いますけど……」


 とりあえず戸棚にカギをかけると誠はそう言いながら立ち上がった。


 ぐらりと地面が揺れるような感覚が二人を襲った。


「出航だな」


 カウラの言葉に誠は青ざめて頷いた。


「とりあえず……僕は医務室で……酔い止めとかもらってきます……」


 誠は緊張のあまり胃から逆流してくる内容物を何とか抑え込みながらそう言ってカウラの美しい面差しを眺めていた。




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