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法術装甲隊ダグフェロン 永遠に続く世紀末の国で 『特殊な部隊』の初陣  作者: 橋本 直
第三十章 決起の時

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第139話 自己満足

『この哀れな同志達は、俺の言葉に酔ってやがる。弱気が過ぎますよ、貴方方は。』


 近藤はそう確信して笑みを浮かべた。それがさらに彼等の考えを自分の理想へと近づけていくものだと近藤は確信していた。


「つまり、嵯峨惟基少将には、私の描いたシナリオに完全に乗ってもらうわけですよ。分かりますか?とりあえず私の艦隊が独自に決起する。私の少ない手持ちの艦隊が嵯峨の部隊と互角にやりあえるとなれば状況は変わる……皆さんも民派の枷が外れて自由に動けるようになる……違いますか?」 


 近藤が頬に浮かんだ笑みが嘲笑の色を帯びていくのに、モニターの中の軍幹部達は気づいていなかった。同志達の顔には相変わらず当惑の表情が浮かんでいた。


『こいつ等が同志とは……あなた達の決起を待っていては……俺はもう待てない!』


 心の中で苦虫を噛み潰しながら、近藤はあてにならない支援者の顔を観察していた。


『分かった。好きにしたまえ。しかし我々のこうした接触は……』 


 この事態に至っても日和見を続ける同志達に近藤を心の中で呪った。


 もしこの甲武国『官派』の軍高官達が手の届く範囲にいたら。近藤はその時は階級にかまわず殴り倒すつもりだった。


「こんな会合は無かった。それでよろしいんですね?」 


 何度この忌まわしい言葉を吐くことを強制されてきたか。そして自分はそれに十分耐えてきた。その事実を思い出すと、さらに不愉快な気分が近藤を支配した。


『そうだ!健闘を祈る!』 


 次々と高官たちがモニターから消える。近藤は暴言で爆発しかねない自分の心をようやく落ち着けると深く椅子の奥に座りなおした。


「いよいよですか?」 


 近藤の後ろに立っていた艦長は静かにそう尋ねた。近藤は静かに椅子を立つと、窓から演習地帯の方に目を向けた。


「今だ……今しかないんだ。国を憂える誰かが立たねばならんのだ。生きていくための士族や貴族の特権を奪われて、誇りを捨てて死を待つのか!あなた方は!なぜその決まりきった結果が理解できない!」 


 これまでの冷静な言葉遣いとは違う心から搾り出された声が部屋に響いた。


「心中お察しします」 


 艦長は静かに近藤に会釈する。そんな部下の気遣いを知りながら、近藤はただじっと星の瞬く闇を見つめていた。


『ここで我々は勝たねばならない。そうしなければ……甲武の伝統は終わる』 

挿絵(By みてみん)

 近藤は思いを固めると艦長から手渡された司法局実働部隊の演習要綱の写しをめくって見せた。


「私が甲武国海軍に奉職して以来の最大の賭けだ。これだけは勝たせてもらう」 


 近藤は手の上の冊子をめくりながらは一人つぶやいた。




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