第14話 他の子はダメ
海旅行四日目。今日はアルバイトの最終日となるが、他のバイトの人が補充されるらしく俺達は半日で終了だ。
目いっぱい遊ぶとしたら、バイト終わりの今日の午後がラストになる。
明日も時間はあるが、時間を気にしないで遊べるのは今日が最後だろう。
今日の主なイベントとしては、父の会社が主催するビーチクイーンコンテストというものがあるらしい。
まぁ名前の通り、クイーンを決めるコンテスト……水着で行うミスコンだな。
すっげー楽しみ。我こそはという美女が水着で次々と登場するのだから。
そしてなんと、彼女達も参加するらしい。
春香とかトーリは嫌がりそうなものだが、海の家のNo1なんていうお遊びとは違い、入賞の商品は桁が違うのでそれ目当てだろうか。
誰が優勝してもおかしくないと俺は思うが、流石に厳しいだろうか。彼女達と同じくらいに綺麗な人、可愛い人は沢山いるしな。
ちなみに、八千代さんは参加しないらしい。
「わ、悪いお前ら! 補充のバイト達が遅れているんだ! 渋滞に巻き込まれたとかで……」
そろそろバイトも終わりかと思っていた頃、慌てた様子の五郎丸さんが駆け寄ってきた。
俺達と交代する予定だったバイト達が、まだ到着していないとの事だが。
「今お前達に抜けられると厳しくてなぁ……もう少しだけ頼めないか?」
「俺はいいですけど、みんなはコンテストがあるんでどうですかね……?」
せっかくみんなやる気なんだし、俺も彼女達が舞台に立っている所を見てみたい。
優勝は厳しくても入賞すれば特典もあるし、何よりいい思い出になるだろうしなぁ。
「大丈夫だ! さっき六斗に連絡したら、みんなの出番は後ろの方に回してくれるって言うからよ!」
すでに根回し済みな様だ。そういう事ならと、お世話になっている五郎丸さんと八千代さんのために俺達は頑張る事にした。
――――
――
―
「――――わ~、凄い人だね」
「こ、こんなにいるの!?」
「あそこに立つの? 水着で?」
「かなり恥ずかしいですね」
想像以上の賑わいを見せていたビーチクイーンコンテスト。
お昼頃から始まったはずだし、時間的に終盤辺りなのだろうか?
もっと軽い感じなのかと思っていたのだが、高校生の学園祭などで行われるミスコンとは空気が違っていた。
しっかりと組まれたセットに、プロっぽく進行していく司会者。なんか、テレビ局とかにあるようなカメラまであるんだが。
そんな壇上では、綺麗なお姉さんが笑顔で手を振っていた。
『これだけお綺麗なのですから、彼氏はいるのですか?』
『募集中で~す!!』
『『『『ウオぉぉぉぉぉぉ!!!!』』』』
うるさいくらいの大歓声。女性もチラホラいるが、やはり大多数は男性のようだ。
「お~……あの人綺麗だなぁ」
コンテストに出るほどなんだ、当たり前だがスッゲー綺麗な人が壇上に立っていたので、思わず口に出してしまった。
「「「「……は?」」」」
どうやら壇上に立って手を振って終わりではなく、質問もされる様子。この質問を使い、いかに投票者の心を掴むのかが勝負のカギとなるのか。
次に出て来た子は、さっきのお姉さんと比べるとスタイルとかがアレだけど……上手く質問を使って男心を掴んでいるのか、さっきのお姉さん以上の歓声を浴びていた。
よく見ると、四人と同じ高校生のようにも見える。こりゃ本当に上手くいけば、四人の誰かが優勝しちゃったり!?
「「「「…………」」」」
隣を見るとちょっと厳しい顔をした四人が。やっぱり嫌なのだろう……でもなんで俺を睨むのだ、怖いんだけど。
そりゃそうだろう。俺だったら尻ごみと言うか……ハッキリ言ってやりたくない。
「……やめとく? ジロジロ見られるのも……嫌なんだろ?」
「そこじゃないんだけどね?」
「うん、そこじゃないんだよ」
「なんですか、デレデレして」
「変態。鼻の下が伸びてたわ」
へ、変態!? 今は引っ込んだけど、さっきのお姉さんを見て綺麗だと呟いたせいで怒っているのか?
あのアキが頬を膨らませて怒っている。トーリの蔑んだような目は相変わらずだが、春香と夏菜ですら厳しい目を向けていた。
他の女性を褒めたからか? なんかそれ……嫉妬? 流石に違うか。
近くにいる男が、名前も知らない女を褒めるから気分が悪かったのだろう。
【ごめんなさい!】
【みんなも綺麗だ】
【嫉妬してるの?】
ならばとるべき行動は……。
「みんなもキレ――――アカンッ!!」
「な、なに!? ビックリするよ」
「いきなり大きな声出さないで!」
「し、失礼……ちょっと事情がありまして」
危ない危ない。火に油を注いでしまう所だった。
みんなも! 綺麗だって? そんな同等に扱ってはダメだ! なんてトラップを仕掛けやがる。
ここは黙って謝罪だろう。誤って留飲を下げてもらうのだ。
「ごめん――――ください!!」
「「「「はあ?」」」」
認めちゃダメだ! 下手をすると更に機嫌が悪くなる可能性があるじゃないか!
となれば最後……なんだよ? 嫉妬してんのか? そ、そんな事ない! 馬鹿じゃないの!? あ~はいはい、分かってる分かってる。
これで行こう。俺が優位に立ってお茶を濁す。
「なになに、嫉妬してんの? な~んちゃって――――」
「――――そうだよっ! 悪い!?」
「他の子の事は見ないで欲しい……」
「私達だけを見て下さい。よそ見しないで」
「クローのために出るようなものなのだから」
「……へ?」
え……本当に嫉妬してるの? 冗談を言って揶揄っている様子はないけど、本気で?
いやいや、いつもみたく冗談だよ~って続くんだ、そうなんだろ?
「「「「……ちゃんと見てて」」」」
そう言ってひと睨みのち、彼女達は舞台の裏側に消えていった。
怒っていると言うより、意気込んでいると言った感じだったけど……まさか本当に俺のために出るというのか?
何だよそれ……めっちゃ嬉しんだけど。
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→【あなただけへのアピール】




