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第7話 誘惑担当?






「ねぇクーちゃん、早く~」


 そう言ってうつ伏せで横たわっているアキ。俺は一歩も動く事ができないでいた。


 ビーチに来てすぐに大きめのシートを敷き、パラソルを二つ設置。さっそく母が一つを占領し本を読み始めた。


 泳ぐ気はないようで、本当に保護者として同伴しただけな様子の母さん。


 それはいいのだが、問題はもう一つのパラソルの方。アキ以外の三人が準備運動やら浮き輪やらを用意している中、一人だけ俺に近づいてきたアキ。


 俺と他の三人プラス保護者がいる中、もの凄い事を言い出した。



『クーちゃん。オイル塗ってくれますか?』


 他の三人が、しまった! と言いたげな表情をする横で、俺はアキが何を言っているのか分からなかった。


『みんなはコテージで塗っていたみたいですけど、私は間に合わなくて』


 聞くと日焼け止めを塗ってほしいらしい。アキは準備にもたつき、日焼け止めを塗る時間がなかったという。


『スプレータイプとローションタイプ……どっちがいいですか?』

『どっちと言われても……』


『私に直接触れたいのか、私には触れたくないのかです』


 なんて意地の悪い聞き方をしたアキ。スプレーを選んだらお前には触りたくないと言った事になるかと考え、ローションタイプを受け取ったのだが――――



「――――なぁアキ。夏菜とかにやってもらった方がよくないか? ガッツリ……触る事になるぞ?」

「触りたくないの?」


「……え?」

「クーちゃんがいいの! ほらほら、合法ですよ~?」

「ご、合法……」



 【合法接触】

 【濃厚接触】

 【権利譲渡】



 合法ならば、濃厚に。夏菜たちに接触権利を譲るのはもったいない。


 他の三人は厳しい顔をしているが、特に止めるつもりはないようだ。


 合法だから止めないのだろう。本人がいいと言っているんだ、これ以上ないほどの合法案件じゃないか。



「……では、参ります」

「クーちゃん。まず水着を解いてくれないと」


「……解く?」

「そのままだと水着に染みちゃいます。背中と首元の結び目を解いて下さい」


「……首元は解く必要なくないですか?」

「念のためです」


 流石に辺りがザワつき始める。アキの水着は背中と首元で結んでいるタイプ……つまり、解けは脱げるって事じゃないのか?


 ただでさえ大きい物をお持ちなのに、見えちゃうんじゃないか? 横……とかさ。



「強いわね」

「強すぎだよ」

「というかデカすぎ」


 他の三人は準備万端のようで、俺達を待っているようだ。


 待たせるのは悪いと、震える手で背中と首元の結び目を解いた。


 真っ白でシミ一つない背中が眼前に現れる。さっきまでだってほとんど露出していたようなものなのに、解くだけでここまで印象が変わるとは。



「じゃあ、いくよ?」

「はい。どこでも好きな所に掛けて下さい」


 背中以外のどこに掛けろと言うのか。妙な言い回しをするアキの背中の中心に、日焼け止めのローションを垂らした。


「……あんっ」

「…………」


 冷たかったのか? ちょっと危険な声が聞こえた気が……しかしどう塗ればいいのだろう? 適当に伸ばせばいいのだろうか。


 いよいよアキの背中に触れ、壊れ物を扱うかのように優しくローションを引き延ばしていく。


「……うんっ……あ……んっ……」

「…………」


 背中はスベスベで、本当に人間の背中かと思う程。誰かの背中に触れた事なんてほとんど経験がないが、これはアキだからなのだと思う。


「やんっ……クーちゃん……そこ……」

「…………」


 アキはうつ伏せなので横顔しか見えないが、気持ちよさそうに目を閉じている。僅かに開いた口から妙に色っぽい吐息が漏れていた。


 考えないように、見ないようにしていたが……どうしても声は耳に入ってしまう。


「気持ちいい……そこだめぇ……」

「…………」


 ……こいつ、ワザとだな? 経験がない男を弄んでいるんだな?


 聞いた事もない声を出しやがって……ほんっとありがとうございました! いい経験をさせてもらいました!



「アキ、終わったよ」

「え~? まだしてくださいよ~。ほら、その脇の辺りとか」


 そこは見ないようにしていたのだが。その辺りだけ妙に柔らかそうな物がチラチラ見えて困っていた。


 ……水まんじゅう? 水風船を押しつぶしたように変形している……ってイカン! ここから先は違法接触だ。


「クーちゃんなら、少しくらい触ってもいいですから」

「えっ!? いいの!?!?」


「「「いいわけねぇだろぉ!!!」」」


 違法から合法になり、少しだけ手が伸びようとした時に法の番人からストップがかかった。


 俺を押しのけて夏菜たちがアキに近づき、若干乱暴気味に身体中にローションを塗りたくり始める。


 その光景もかなりエロ……という所で、隣からかなり厳しい目をした処刑官(母親)に睨まれたため回れ右。



「ほら! あたし達が塗ってあげるから! デカっ!?」

「秋穂! やりすぎ! その武器で誘惑するの禁止っ!」

「邪魔する気はないけど、一人で駆け抜けるのはダメよ」

「あ~んもうっ! ちょっ変な所触らないで下さいっ!」


「「「その変な所を触らせようとしてたのはアナタでしょ!?」」」


 どこだろう? 俺にどこを触らせようとしていたのだろう?


 その後、もみくちゃにされて疲れた様な顔をするアキと、やってやったと言う顔の三人を連れて海へと飛び込んだ。


 初めは足が着く浅い所で、徐々に沖に進みだす。そんな各々楽しそうに遊んでいる中、一人だけ真剣な表情をしている子が。


 春香だ。少しだけ強張った表情で浮き輪にしがみ付いているが……まさか春香、泳げないのだろうか?


 この子、本当に運動が苦手なんだなぁ。


お読み頂き、ありがとうございます


次回

→【そういう関係】

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― 新着の感想 ―
[一言] 阻止されたとはいえ 強力な武器を持ってるというのはやはり強いな…
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