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第9話 アピール開始






 始まりました、生徒会選挙週間。


 すでに立候補者の告知は済んでおり、生徒たちは把握済み。


 生徒会長に立候補したのは二名。前期同様に当選を狙う任木田先輩と、下剋上を狙う陽乃姉さん。


 他の役職に立候補した人は、ライバルがいないという訳ではないみたいだが、アピール合戦には参加しないっぽい。


 そんな熱量が普通である中、この二人だけは熱戦を繰り広げるつもりらしい。



「さぁ、それじゃ行くわよ? 今日は二年生ね」


 昼休み、陽乃姉さんの号令で俺達は動き出した。


 俺達の出番は主に昼休みと、生徒会選挙時間に充てた午後の一コマ。とはいっても、午後の一コマは姉さんの演説が主で、俺達はついて行くだけ。


 月火水で学年ごとのアピール。木が全生徒に向けたアピール。そして金が投票日の予定となっている。


 俺達がアピール……というか四季姫たちが頑張るのは主に、月火水の昼休みとなる。



 そしてやってきた、四季姫にとってはホームグラウンドの第二学年。


 その二学年の廊下を練り歩きアピールする、四季姫+陽月姫+主人公+脇役&モブ。



「生徒会長には酒神陽乃を宜しくお願いしま~す」


 春香が優しく微笑めば。


「絶対に酒神陽乃が学校を楽しくするから、よろしくねっ!」


 夏菜は天真爛漫に笑顔を弾かせ。


「よろしく願いします。酒神陽乃をお願い致しますね」


 アキが艶やかな仕草を見せる横で。


「清き一票を、酒神陽乃にお願いします」


 トーリは涼し気な目で男子の心を射抜いた。



 二学年の廊下は男子生徒で凄い事に。道は生徒で塞がれているのに、陽乃姉さんが先頭を歩けば面白いように人だかりが割れていく。


 凛として堂々な姿は流石だが、男子の目はどちらかというと四季姫に釘付けだ。



「みんな! 酒神陽乃をよろしく!」


「「「「きゃー!! 公太く~ん!!」」」」


 そして我らが主人公、酒神公太が女子生徒の心を鷲掴み。爽やかスマイルを見せる公太を見る女子生徒の目は、誰も彼もがハートになっている。


 ……はぁ、いいなぁ。



「きゃー! 九郎さ~ん!」


「――――っ!? はいっ! 酒神陽乃をよろ…………なにやってんの? 月ちゃん」


 目を向けるとそこにはワザとらしくキャピキャピした月ちゃんの姿が。


 あなたね? こっち側なんだから、ちゃんとアピールしなさいよ……しかしキャピつく月姫も可愛いな。



「僕の事も呼んでって顔をしてましたので、可愛い後輩が呼んであげました」

「ああそうですかっ! それはありがとうねっ!!」


 悪戯っ子のような顔を見せた後、月ちゃんも四季姫と同じように周りにアピールを開始した。


 一学年の姫と言われるほど有名な月ちゃん。流石に向けられる目と声援は中々のものだった。



「呼んでもらえるだけマシだろ!? 俺の事、忘れてないよな!?」

「忘れてねぇよ、誰も覚えてないと思うけど」

「それを忘れるって言うんじゃないのか!?」


 俺の隣には、申し訳程度の公約が記載されているデカい紙を、高々と掲げている央平が涙ながらに叫んでいた。


 そういう俺も、酒神陽乃……と綺麗な文字が書かれた旗を持って歩いている。


 俺達はまぁ、雑用だ。地味に重いんだよ、これ。



「「「「みんな! よろしくね!」」」」


 声を合わせた四季姫の魅惑攻撃。


「「「「投票させて頂きます!!」」」」


 改心の一撃。男子生徒は心を穿たれた。


「みんなも、酒神陽乃をよろしく!」


 勇者公太の超絶イケメン攻撃。


「「「「はーい!! 絶対に投票しま~す!!」」」」


 会心の一撃。女子生徒は心を落とされた。



「あ~……掲げすぎて手が痺れてきた」

「俺も、地味に手の平が痛い」


 脇役達の愚痴攻撃……ミス! 誰も興味を示していない。


 同じパーティーなのに、どうしてこうも違うのか。これなら馬車の中にいた方がマシじゃないか。


 そんな雑用係の俺は、凄く久しぶりに央平との絆が深まったような気がした。


「いやだよ、なんでお前なんかと」

「はぁ? なんだよいきなり」


 とりあえず、現時点での二学年の人気は頂いたのではないだろうか?


 任木田先輩は男、陽乃姉さんは阿修羅みたいではあるが女だ。


 男子人気は確実、女子人気だって公太という学園一のイケメンと名高い男がいるのだから。


 なにより四季姫。同じ学年という事もあり、恐らく二学年での人気が一番高いだろう。



 ――――

 ――

 ―



 廊下でのフリーアピールを終えた後は、午後の一コマを使い各クラスを回って演説した。


 一クラスを五分程度で回り、陽乃姉さんが壇上に立ち演説する。臆する事なく堂々とする陽乃姉さんはカッコよく、とても綺麗だった。


 ほんと、そういう風にしていれば俺達のような補佐なんて必要ないのに。


 残すは一学年と三学年。


 二学年は頂いたも同然であろう。なんせこっちには同学年で関りが深い、四季姫と公太がいるのだから。


 そして次の日の昼休み。一学年にアピールするため、昨日と同様に廊下を練り歩いている時に事件は起こった。



「――――おや? 酒神君じゃないか」


「……ん? げっ!? 任木田……」


 陽乃姉さんの眉間に皺が寄り、とある男子生徒を睨みつけ始めた。


 印象が悪いと、月ちゃんと公太が止めに入るが陽乃姉さんは聞き入れず、ライバルである任木田先輩に食って掛かる。



「なんでアンタが一年を回ってんのよ? アンタは今日、二年を回るはずよね?」

「そうだったかな? 秘書が間違えてしまったのかもしれないね」


 飄々と話す任木田先輩は、普通にイケメンだった。女子人気があるのも頷けるほどで、その周りには四人の女子生徒と数人の男子生徒の姿もあった。


 誰も彼も美少女でイケメン。俺的には四季姫の方が可愛いし、公太の方がイケメンだとは思うけど、感じ方は人それぞれだからなぁ。


 その時、任木田先輩が陽乃姉さんに近づき、周りの生徒には聞こえないほどの声量で陽乃姉さんに耳打ちをした。



「潰しておこうと思ってさ、ここで」

「あ? アンタ、良い度胸ね?」


「ふふふ……三学年はもう掌握したよ? あとは一年生を押さえれば、君に勝ち目はない」

「二年はアタシ達が押さえたわ。あんま舐めんじゃないわよ」


「なら、ここが天王山だね? 一学年の人気を集めた方が、生徒会長だ」

「上等よ。後で吠え面かくんじゃないわよ?」


 片や爽やかに微笑む先輩と、片や鬼の如く睨みを利かせる先輩。


 このままじゃアカン。誰がこんな鬼が生徒会長になるように願うんだよ。


 陽乃姉さんが引くはずもなく、俺達は先輩たちの戦いに巻き込まれる事になった。


お読み頂き、ありがとうございます


次回

→【前哨戦】


明日は投稿できないかもなので、本日2話投稿を考えております

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