第9話 体育祭・開幕
トーリ推し発見記念
本日2話目
体育祭の話は、それぞれ少し長めになってしまいました
本日は晴天なり。
やってきました体育祭。本日はお日柄もよく、クソあちィ。
体育祭は球技大会と違って、全ての競技が外で行われる。気になるあの子の汗が色っぽく、隣の男子の漢の熱気が暑苦しい体育祭。
この日のために、愛川と一緒に頑張った。そしてその特典が……扇風機設置のテント内で休める事! だって代表ですから!
しかも基本的に体育祭の進行は、生徒会の三年生と教師が取り仕切る。俺達は自分のクラスの事だけを考えていればいいのだ。
生徒会と言えば……最近、陽乃姉さんから面倒なメッセージが送られてきたのだが、それは後日紹介しよう。
「暑いね~脇谷君……」
「あぁ、暑い……でもアイツらはもっと熱いだろうぜ」
手でパタパタと自分の顔を仰いでいた愛川。他の代表も暑そうにしている。
俺達のいるテントの反対側、トラックを挟んだ向こう側には、学年ごとに分かれた各クラスの生徒が整列していた。
そちらもテントで日光を遮って入るが、扇風機はない。更には密度、女子に囲まれるのは悪くないが、暑いのは暑い。そのためみんな、団扇で必死こいて仰いでいる。
それとは別に定期的な打ち水と、業務用の扇風機がグラウンドに設置してあった。ミストファンの前は大盛況だな。
「あつ~い……脇谷く~ん、仰いでぇ?」
「ああ、はいはい」
手渡された団扇を持ち、愛川に風を送ってやった。
心地よさそうに目を閉じ、口が半開き。ほんのりと火照っている様子がエロ……!!
隣に座る代表の男子が羨ましそうに見てきたが、譲りません、絶対!!
そんな、この暑さをくれた天に感謝をして、ついに――――
「――――体育祭の開催を宣言します!!」
「「「「「「おおおおおおおおおおぉぉぉぉぉ」」」」」
生徒会長の宣言により、ついに体育祭が始まるのでした。
――――
――
―
体育祭が徐々に盛り上がりを見せていた時、ついに俺の出場する競技が近くなってきた。
「じゃあ愛川、俺いってくるわ」
「うん! 頑張ってね!」
微笑む愛川に見送られ、テントの外に出た。
【自分のクラスへ】
【春香のクラスへ】
【冬凛のクラスへ】
う~ん、確かにちょっと蓮海とトーリの事が気になったんだけど、時間的に行けて一クラスかな?
両方とも隣のクラスだけど……って、迷ってる時間もないか!
……
…
「――――よぉトーリ! 調子はどうだ?」
B組のトーリの元へ。実はちょっと興味があったんだ、トーリって運動できるのかなと。
同じクラスの愛川とアキは体育とかで見る機会もあるんだけど、トーリが運動している所は見た事がない。蓮海は……まぁ、蓮海だから。
「あらクロー。よく敵陣に丸腰で来れたわね?」
「敵って……まぁ敵だけど」
椅子に座って、まさに女王様といった態度で足を組んでいたトーリ。
スラリと長い脚がとてもお綺麗で、白いハチマキが亜麻色の髪によく似合っていた。
「トーリってさ、運動できるの?」
「いきなり失礼ね? 出来ないように見えるのかしら?」
「いや、そんな事はないけどさ……」
ボウリングの時は、すぐ拗ねるって事しか印象に残ってない。結果だけ見れば、アキよりは運動が出来て、愛川よりは苦手って事だけど。
仕舞には腕まで組みだしたトーリ。足組み腕組みの横柄な態度の子、なぜか運動が出来るのだと錯覚してしまいそうになった。
「徒競走1位、障害物競走1位」
「え……?」
「聞こえなかった? 私の成績よ」
「マジで? すげぇな……」
障害物競争はまだしも、徒競走で1位なら本物か。とりあえず足は速いという事だ。
自信満々な様子でトーリは話し続けた。
「まだ序盤だけど、私のクラスは1位よ?」
「マジか……うちは2位だな」
確かにB組は1位だった。俺達C組は、公太と愛川が何回か1位を取っていたのだが、それでも及んでいないのか。
体育祭は学年ごとに争われる。二学年全六クラスで、俺達C組は現在二番手だ。
「もしかして最強リレーに出るのか?」
「出ないわ。目立ちたくないもの」
という事は出れる実力はあるのか。悪びれもせずそう言う所がトーリらしい。
「おいお前! 向空さんに何の用だよ!?」
「そうだ! 大体、トウリってなんだよ!?」
やば。人気者のトーリと話し過ぎたようで、苛立った様子でB組の男子生徒が声を荒げ始めた。
学年でも有名な方のトーリだ。間違いなくクラスのアイドルだろうし、他クラスの男子が自分のクラスのアイドルと仲良くするのは気分悪いか。
「……彼とは友達よ」
どこか機嫌悪そうにトーリが代わりに答えてくれると、男子生徒は逆に嬉しそうにトーリと話し始めた。
その際、俺の事を腕で押しのける。態勢を崩すほどでもなかったが、多少イラっときた。
「ねぇ向空さん! 俺もトウリって呼んでいいかな?」
「お、俺も俺も! 俺の事も名前で呼んでいいからさ」
男子生徒がトーリに詰め寄る事に再度イラっとしたが、どうやら俺以上にイラっとした人がいるようだ。
「いやよ」
「え……?」
「だから嫌よ。貴方達に名前で呼んでほしくないわ」
トーリの目、かなり鋭い。温かみが完全に消え、あの陽乃姉さんに近しい目だ。
こんな目を向けられたら、ゾクッとするとかじゃなく純粋に怖い。
「で、でもさ……そいつには名前で」
「クローには呼んで欲しいから呼ばせているのよ」
「そ、それって……」
「貴方達には関係ないわ……行きましょ、クロー」
「お、おう」
俺の腕を掴みテントの外に出るトーリ。男達は呆気に取られた後、力なく椅子に座り込んでいた。
「お、おいトーリ! いいのか? クラスメイトだろ?」
「別に構わないわ。仲の良い女子は沢山いるし、男なんてどうでも」
テントを外れ、人気のない方へ。組まれた腕に当たる感触がマジやばい。
半袖から覗く腕は若干汗ばんでいて、妙に艶めかしい。
「ト、トーリ? ちょっと……ヤバくないか?」
「……? 何がよ」
「な、何がって……」
人気がないと言っても、普通に視線を感じる。こんな所を男子に見られたら、騎馬戦とかの時に処されるかもしれん。
「な、なぁトーリ、少し――――」
「――――クロー、一番最初に私の所に来たわね?」
「は?」
「代表テントから出て、真っ先に私の所に来たわねって言ったの」
「え……み、見てたのか!?」
代表テントと一般生徒のテントは結構離れているのだが、随分と目がいいんだな。
しかし見られていたのは恥ずかしい。自分のクラスより先にトーリの所に行くとか。
「どうしてか…………うれし……たわ」
「どうしてか……え、なんだって?」
「……二度は言ってあげない」
ツンっとソッポを向いて、トーリは顔を隠してしまった。
顔は見えないが、耳が真っ赤だ。なんだ? 恥ずかしい事をトーリは言ったのか?
「じゃあ、貴方も頑張りなさいよ」
「お、おう」
最後に胸をトンっと叩かれ、トーリは自クラスのテントに戻って行った。
呆けながらC組のテントに行くと、慌てた様子の公太と央平に拉致され、どこかに連れて行かれる。
どうやら、俺の出る種目はもう始まっているらしい。
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夏姫、秋姫推しの方がいらっしゃれば、教えて頂けると嬉しいです
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