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第8話 夏姫・個別イベント

 




「はぁ~い静かに~! 体育祭の打ち合わせをするから席について~」


 教壇に立ち、体育祭の打ち合わせを進行しようとする副委員長の愛川。


 その笑顔、マジで夏の天使。溢れんばかりの明るい笑顔は、徐々に教室中に感染していく。教祖と信者、そう言われても違和感がないほどのカリスマぶりだ。


 全員が愛川の笑顔にやられ、腰を折り座する。たちまち騒がしかった教室内は静まり返り、全ての信者の目が教祖へと集まった。



「ちょっと脇谷いいんちょ!? なんで座ってるの!? 貴方はこっち側でしょ!」

「すみません、教祖・夏菜。でも俺は信者側だから……」


「な、なつ、ななな!? い、いいから早く来いっ!!」


 教祖が顔を真っ赤にしてお怒りだ。愛川に任せれば万事オーケーだと思ったのだが、一人でやらせる訳にはいかないか。


 我関せずと隅の方で沈黙を貫いていた荒木先生からも、鋭い眼光が飛んできた。


 俺はビクビクしながらも移動し、愛川の隣に立って教室中を見渡した。



「はい、じゃあいいんちょ! 進行は任せるよ? ウチは書記するから!」

「お、おう! しかし進行か……信仰なら得意なんだけどな」


 自分のクラスと言えども、普通に緊張する。ここまで多くの目が俺に集まった事などあるだろうか?


 ……最近はあるか。俺の隣で微笑んでる愛川もその原因の一人。更に教室を見渡せば、アキとバッチリ目が合い微笑まれた。


 最近はこの二人プラスαの人気女子といる事が多いから、俺は男子生徒からたくさんの憎悪の視線を受けていた。


 まぁ、それに我慢すれば愛川たちの隣にいられるんだから、安い物ではあるけど。



「え~と、まずですね……一人、二種目以上の競技に参加してもらいます。全員参加の競技は男子は騎馬戦、女子は玉入れ。あと男女全員リレー……――――」


 初めの方こそ緊張したが、愛川のフォローもあり恙無(つつがな)く会議は進んで行った。


 央平やクラスのお調子者男子が場を盛り上げ、公太や女子生徒がそれに対して笑い声を弾かせる。


 このクラスの雰囲気はいいと思う。男子生徒と女子生徒が仲の良いクラスと言うのは、高校生ともなるとありそうで中々ないものだ。


 実際、一年生の時は男子と女子の仲が良かった……とはお世辞にも言えなかった。


 このクラスは仲良しクラス。そしてそれを作り上げた立役者は、やはり公太と愛川ではないだろうか?



「みんなぁ~優勝だぁぁぁ!!」


「「「「「うぉぉぉぉぉ!!!!」」」」」


 愛川の煽りに一丸となるC組。馬鹿みたいに声を上げる男子、ニコニコと笑う女子。


 普段は大人しい人達ですら、楽しそうに笑顔を作っていた。


 愛川のカリスマ性がみんなを纏め、公太という主人公が夢物語から現実譚へとみんなを導く。


「み、みんな落ち着いてっ!? まだ決める事あるから!」


 本来、慌てて皆を鎮めようとしている彼女の隣にいるべきなのは……。


「いやいや、煽ったのは愛川さんだろ!?」

「そうよ! 責任取ってよね!」

「酒神がいれば優勝間違いなしだろぉ!」

「だよねだよね! ほんとに優勝できちゃうかも」


「だ、だからみんな! 落ち着いてってば!!」


 俺ではなく、やっぱり公太ではないのかと思うんだよ。


「おい九郎! なにボケっとしてんだよ!?」

「ははは、委員長! シャキッとしてください!」


 央平と公太の煽りを受けて、慌てて頭を切り替えた。


 煽る主人公と煽られる脇役。やはりどこか、違和感を感じられずにはいられなかった。



 ――――

 ――

 ―



 出場する種目が決められ、残すは一つ。



「じゃ~最後、最強リレーの選手を決めます」


 男女四名ずつの計八人で構成される最強リレー。


 まぁ名前の通り、全員参加の全員リレーとは違い、各クラス最強の足を持つ生徒による頂上決戦。


 体育祭の締めを飾る花形種目。配分される点数も高い。



「単純に足の速い男女四人でいいんじゃねぇの?」

「そうだな。こればかりは実力重視だ」


 愛川に女子を、俺が男子の方を確認する事になった。男子と女子に別れ、体育などで計測したタイムから最強を選出していく。



「当確は公太と速人(はやと)君……次点で疾風(はやて)君と……ッチ、央平かよ」

「おぉぉぉ!! 頑張るぜ!!」


 コイツ、馬鹿なのに足が速いんだ。なんだって? 馬鹿なのに足が遅い脇役がいるって?


 言っておくが俺だって足の速さには自信がある! だが今回はタイムが全てだ。


「じゃあ男子は決まりだ。四人とも、よろしくな」


「うん、頑張るよ」

「任せとけ! 優勝するぜ!」

「人より速いから速人なんだ」

「我、疾風の如く……!」


 やる気満々な四人、これは本当に優勝できてしまうかもしれない。


 女子の方はと、愛川に目を向けると目が合った。向こうも終わったようだ。



「女子の方は決まった?」

「うん! 完璧な布陣! これ見てっ!」


 女子のリストを渡され、書いてある名前を見ると……なるほど、速そうだ。


 愛川、速水(はやみ)早川(はやかわ)林出(はやしで)。はやはやはやっ……うん、文字だけで速そうだ。



「やっぱ愛川、足速いんだな」

「まぁね~。ウチ陸上部だし、走りは任せて!」


 陸上部だったのか。なんとな~く元気娘ってバスケとかのイメージだったけど。


 なるほど、陸上部。愛川があの陸上部のユニフォームを着て走ってるのか。


「な、なに? なんか目が、いやらしくない?」



 【揺れるよね】

 【弾むよね】

 【脚線美よね】



「分かる。絶対綺麗だよな、愛川が走ってる所」

「へにゃっ!?!?」

「見てみてぇなぁ」


 揺れるじゃん? 弾むじゃん? その綺麗な脚を、太陽の元にさらけ出す訳じゃん!?


 見てぇ……とイカンイカン! こういう事を思ってしまうから、色々とアレな世の中になってしまったんだ。


 そういう目で見るものではありませんよ!? 体じゃなく競技を見て下さいよ! 盗撮、ダメ!



「……み、見たいの?」

「ん? なにが?」


 なんだ愛川の奴、なんで急に赤くなった? なにその恥じらいの上目遣い。


 モジモジしちゃって愛川らしくない。ポニーテールの先を指でクリクリしてる……可愛いいかよ。


「だ、だから! ウチが走ってる所、見たいの……?」

「え? なにいきなり……そりゃ見たいけど」


 あれ? そういえば一瞬、選択肢が見えた様な? あれ? もしかして俺、選択肢と会話したのか? やっべ、頭おかしい奴じゃん。


「い、いいよ? 今度、じゃぁ……」

「お、おう……撮影してもいい?」

「絶っっっ対だめ!!」


 べ、別にそういう目的ではない。許可をもらえば盗撮ではない。でも愛川の表情、マジだな。やめておこう。



「お~いお二人さ~ん? 夫婦漫才はいいから、早く会議進めてよ~」

「な、なに言ってやがる公太! その煽りは俺の役目だろ!?」


 なんて煽りをする主人公なんだ!? 立場が逆ぞっ!?


「おい脇谷!! 冗談でも愛川さんと夫婦とか許さねぇぞ!?」

「くそっ! こんな事なら俺が委員長に……!」


 男子生徒からの憎しみの目が俺に向けられれば……。


「め、めおと? めお……夫婦!? まだ違うしっ!」


「きゃー!? 愛川さん!? まだってどういう事~!?」

「……夏菜ちゃ~ん? トチ狂わないで下さい」


 囃し立てる女子生徒の声で再び真っ赤になった愛川に、なぜかアキから冷たい視線が刺さっていた。


 様々な感情や高揚感が包み込んだ教室内は阿鼻叫喚。眉間に皺を寄せた荒木先生の怒号が飛ぶまで、収まらなかった仲良しC組のお話でした。


お読み頂き、ありがとうございます


個別イベントは夏姫だけ弱くなったので、体育祭では夏姫を強くしましたので安心?してください


次回

→【まず貴女の元へ】

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― 新着の感想 ―
[良い点] ヒロインみんな個性的で可愛いんですが、『あなたは死なないわ、私が守るもの』と月をバックに言った子にキュン死してから生粋のクーデレ好きなんですよ。 逃げちゃダメな男の子が言った『笑えば良いと…
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