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脇役と主人公

本日2話目

閑話休題






 【一人で木下を追いかける】

 【深森に留守番を頼む】

 【小林に留守番を頼む】

 【二人と一緒に木下を追いかける】



 ……難しいな。一人で追いかけたら、残された二人は確実に傷つく。一人を連れて、一人に留守番をさせるとかは意味が分からん。


 しかし二人を引き連れて追いかけた場合、追いかけられた一人は喜ぶだろうか?


 一人で追いかけて来て欲しかったと思うかもしれない。でもここで二人を残して追いかけたら、確実に二人は悲しむ。


 それならば、僅かでもみんなが幸せになる可能性の道を選ぶべきじゃないのか……?



「分からねぇ……脇役の俺には選べねぇな」


 クリアーしていなかった恋愛ゲームをプレイしていた俺は、モヤモヤとした気持ちを抱きながら攻略を進めていた。


 どうにも選ばれなかった者の事ばかりが頭を支配してしまう。いざという時に選択が出来なくなり手を止めてしまったゲームもいくつかあるほどだ。



「とりあえず、みんなで追いかけるか」


 二人と一緒に追いかけるを選択し、物語を進めていく。


 このような場合、結末としては二パターンの経験があった。


 ――――ハーレムルート――――


「あぁ、このゲームはハーレムルートがあるんだ」


 これならば進められる。というか俺は、基本的にハーレムエンドしか辿り着いた事がなかった。


 明らかに悲しむヒロインを作り出してしまう選択肢の時は、どうしてもなぁ。



(まぁ、そうなるような選択肢を選び続けてきたのは俺なんだが……)


 黙って攻略を一人に絞って、その子とのイベントだけを起こす様に選択肢を選んでいけばいいだけなのだが。


 どうにもヒロインはみんな魅力的だし、好意を向けられれば無碍にはできないでしょ。その結果、本末転倒な結末になる事もあるのだろうけど。


 それに恐らく俺には、潜在的にあるのだろうな。


 ヒロインが悲しむだけならまだアレかもしれないが、その先。つまり選ばれなかったヒロインがどうなっていくのか……それが凄く気になる。


 その後、どんな気持ちで主人公たちの事を眺めている? 新しい男と良い仲になるのか? その男に笑顔を振りまいて、主人公には見せた事ないような仕草をするのか?


 選ばなかったヒロインに、別の男が近づく描写なんて入れられた日には即ゲーム終了だ。



(我ながら、なんて自己中で自分勝手……選ばなかったんだから、選ばない選択をした本人がそんな事を思う資格なんてないよな……)


 醜い独占欲。俺にはそれがあるのだろうな。でもゲームくらい、好きにやらせてくれよ。


 しかし、やはり主人公は凄い。それを受け入れてでも自分が選んだ選択肢を信じて、脇目も振らずに走り続けられるんだから。


 選ぶという事はそういう事か。やっぱ俺は、主人公にはなれない。



『三人とも、幸せにしないと許さないからね?』

『大丈夫だよ。今までもずっと一緒だったんだし』

『これからも、よろしくお願いしますね』


 そしてヒロイン全員と迎えた、ハーレムエンド。


 まぁ満足です。俺が重ねてきた選択の結果、このような形となりまして、後悔はしていません。


 個別ルートもあるようだが、やる気にならんな。このゲームのヒロインたちはみんな仲が良くて、いつも近くにいる。


 ここまでガッツリ描写されたら、この中から一人を選ぶなんて……。



(現実なら違うのだろうか? そんな事を言っていられないほどに、誰か一人を好きになるとか)


 あくまでゲームだから、どこか第三者の目で見ているからなのだろうか。


 全てのヒロインに均等に好感度を持ち、特に大きな優劣を抱く事もない。そりゃ好みのタイプとかはあるのだが、明確にコレっていうのはないし。



(現実での選択……現実の主人公は、どういう選択をしていくのだろう)


 俺の友達には主人公がいる、酒神公太だ。


 ずっと噂で聞いていた酒神公太の主人公像、そして触れ合うようになってからの酒神公太の印象。


 友達として近くにいるようになってまだ数か月ではあるが、やはり主人公らしいと思う。


 可愛い幼馴染に、昔から仲の良い女友達、美人の姉と妹がいる環境。学業も優秀で、スポーツ万能。そしてあの甘いマスクに好感の持てる性格。


 実際、公太が女子生徒に告白されまくっているのは知っているし、街を歩けば大多数の女性が振り向くほど。


 まさにゲームに出てくる主人公だ。いや、下手をしたらゲームの主人公以上にハイスペックな主人公かもしれない。


 でもここ数日、彼にはよく分からない違和感を覚えていた。


 脇役みたいな彼の立ち位置、崩れた完璧。まぁそれすらも、主人公としての何かが影響したのかもしれないが。


 スッキリしない違和感。公太の事を知れば知るほど、何かが変わっていくような不思議な感覚。



(考えても分からないか。そもそも自分の事で精一杯だしな)


 選択肢が現れるようになってから変わった自分、変わった環境。


 友達も増えたし、経験した事のない感情に振り回されている状況で、他の人の事に頭を悩ませている余裕などない。


 これからも公太とは長く付き合っていくだろう、付き合っていきたい。


 ならいつか分かるはずだ。その違和感が勘違いなのか、本当に何かがあるのかが。


お読み頂き、ありがとうございます


次回

→【夏天使の憂鬱】

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