第6話 一人ぼっちは嫌だ!
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秋穂と秋穗、マジで気がつかなかったっす
どうする、どうすればいい? 俺はいったい、どれを選択すればいい!?
【一人ぼっちボッチ勉強】
【蓮海と向空と勉強する】
【愛川と連山と勉強する】
【他の人に教えてもらう】
本日は金曜日。つまり、今日を含めて後三日しかテスト勉強を行う事ができない。いよいよ来週からは中間テストですから! ざんねぇん。
「クーちゃん? 今日も私達が教えてあげますよ?」
「クロー? 貴方は数学と国語を重点的に勉強するべきだわ」
あれから二度ほど、春冬チームと夏秋チームとで勉強会を開催したが、見事に集中できなかった。
空っぽの頭に詰め込まれたのは夢と幸せで、知識はほとんど詰め込まれる事がなかったのだ。
「脇谷君はウチたちが責任を持って仕上げるから! 任せてよ」
「う~んどうだろう? 貴女達に任せるのは少し心配かなぁ?」
今日も今日とて、お馬鹿な俺を心配してくれている四季姫たちが勢ぞろいしていた。
放課後で人が疎らだとはいえ、まだまだクラスメイトは多く残っている。廊下には、四季姫を追ってきたのか人だかりもあった。
「愛川さん達との勉強会ってね、身が入らなかったって、九郎くん言ってたよ?」
「えぇぇ!? あんなにサービスしたのに! めっちゃ頑張ったのに!」
「向空さん達との勉強会、集中できなかったって、クーちゃん言ってましたよ?」
「あらそう? おかしいわね、餌をチラつかせてやる気を引き出したのに」
もう少し、人の目っていうのを君達は考えて欲しい。
君達は人の目を引く存在なのだと、理解して欲しい。そして俺がどんな状況になっているのか見て欲しい。
だから俺は無関係を装い、目の前で馬鹿面している央平を見ては、心を落ち着かせていた。
「……なぁ、お前すげぇな。四季姫に勉強を教えてもらえるとか……処していいか?」
「物騒な事を言うな央平。教えてもらっているのは幸せだけだ」
「幸せ……? そりゃそうだろ! 不幸せなんて言ったらぶっ飛ばすぞ!?」
これが当事者と第三者の違いか。幸せな思いはさせてもらったが、今のこの状況をどう見たら幸せに見えるのか。
こんな数の憎悪の視線に晒された事があるか!? 廊下で擦れ違うたびに舌打ちされる者の気持ちが分かるか!? 授業中に千切られた消しゴムを投げられる者の気持ちは!?
あ、そういえば消しゴムはお前だったな? 覚えとけよ央平? みんなに、髪にフケ付いてると指摘された時めっちゃ恥ずかしかったんだぞ。
「てか央平は勉強いいのかよ? 俺より馬鹿だろ? 早く帰れよ馬鹿」
「お前も馬鹿だろ! いいんだよ! 俺、気づいたんだ!」
「気づいたって……自分がもう救いようがないほどの馬鹿だって事にか?」
「ちげぇよ! 九郎と一緒にいれば、俺も四季姫に囲んでもらえるってな! この辺めっちゃいい匂いする!」
央平の言葉に四季姫が反応を見せる。四人とも一瞬、央平に目を向け、すぐさま逸らすと話し合いに戻って行った。
央平は気づいてないようだが、俺は見た。四人の目には確かに書いてあった、なにコイツきも……って。
「央平が頭よけりゃなぁ……お前に教えてもらうのに」
「お、お前……そんな事を言ったらマジで処されるぞ? 四季姫より親友とか……照れるな」
「照れんなキモい。はぁ……それどころじゃねぇんだ。このままだとマジで赤点――――」
「――――相変わらず楽しそうですね、先輩」
央平との会話に横入りしてきた平坦な声。目を向けると、そこにいたのは酒神後輩だった。
相変わらず整った顔をしていて、噂では一年生の姫候補になっているとか。
そして酒神後輩の後ろには、やはり居心地悪そうにしている公太の姿が。妹の我が儘に付き合う兄、という事か? お兄ちゃんも大変なんだなぁ……いやしかしですね!
「……頼むからこれ以上、主役級を増やさないでくれないか?」
「超ド級の主役を連れてきましたよ、先輩」
「……超ド級の戦場に超ド級を投入しないでくれ。モブ級の俺は沈没してしまう」
「モブ……ですか」
一瞬、酒神後輩の顔に皺が寄った。どうやら機嫌を損ねてしまったようだが、すぐさま元の表情に戻すと話を続ける。
「ほら兄さん、行動してください」
「そ、そう言われてもなぁ……」
酒神後輩に背中を押される公太だったが、その足は動かなかった。
どうしたらいいのかと右往左往している様子に違和感を覚えたが……それと同時に、ある一つの閃きが俺の頭を過った。
――――他の人に教えてもらう。ずっと表示されていた選択肢をここで選択。いい加減、邪魔だったんだよね。
「なぁ酒神兄。俺に勉強を教えてくれないか?」
そうだよ、公太に教えてもらえばいいんだ。公太なら近づかれても緊張しない! 別の意味で緊張しそうだが。
「……え? どうしたんだ脇谷、急に……」
「いや、酒神って学年首席なんだろ? 俺、赤点常習者でさ」
「教えるのは構わないけど、脇谷には……ほら」
公太の視線を追うと、そこには不機嫌そうな顔を隠そうともしない四季姫たちが。
バッチリ俺達の会話は聞こえていたようで、自分達より後からやって来た酒神を選択したのが気に入らないようだ。
「いい考えです。流石ですね、主人公を引き立ててこその脇谷先輩です」
「俺は褒められたのか? 酒神後輩」
「ベタ褒めです、後輩好感度が上がりました。では、兄さんを入れた六人で」
「……は? いやいや、酒神と二人で勉強するよ。その方が捗る」
我ながらいい選択だと思う。流石にもう、幸せはお腹一杯。そろそろ現実を意識しないと、マジで夏休みが消えてなくなる。
しかし四季姫と月姫は納得していない様子で……。
「ちょ、ちょっと九郎くん!?」
「ウチより公くんを選ぶの!?」
「クーちゃん、それは酷いです」
「男色だなんて知らなかったわ」
「先輩って、馬鹿なんですか?」
酷い言われようである。
俺は本気で言ったつもりなのだが彼女達は受け入れず。結局、酒神後輩も含めた7人で勉強会を開催する事になるのだった。
あ、央平も誘おう、可哀そうだから。決して俺より馬鹿がいた方が安心するからではないよ。
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→【私服センス○】




