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最終イベント・その七-二






 ――――



 待つ事、十数分。準備が出来たとの報告を受ける。彼女達の要望で、まずは一人一人の撮影となるようだ。


 最初にやってきたのは、やはりというかトーリ。


 トーリにお勧めした衣装は、他の三人と違って着替えが楽だから。なんと言ったってズボンを履かないのだから。ズボンって死語なんだっけ? よく分からんが。


「お、お待たせ」


 裾を気にして、若干モジモジしたトーリが現れた。トーリにしては珍しい仕草、これが見れただけでも大満足だ。


「やっぱ似合ってるじゃん。ぶかぶかパーカー」


 トーリが着ていたのは、太ももまでを覆い隠している白いパーカー。それにニーソックスを履いて、素晴らしい絶対領域を作り出している。


 普段のトーリは大人っぽいというか、スタイリッシュな服装をすることが多いため、こんな格好を拝める事はほぼなかった。


 ニーソックスなんて、今後二度と履かないのではないだろうか? これは写真にして永久保存しなければ。


「ほ、本当に似合ってる? なんか恥ずかしいわ……」


 どうしても裾が気になるらしく、手で引っ張って伸ばそうとしているトーリ。やはりあの下は下着なのだろうか?


 最初は彼シャツにしようと思ったのだが、そんな衣装がなかったので似たような感じにしたのだ。


「じゃあ撮影しますので、そちらに並んでください」


 撮影は彼女達一人一人と、最後はみんなで撮影する事になっていた。少し費用はかさむけれども、せっかくの記念だし。


「少しだけ屈んでくれる? 不自然じゃない感じで」

「こ、こうか?」


 未だ頬が赤いままのトーリの指示に従い、何度もポージングを調整した。調整に少し時間が掛かったが、トーリがやりたかったポーズで撮る事ができた。


 腕を絡ませて、頭を俺の肩に乗せたトーリ。座っている時によくやってくる子はいたけど、立った状態でこれが出来るのは身長が高いトーリだけだろう。


「ん……やっぱり少しキツイわね」

「他のポーズにする?」

「これがいいの――――お願いします」


 ポーズを決めて写真撮影。出来栄えはまぁまぁいいのではないだろうか?


 しかし、トーリのニーハイ……やべぇな。足の長い子のニーハイは破壊力がやべぇな。


「また脚ばっかりみて……踏みましょうか?」

「丸見えになるけどいいのか?」

「二人きりでなら……まぁ」


 なんて最後にデレを見せたトーリ。この後の全員での撮影は私服で行う予定のため、着替えに奥へと戻って行った。



 それと入れ替わるように出て来たのは夏菜。彼女もトーリと同じように美脚を惜しげもなく晒す格好だが、彼女と違って恥じらう様子は見られない。


「う~ん……いいね!! 髪型も似合ってるじゃん」


 夏菜にと選んでいたのはミニスカート。トーリがスカートを履くイメージは全くないのだが、よくよく考えれば夏菜もスカートを履いていた記憶がない。


 ショートパンツはよく履いていた気がするのだが、あれは全くの別物だからな。


 そしていつもとは違う髪型。ポニーテールを解き、肩甲骨付近まで毛先が届いていた。


 セミロングのミニスカ女子……うん、夏だな。でも最近、スカート女子ってあまり見なくなったよね。


「スカートなら学校でいつも見てるじゃん」

「あれは制服。別物なのだ」

「まぁ制服よりは短めだけど……いい? 捲らないでよね!?」


 そう言われると捲りたくなるというもの。店員さんに見えないように、ワザとらしく手を動かしてスカートに近づける。


 それに気づいた夏菜は身をよじって逃げたり、手で俺の手を叩き落としたり、可愛らしく睨んできたり。


 もちろん本気で捲るつもりはない。ちょっとしたじゃれ合いのつもり、夏菜もそれは分かっているのだろう、怒っている雰囲気はない。


「ちょっと、やめてってば! えっち!」

「スカートは捲るためにある」

「そんな訳ないでしょ! ちょ……あはは、やめてってばっ」


 実は捲られたいのではないだろうか? そんな楽しそうにされたら止められないだろ。


 防ごうと動く手にも差ほど力が入ってない。もう少し揶揄おうとしたが、ジト目をした店員さんと目が合ったので終了。


「……あの、そろそろいいですか?」


 とっくに準備が整っていた店員さん。やはり他人に見られたり指摘されるのは恥ずかしいもので、二人そろって赤面してしまう。


 ポーズ自体は普通のカップル。腕を絡ませながら、空いている手でピースサイン。彼女が元気系だとこんな感じのポーズが多いのではないだろうか。


「ほんっとにもう! 子供なんだから」

「遊んでただけだろ? 本気で見たかった訳じゃないよ」

「……見たくなかったの?」

「いや、見たいは見たいけど」

「ならよしっ」


 その言葉に満足したのか、上機嫌で奥へと戻って行った夏菜。軽やかなステップだったせいか、チラしてたんだが気づいていないのだろうな。



 そんなチラリズムを最後に送ってくれた夏菜の次に来たのはアキ。


 もう姿が見えた瞬間から分かる、エロいやつやん。


 というかよく着てくれたな。半分以上は冗談のつもりだったのだが、他の人に見られなければいいと快諾してくれたのには驚いた。


「お待たせしました、クーちゃん」


 もう俺の視線は胸に釘付け。そこを強調する服なのだから当然なのだが、アキのような大きい子が着ると破壊力がヤバイ。


 これは流石に……立っていられないかも。前屈みになっても指摘されないといいが。


「お、お似合いですよ? ちょっと……あまり近づいてもらっては困ります」

「うふふ、どうして近づいたらダメなんですか~?」


 分かっているだろうに、ワザとらしく近づいて来たアキは、胸を強調させるような態勢で俺の顔を覗き込んだ。


 他の子にはない、強力な武器をこの子は所持している。トーリや陽乃姉さんも大きいのだが、二人は高身長のため相応だろう。


 しかしこの子は、身長に武器が合っていない! 小さな女の子が大剣や大斧を担いでいるような感じだ。


 そのアンバランスさがいいのだが、経験の少ない童貞の俺には刺激が強すぎる。


「自分で選んでなんだけど、破壊力がありすぎる」

「そうですか? でもまだ正面からですよ? 横から見ます?」

「ちょ、ちょっと待って……」


 そうなのだ。アキが装備している服はセーター。その柔らかい生地ゆえ、アキの胸を抑え込む事ができずにいる。


 大きく膨らんだ胸元。しかしこの服の真骨頂は正面ではなく、真横から見た時らしい。


 これを着ている人を見るのは、もちろん初めてだ。というかこれは、普段着じゃない。これを着て外を歩くなんてとんでもない。


 落ち着け、前屈みになっている場合じゃない。これ以上の刺激的な光景に耐えられるか分からないが、俺は童貞を卒業するんだ。


「なんでしたっけこれ……えっと……ど、童貞を……?」

「童貞を処すセーター」

「どうしてそう呼ばれているんですか?」

「童貞には刺激が強すぎるからさ……」


 半分冗談、半分本気で選んだ露出の大きなセーター。正面から見るとノースリーブのセーターだが、真横から見ると姿を変えるらしい。


 アキがノースリーブを着ているだけでもアレなのに、真横から見ると見えるんだろ? アキの大きな大きな横のアレが見えるんだろ!?


「では……どうぞっ」

「え……ブッ!?!?」


 真横を向き、両手を上げてポーズを取るアキ。


 ガッツリと見えた柔らかそうな横……は、刺激的なんてレベルを超えていた。


「だ、だめだアキ……下ろして、もう隠して!」

「え~もっと見て下さいよ~ほらほら~」


 これはダメだ、18禁だ。高校生が見ていい光景じゃない。


 その後なんとか写真撮影を終えるも、恐らく俺は前屈みになっていた事だろう。



 ようやく下半身が鎮まりを見せた辺りで、いよいよ春香の番。


 春香は少し特殊で、ほぼコスプレと言っていいほどの衣装だ。アキも十分特殊だとは思うが、あれでも一応はセーターだから。


 予想通り時間が掛かったのだろう春香は、アキが更衣室に戻ってから数分後にようやく姿を見せた。


 かなり恥ずかしいようで、今まで見た事もないほどにモジモジしている。露出は四人の中で一番少ないので、そういった意味では恥ずかしくないと思うのだが。


「ふふ……よく、似合ってる。これは春香にしか似合わないよ」

「あまり嬉しくないかも……というか笑った! 笑わないって約束したのにっ!」

「いやいや、あまりに可愛すぎて、ニヤけたんだよ! カラコンまで入れて本格的だし!」

「可愛いって言えば許してもらえると思ってるでしょ? 嬉しいけどっ!」


 冗談抜きで可愛い。幻想的なドレスにカラコン、顔は春香なのに春香じゃないみたいだ。


 ゴシック・アンド・ロリータ。そうですゴスロリです。


 この店に入って最初に目についた衣装、誰に着せるか……春香一択だった。


 長い黒髪に人形のように整った容姿。カチューシャをつけて、レースやらフリルやらが付いたこれまた派手な日傘。


 これは春香にしか似合わない。やはり俺は正しかった……こんな感じのメイド喫茶があったら俺は絶対に通っていたね。


「というか、流石に九郎くんも着替えてよ」

「え? 俺はいいよ」

「これで撮影したらまるっきりメイド喫茶だよ!? いいから着替えて!」

「わ、分かったよ……」


 ゴスロリ春香に押されて更衣室へ。どうにも歩きにくいようで、よく転ぶ春香は何度も躓きそうになっていたのが笑える。


 そして俺の衣装だが、春香チョイスで執事服となった。まぁこれならは、春香の隣に立っても違和感はなさそうだ。


「…………」

「ど、どうした春香? どこか変?」

「…………かっこい……じゃなくて! 良く似合ってるよ!」


 別に隠さなくてもいいのに、俺だってカッコいいと言われれば嬉しい。


 どうやら予想以上に春香好みの服装だったようだし、その照れて顔を背ける様子が可愛いから少し揶揄ってやろう。


「ではお嬢様? お手をどうぞ?」

「え、え!? え……よ、よろしくってよ?」

「では参りましょうか、我が愛しの君」

「い、愛し!? い、い、いざ参らん……」


 春香の手を引いて撮影場所に。どうにも蕩けてしまった春香の様子に苦笑いしつつも、写真撮影を行った。


 出来上がった写真は……完全にただのコスプレ写真だった。


 やっぱり俺が似合っていない、春香だけだったら現像的な写真に仕上がったと思うと悔やまれるな。



 そして最後は全員での写真撮影、構図を変えて全四枚。


 結構な値段がしてしまったが、彼女達も喜んでいるようだし、俺も大満足。


「秋穂……ちょっと大胆過ぎない?」

「そうですかね? でも冬凛さんもパーカー一枚でしょう?」

「一枚だけど中は見えてないわよ! あなたの見えてるじゃない!」

「クリアブラは付けてますよ? 冬凛さんと違って」

「私だって下着は付けてるわよ!? 一枚ってそういう事じゃないわ!」


「なんかウチだけふつーな気がする……」

「あたしも普通が良かったよ! 手を繋いで撮影したかった!」

「でもこっちはお姫様抱っこしてるじゃん」

「あ、そ、それは……まぁ……でも夏菜さん、この頬チューはどういう事?」

「えっとぉ……なんていうか、勢いで」


 出来上がった写真を見せあってワイワイする四人。こういう時ばかりは、どうしても疎外感を感じてしまう。


 いくら彼女だとは言え、仲の良い女性が四人も集まれば、男の事なんて目に入らなくなる事もあるだろう。


 後で俺も見せてもらったが、彼女達は表情を変え、構図を変えて楽しんでいるように思える。でも見ていて気づいたんだけど、俺だけ全部同じような顔で同じようなポーズをとっているのだった。


お読み頂き、ありがとうございます

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