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最終イベント・その六-ニ






「え~と、色は……灰色です……」


 ふざけやがって。


「しょ、詳細にって事だったっけ? 詳細に……言いますか?」


「……いらね~よ、引っ込め馬鹿」

「馬鹿! ほんっとうにお馬鹿!」


 下着の色という、恥ずかしい暴露をして恥ずかしガールを見る予定が、誰も聞きたくない事を恥ずかしそうに暴露するイケボーイに。


 最下位はなんと酒神公太。イケメンであろうがなかろうが男子の色なんてどうでもいい、女性だって興味ないだろう。


 微妙に大陰さんが赤くなっている気がするが、他の面々は面白くもなんともなさそうである。


「あと少しで春香の色が分かったのに!!」

「もう、君にはガッカリだよ」


 春香とビリ争いをしていた公太。あの時の緊張感ったら、本当に凄まじいものがあった。


 ババを引いて引かれて、それを何週繰り返しただろうか? 本人たちは元より、見守る俺達も手に汗を握っていた。


「し、仕方ないだろ!? 運なんだから!」

「仕方ないでは済ませられない」

「男がトップで上がれるチャンスは限られているんだぞ!?」


 結果、見事にババを回避され、公太の手元には憎たらしい顔をしたジョーカーが残った。


 あの時の央平の、この世の終わりだとでも言うかのような表情は凄かった。俺も似たような顔をしていたとは思うが。


「だ、大体九郎! 彼女の下着の色をみんなに知られるとか、嫌じゃないのか!?」

「嫌ではあるが、それ以上に色を知りたかった」

「話をすり替えるなよ。お前は俺達の幸せを奪ったんだぞ」


 呆れた表情をする女性陣を放っておいて、男連中の醜い言い合いは続いた。


 頭では公太は悪くない、仕方がないと分かっているのだが、どうしてもこの思いをぶちまけずにはいられなかったのだ。


 トーリや月ちゃんなら淡々と色を言って終わりという事になりそうだが、今回残っていたのは最も恥じらう姿が可愛いと評判の春香だったのも大きい。



「ね、九郎くん」

「なんだよ? 今はそれ所じゃ――――」

「――――黒だよ? 前に選んでもらったやつ」


 いつの間にか近くにいた春香が、他の人には聞こえないように耳打ちをしてきた。何の事かと思ったが、話の流れからアレの事しかない。


 微妙に恥ずかしそうにする春香。耳元で囁かれた優しい声に一瞬呆けてしまった。


「というか、九郎くんに聞かれたら普通に答えるよ?」

「ま、まじ? 詳細に?」

「詳細……よく分からないけど、見てみる?」

「み、み、み!? いいの!?」

「う、うん。まぁ、あとでね」


 そう言って春香はみんなの所に戻って行った。想像していたほどの恥ずかしぶりではなかったが、あの表情が見たかったのだ。


 戻った春香はみんなに何か責められているように見えたが、声は聞こえない。相変わらず聞こえるのは男達があげる声だけだった。



「またトップを取ればいいだろ!?」

「そんな簡単に取れたら苦労しねぇんだよ!」


「お前らうるさいぞ。過ぎた事だ、もうやめろよ」


 いつまでもうるさい小僧共に喝を入れる。央平が食って掛かってきたが、小僧の戯言だと聞き流す。


「お、お前! なに急に冷静になってんだよ!?」

「いいか央平? 春香は俺の彼女なんだ。分かるだろ?」

「ど、どういうことだよ?」

「はぁ、これだから童貞は。いいか、見てろよ?」


 よくよく考えたら春香の言う通り、彼女なんだから聞けばいいのだ。勝者の特権なんかではなく、彼氏の特権があるではないか。


 動揺する央平と公太の視線を背中に感じつつ、俺は春香達の元に進んだ。


 そこには何か言い合いをしている四季姫と、トランプタワーを作っている月姫、つまらなそうに欠伸をしている陽姫がいた。



「みんな、下着の色を教えてください」


「「「「え?」」」」

「お?」

「あ?」


 驚きに目を見開く四人と、面白そうに目を光らせた一人、そして親の仇を睨むかのように目を尖らせた一人。


 反応はそれぞれだが、とりあえず拒否られている雰囲気はない。


 そんな中、最初に動いたのはアキだった。


「白です。明日はピンクのTです」

「今日もT?」

「今日は普通です」


 後ろの央平達には聞こえないように、春香と同じく耳打ちで教えてくれたアキ。それに感化されたのか慌てて、動き出したのは夏菜とトーリだった。


「う~……黄色だけど」

「明日は?」

「し、しらないよ!」


 夏菜は顔が真っ赤。彼氏だろうがなんだろうが、恥ずかしいのは恥ずかしいらしい。いいものが見れた。


「青よ」

「紐?」

「紐ね」


 特に動じる事のないトーリ。もはや下着の色など知られようが、見られなければどうでもいいとでも思っているのだろうか。


 トーリの色を聞き終わった所で、後ろを振り向きほくそ笑んだ。何かを感じ取った央平は面白いほどに動揺し、キョロキョロと目線を彷徨わせ始める。


 そんな中、すっかり体調が良くなった月ちゃんがやってきた。


「無色透明です」

「ス、スケルトン? やはり存在したのか!?」

「いえ、穿いてないので」


 おっそろしい事をサラリと言って、元の場所に戻って行った月ちゃん。浴衣の時って穿かないものなのか? いやそんな訳ないよな?


 浴衣の下は布無し……なんてドギマギしていると、絶対に教えてくれないと思っていた人が目の前に立っていた。


「鮮紅色」

「せ、せんこうしょく……? それってどんな色?」

「アンタの血の色よ」


 それを聞いた瞬間にこめかみに激痛が走る。かと思えば急に息が苦しくなり、それと同時にいい匂いと柔らかい何かが頭を包み込んだ。


 ヘッドロックされているのだと気づくが、どう足掻いても出せない。なんて力の強い女なんだとジタバタしていると、視界に鮮やかな赤い色が飛び込んできた。


 その瞬間にヘッドロックが解除され、胸元を押さえて珍しく赤面している陽乃姉さんの姿が見える。


「本当に赤……」

「……鮮紅色よ。これからアンタの血で染まるのよッ!!」


 暴れ出した陽乃姉さん。公太が慌てて押さえに入るが、止まらない姉さんは足で俺を蹴り始める。


 しかし浴衣という衣装なのを忘れているのか、モロ見え。まさか初めて見る彼女の下着が陽乃姉さんのものになるとは、まったく思っていなかった。


お読み頂き、ありがとうございます

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― 新着の感想 ―
[一言] あれ?意外な形で陽乃姉さんが一歩リードしてる? やっぱり、陽月姉妹の方が立ち位置的に有利なのかも。
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