表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

58/73

その表情はアウトでしょ

目の前で不気味に微笑むセレート嬢。もう可愛らしさも何もない。

「今回は、あなたを操ってしまえばいいんだってわかったのです」

セレート嬢の魔力が膨らんだのが見えた。


「あつ!」

左手の小指に着けていた、ピンキーリングが急に熱くなる。どうやら私に魅了をかけたようだ。

『これは思った以上に熱いじゃない』

皆、この熱さに耐えていたのかと驚いてしまう。

『これは一度、改善した方が良さそうね』


そんな事を考えているうちに、彼女の魔力がふっと消える。

「どう?私の操り人形になった気分は?」


「……気分は別に変わらないかな。特に違和感もないし」

思ったまま答えると、セレート嬢の顔が歪んだ。


「……あんたもなの?」

どこかから、恐ろし気な声が聞こえた。私も二人の令嬢もキョロキョロしてしまう。

「どうして?どうしてどいつもこいつも、主要なメンバーは皆、私の魔法が効かないのよ!?」

恐ろし気な声は、目の前から聞こえました。いや、どこから出してるのよ?


「何度も、何度もかけたというのに……皆、かからない。一体どうしてなの!?」

なんか狂乱状態?怖いんですけど。


「大体、なんであんた、ラウリス様の婚約者じゃないの?」

「え?何でって言われても。そんな話は上がらなかったから?」

「だから、それが何でなのかって言ってんのよ!?」

ああ、もう怖いから。鬼婆みたいになってるから。


「それに、今回の本命であるエンベルト様。私の最推しなのよ!なのに、ちっとも私に気のある素振りすら見せない……どんなにかけても……ムカつくわ」

何やら後の方はブツブツ言っているからよく聞こえない。


「ねえ、あんたって転生者じゃないの?」

「転生者?私が?」

ここは誤魔化しますとも。


「乙女ゲーム、知っているんじゃないの?」

「オトメゲーム?」

それは本当に知りません。メリーから聞いた知識しかありません。


「おかしいわね。あなたが悪役令嬢をやらないせいで、上手くいかないのは確かなのよ。そもそもラウリス様の婚約者ではない事がおかしいのよね」

またブツブツ言ってる。怖いなぁ。


「そう言えば、どうしてエンベルト様と仲がいいの?知り合い程度のはずだったのに」

なるほど、ゲームの設定ではそういう位置関係だったのか。


「どうしてと言われても。暴走した魔馬を止めた事が切っ掛けで知り合ったのよ。お兄様が側近だった事もあって、小さい頃から親しかったわ」

「やっぱりおかしいわ。なんか色々規格外な事が起こっていたのね。もう、面倒だな。どうしたらルート通りに戻れるかな」


完全にご自分の世界に入っていらっしゃる。これは、帰ってしまっていいのだろうか?正解がわからない。


「ふう、やっぱりこれしかないわね」

何か結論が出たのか、溜息を吐きながらこちらを見た。

「ねえ、アレクサンドラ様。死んで?」

「へ?」

「多分だけれど、あなたが死ねば元に戻る気がするわ」

「嫌だけど?」

「なんでよ?」

「なんでよって、当たり前でしょ。死んでって言われて了解ってなる方がおかしいわ」


「いいもの。私の魔力でアレクサンドラ様をふっ飛ばせばいいだけだし」

そう言ったセレート嬢は、本当に魔力を再び膨らませた。


「デルフィーナ様。流石にそれはまずいですわ」

一人の令嬢が、彼女を止めようと肩に触れた。

「うるさいわね。邪魔をするならあんたも死んで」

魔力を令嬢に叩き込む。


「キャッ!」

短い悲鳴と同時に彼女はテラスの柵にぶつかった。老朽化が進んでいた柵は彼女の衝撃に耐えられなかったらしく、ガラガラと音を立てて崩れた。一緒に令嬢も下へと落ちる。無意識に走り出した私。


彼女が落ちる寸前、手を伸ばして力の限り彼女を引き上げた。その反動で、まるで交代するかのように、私は崩れた柵と一緒に地面めがけて落下した。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ