5-1 今日は討伐クエスト!
いよいよやってきたゾンビ討伐の日。オレは迎えに来たリアといっしょに、ギルドへと向かっていた。
それはいいんだが、今日は朝からなぜかずい分とリアの機嫌がいい。
「さー、今日は飲むからねー」
「お前、もう終わった後の事考えてんのかよ」
「そりゃそうだよ。なんたって1000リルだよ、1000リル!」
コイツ、ホント報酬デカいとテンション上がるよな……ま、それはオレもだけど。
「それに、ゾンビの事なんて考えたくないじゃん」
「そりゃそうだ」
しっかしあれだけ気乗りしない様子だったのに、今日は全然いつも通りだな。
「お前、もうゾンビは大丈夫なのか?」
「ああ、そんなのはもう何ともないよ」
ずい分と余裕を見せるリア。いや、ホントかよ? 前のアレを見てるから、ちょっと信用できないんだが……。
「それに、これももらったしね」
そう言うと、胸元からネックレス状にしたオレお手製のお守りを取り出す。その仕草がなんかエロい。まな板だけど。
「へえ、首に巻いたのか」
「これだと、より守られてる感があるでしょう」
「まあ、確かに」
お守りをつまみ上げ、嬉しそうに見つめている。てか、ホントに嬉しそうだな……。
「一応言っておくけど、ステラの分も作ってあるんだぞ?」
「あ、そうなの? うんうん、あげなよ。ステラも喜ぶって」
特に気に留めるでもなく、上機嫌なリア。ああ、単純にお守りもらった事が嬉しかったんだな。この分なら余計な気を遣わなくてよさそうだぜ。
しばらく歩いていると、ギルドの入り口が見えてきた。今日はいつもより人の流れが多い気がするな……。やっぱ今日のクエストに参加する奴が多いのか? なじみの顔もいくつか見かけるな。
そいつらにあいさつしたりしながらさらに進んでいくと、ギルドの入り口前で談笑する女の子の姿が見えた。ステラだ。何度も言うが、あのマントの下はビキニアーマーだと思うとかえってクるものがあるな……。もう一人は、ああ、リアとも仲のいい弓兵のコか。気さくなコだからな、きっとステラも話しやすいんだろ。
二人に向かい、リアが手を振りながら近づいていく。
「おまたせー」
「あ、皆さんおはようございます」
「やあ、リアにルイ君、おはよ」
「おう」
リアが弓兵ちゃんに声をかける。
「もしかしてミーナのところもゾンビ退治に行くの?」
「あ、じゃあリアたちもそうなんだ? いやー、だって1000リルって言うしさー」
このコもクエストに参加するのか。てか、1000リルってのはやっぱ相当デカいのな。
「それにウチらゾンビ何匹か倒してるけど、アイツら全然弱っちいからラクチンだろうと思ってさー」
「あ、弱いって話ホントだったんだ」
「ホントホント。でもいろいろ飛び散ったらイヤだから、今日はみんな汚れてもいい装備で行く予定」
「しまった、私もそうすればよかった……」
あちゃー、とリアが平手で額を叩く。コイツはいちいちリアクションが昭和すぎんだよ。
「じゃあウチ仲間待ってるから、また後でね」
「うん、またねー」
「失礼します」
弓兵のコと別れてギルドに入り、受付へと向かう。ああでも、前情報どおりゾンビはホントに弱かったんだな。今日は久々にラクができそうだわ。




