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2-6 ステラはオレたちの仲間だ!






 リアとステラが流行りの店やら雑貨やらの話に興じているうちに、オレたちは詰所に着いた。はあ、ようやっと終わるのか……。ん? 見張りが不思議そうにオレらを見てる。なんだ、なんかヘンか?

 見張りの視線をよそに、扉を開けて詰所の中に入る。例によって詰所の連中がリアに声をかけるが、直後にざわめきが起こった。何? 何がどうなってる?

「おい、あの姉ちゃん……」

「あれ、斧兵だよな?」

 ああ、ステラの事か。そう言えば、行きはステラいなかったもんな。

「リア、そっちの姉ちゃんは、その、知り合いなのか?」

「知り合いって言うか、さっきうちのパーティーに入ったんだよ」

「な、何イぃぃぃぃ!?」

「マジかよオぉぉぉ!」

 周りの連中が大声を上げる。なんだ、そんなに大騒ぎするような事か?

「アンタ、何考えてんの!? なんで女の斧兵なんか入れてんのよ!」

「ただでさえ盗賊に詩人なんてわけわからんパーティーなのによぉ!」

 ああ、そう言う事か……。女斧兵って、もはや珍獣みたいな扱いなんだな。てかやっぱオレとリアって周りからそういう風に思われてたんだ。なんか他人に言われるとやたらムカつくな、おい!

「す、すみません……。私のせいでご迷惑を……」

「いやいや! 全然いいんだって!」

 ほら、お前らのせいでまたステラがネガティブモードに入ったじゃねえか! リアがずいと一歩前に出て、腰に手をあて大声を上げる。

「斧兵はうちのパーティーには最適なんだよ! うちらは火力不足だったし!」

「リアの言う通りだぜ! 剣士や槍兵程度の火力だったらリアで十分間に合ってるんだよ!」

「ま、まあ、言われてみれば確かに……」

 勢いでリアに乗っかってみたが、よく考えると確かに斧兵の火力ってオレらみたいなパーティーには貴重だよな。飛び道具にしてもリアの投げナイフがあるから、弓兵いなくても特に問題ないし。あれ? このパーティー、もしかして強くね?

「それにだな、アンタら肝心な事がわかってないぞ!」

 ステラのためにも、ここでダメを押してやるぜ!

「アンタら、このステラの姿を見て何も思わないのかぁぁ!」

 オレの雄叫びに、連中の視線が一斉にステラに集まる。

「うっ……」

「こ、これは……」

「ずい分ご立派なものをお持ちで……」

「いやいや、太ももの肉付きもなかなか……」

 主に野郎どもの視線がステラの肢体をねめまわす。てかコイツら、その反応は今さらすぎるだろ……。

「あの、あんまり見ないでください……」

 ステラが恥ずかしそうに体をすくめてお願いする。この反応も今さらだよな。

「そういうワケでステラはオレたちの仲間だ! 異議は認めん!」

「まあ、お前らがそう言うなら……」

「私たちが口出しする事ではないな」

「むしろ、先に声かければよかったぜ……」

 おお、なんだか受け入れられたな。てか、よくわからんけどマイナー職業の肩身の狭さを垣間見たような気がするぜ……。

 ま、マイナーどころかオンリーワン職業であろうオレが言うのもなんだけどな!



 場が落ち着いた所で、部屋の奥のゲートに向かう。

「じゃあ、私は中央ギルドですので……」

「あれ? ステラはいっしょに帰らないのか?」

「いや、ステラはあっちの使うに決まってるでしょ」

 そう言いながら、リアが真ん中の魔法陣を指差す。ちなみにオレたちがいつも使ってるのは右側だ。

「え? これってもしかして行き先違うの?」

「もしかしなくても違うよ、当たり前でしょ?」

 リアが心底呆れた顔で言う。んな事知るか! てか、そもそもオマエ魔法陣の説明なんてしたことないだろ!

「だから魔法陣たくさんあったのか」

「アンタそんな事もわかってなかったの?」

「悪かったな」

 今まで特に気にした事もなかったんだが、言われてみれば確かに中央、右、左と魔法陣がある。これがそれぞれのギルドにつながってるって事か。あれ? ギルドって四つなかったっけ?

「なあ、なんでこれ三対しかないんだ? ギルドって四つあるんだろ?」

「ああ、自由連盟は別に詰所があるからね」

「あそこは他との対抗意識強いですもんね……」

「そうなん? 派閥争いかなんかなのか?」

「ま、そんな所かな。元々中央ギルドしかなかった頃に国に掛け合って独立したのが自由連盟だし」

 へえ。やっぱあるのね、そういう事。

「それじゃ、またあさってね」

「はい、よろしくお願いします」

「じゃあなー」

 ステラから手さげカバンを受け取り、別れのあいさつを交わすと、オレたちはそれぞれのゲートへ向かった。








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