83 竜と迷宮主④
①ダンマスのお勧め
②極光の森
③おやすみなさい
~ピピピ・ピピピ・ピピピ~
~おはようございます、マスター~
~領域より9,000 DPを回収しました~
~侵入者を撃退し、18,459 DPを取得しました~
~所持DPの端数を利用し、世界樹に対して<成長>を執行します~
~迷宮化が終了しております~
~領域拡張が終了しております~
~経験値が一定値を超えました。ダンジョンがLV7からLV8へ上昇しております~
「ん、ん~! おはようなの! 清々しい朝なの!」
「……あ~~~い、おはようございます~」
今日も目覚ましと、世界樹さんの声によって目覚める。成長を予約制にしてから、世界樹さんも生活リズムが安定してきたのか、<成長>の効果も相まって朝から元気いっぱいです。
そして、とうとうレベルアップ! そろそろかなとは思っていましたが、蜘蛛さん達の御願を聞いて、実験室やら諸々の施設を設置したのが、決め手になりましたかね? 後で、世界樹さんと容量の用途を決めましょうか。
朝ごはんを用意しながら今日の予定を立てる。昨日は~~~~、トカゲモドキと竜族の方が来たんでしたね。まずは、朝の挨拶からかな? 朝食とお土産も用意して置きましょう。また来て欲しいですしね、ふふふふふ。
<回収>を取得してから12日目、初日は1DPだった<回収>機能も、領域内に森ができ魔物が生まれる様になってから、取得DPと上昇量は日に日に増えている。前例通りなら今回は4千DP程度になる予定だった。
だが今回は、何と9千DPの回収! 期待はしていましたが、流石は竜族と言ったところか、彼らが来てその数値が跳ね上がった。これからも、外からの訪問者はなるべく受け入れましょう……敵は全て駆除しますけど。
「今日の献立はな~に、なの?」
最近は、世界樹さんも食事をする楽しみを覚えたのか、朝のこの時間になると、目がイキイキするのだ。食欲が有るのはいい事だ、たくさん食べて、元気に育って貰いたい。
まぁ、俺も世界樹さんも食べなくても平気なので、一日一食、娯楽の意味での食事ですけどね。調味料は潤沢なので、今のところ献立に困ってもいない。野菜と穀物だけでもいけるものですね、って
「そう言えば、肉が手に入りましたね。折角ですし、それを使いますか」
トカゲモドキのテール肉を【倉庫】から必要な分を出す。シンプルに塩焼きで良いかな? こっちの世界に来てから、初のまともな肉だ、今までも東の森から魔物が侵入して来るので、肉は手に入る状態だったのですけど……あれを食べるのはなぁ~。
違うんですよ、好き嫌いとかやなくて、見た目がね? 体中に吹き出物が有ったり、納豆みたいに糸を引いていたりするのばかり、食欲なんて湧きませんって。肉食の子達も、余り食べたがらない程ですからね、ある意味防衛能力ですわ。
現在、皆が主食に成っているのは、頻繁に領域に侵入してくる“テテレテ”って虫族の魔物なのですが、あれも俺は食べる気がしない。何なんですかね~、あのフォルムは。俺みたいに【創造】で生まれた魔物だとしたら、正気を疑うレベルです。
見た目数メートルのムカデなのだが、その足が人の手足でできているのだ。しかも一本一本特徴が異なり、太かったり細かったり、すね毛が生えていたり女性みたいに細かったり、肌の色が違ったり子供位の大きさだったりと、あれですね、虫と人をぐちゃぐちゃに混ぜて創られたみたいな姿なのだ。
あと、“ベベレベ”って人の頭をドロドロにした様な粘液族の魔物と、“ドドレド”って人の胴体に他の生き物のパーツが滅茶苦茶に引っ付いた魔物が、結構な頻度で領域に入ってくる。
ベベレベは臭いし食べられないので、基本焼却処分。ドドレドは数が他と比べ少ないが、ドドレド同士がくっ付いて肉塊みたいになった状態で良く発見され、これも焼却処分している。糸引く肉塊なんて食べたくないですよ。本当この世界は碌な生き物がいない。
せめて毒ナシかつ、見た目がまともだったら俺も食べたんですけどね~。ただの虫型なら、普通にイケると思うんですよ。
前の世界でも、一度でいいからしっかりした虫料理を食べておけば良かった。
おっと、良い具合に肉の両面に火が通りましたね、最後に黒ペパー(胡椒味)を振りかけて完~成~。サラダとごはんも用意して、っと
「いただきます」
「いただきますなの!」
うん、今日も旨い! 肉は…………鶏肉に近い。
う~~~~ん、普通かな? 高級な肉を食べたこと無いけど。ドラゴンステーキ、期待していたんですけどね~、この世界に来て初めての肉でしたし、ちょっとガッカリです。所詮トカゲモドキか。
…………もっと上位の魔物だと美味しくなりますかね? 次に期待しましょう。
「ウマ味なの!」
「それは良かった、俺的には肉が普通でちょっと期待外れでしたけど」
他には、美味しい魔物としてよく聞くオークとか食べてみたかったんですけど、魔物に居ないんですよね。代わりに、人種の獣人カテゴリーに分類されているのを、コアさんの検索機能で見つけた。流石に意思疎通がしっかりできる相手を、積極的に食べたいとは思わない。トカゲモドキ? あれを意思疎通できているとは言わんでしょ。
(主様、お食事中のところ申し訳ありません。お客様の準備が終わり、そろそろ出立するとの事です。如何致しましょうか?)
世界樹さんと、他愛のない会話をしながら食事をしていると、クロスさんから連絡が入った。あらら、もう出発するのですか、行動が速いですね。もう少しゆっくりして行けばいいのに、DP収入良いですからね。
本当なら直接見送りするつもりでしたが、ここからじゃ移動に時間が掛かりますし、引き留めるのも悪いですね、コアさん経由で見送りますか。
迷宮主のメモ帳:迷宮
ダンジョンコアを核とする、自然現象の一種。世界の管理者である神によって作られた存在であり、直接干渉できない神に代わり、世界の歪みを修正・固定し環境を改善させる。主に周囲の魔力濃度の調整を行う。
地中に原因がある場合、地中に空間を広げ、外に原因がある場合は、その領域を広げ、魔力濃度を調整し、不調の原因を取り除く。←(人間で言うとギブス)
災害などが原因の場合、空間や領域を伸ばすことで、壊れた大地や気脈(魔力の通り道)を固定し、被害の拡大を抑え、修正する。生物が原因の場合、その生物が好むモノを生み出し、ダンジョンに引き込み、生み出した魔物や罠などで駆除する。
また、環境が改善したとしても傷跡が深すぎる場合、固定の為にそのままダンジョンが残ることが有る。←(人間で言うとインプラント)
便宜上、地中に複雑に伸びたモノを迷宮、地上に領域が広がるモノをダンジョンと言う。




