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68 竜の調査隊?④

予約し忘れていました、投降遅れて申し訳ありません!


①荒らし回るドラゴン一行

②逸れ竜、敵認定

③腰巾着、追加登場


「ぜぇ、ぜぇ、見つけたぞ!この吐瀉物女!!」

「・・・・・・」(ブチ)


どうやら、ここに来るときに撒いた腰巾着の一体が、追いついて来たらしい。しかし、吐瀉物と来ましたか。

ブレスが上手く使えない幼少期、練習する際に吐いてしまうのは、竜族であればだれでも通る道。そんな若者たちを馬鹿にするときに使われる表現だ。特にブレスが強力な吐竜(トリュウ)に対する、最大最上の侮蔑の言葉でもある。


「よくもやってくれやがたな! ただじゃおかねぇ! 四肢噛み砕いて、「す~~~~~」喉引き裂いて、「ちょ、テレ!? あんたまさか!?」犯し―――」


「ガァーーーーーーー!!!!!!」

「へ?」


―・・・・・・・~~~~ォォォォオオオオオォォォォ~~~~~・・・・・・・―


響き渡る轟音、視界を埋め尽くす光。空は焼け、衝撃が辺りを駆け巡る。そう言えばブレス、準備だけさせといて、使わせて無かったわね。


テレの能力は、他の吐竜(トリュウ)と殆ど変わらない。だけど、ブレスだけは別格だ。

中位竜の枠に留まらない、上位竜の中でも中頃に匹敵する。この年齢では異常な威力と、魔力総量を誇る。


「あ・・・・・・相変わらず、呆れた威力ね、耳がおかしくなりそうだわ」

「ふへへ~~~、久しぶりに~、全力で撃ちました~」

(・・・・・・お~、一撃ですか。あれもはぐれでしたね)

(見事な一撃なの、貴方もあれ位できる様になって見せるなの!)

(勿論ですわ!)


・・・・・・死んだ様ね。しかし、耐久力の低い飛竜と言え、一撃で屠る攻撃を見ても、ここの主は呑気なものね、全く脅威に思われていない。一体、どれ程の化け物なの?


「え? は?」

「な、な、何てことしやがる!? 正気か!?」

「当然なのですよ~、貴方たち~、もうはぐれなんでしょ~? なら~、掟の範囲外ですよ~」

「・・・・・・ですわね。ならば、私たちの任務を妨害するこいつらは、抹殺対象。気兼ねする必要はありませんね」

「誰がはぐれだ!!」

「てめーらごときが、俺たちに勝てると?」

「同胞殺し、これは制裁が必要だな」

「へ、へへへ、あれだけの威力を、ぶ、ぶっ放したんだ。もう撃てねぇ~だろ」


同年代に、これほどの威力を放てるのはテレだけでしょう。今まで完全に舐めていた相手が、自分より圧倒的に強かったことを認められないのでしょうね。安いプライドなど、捨てればいいものを。


「・・・・・・テレ、後どれ位撃てますか?」

「う~~ん、溜めるのに5秒くらい掛かるけど~、後8発位なら撃てるよ~」


テレの一撃に動揺し、喚いていた腰巾着共が一斉に黙る。8発ですか・・・・・・合計9発。この前より1発増えましたね。


「撃てないさ、周りにいる奴を巻きコブェ!?」

「兄貴!?」

「威力を~、弱めれば~、撃てますよ~? 馬鹿ですか~? 馬鹿なんですね~? 知ってます~」

「・・・・・・威力の調節ができない、未熟者の貴様とは違うんだ。当然だろ? コドヴィン坊や」

「~~~、~~~、~~~~~~~~~~~!!!!」


威力を抑えたブレスが、糞虫の顔面に命中する。テレも相当溜まっていたのね、あの子では考えられない行動と、煽りだわ。当の本人からは、歯ぎしり音が此方まで届いてくる。


(撃てないさ。キリ! だってなの~! かっこ悪いなの~! な~のなのなの!)

(な、情けなさすぎる・・・・・・あれが、竜族だなんて・・・・・・)


ここの主側からも、追い打ちの様に笑い声が聞こえてくる・・・・・・あれを、代表にしないでください。


(・・・・・・え? 調節できないってことは、今まで放っていたブレスが全力? ・・・・・・弱すぎね?)

「ガァーーーー!!!」


どうやら、羞恥心が限界を超えたらしい。巨木へ、魔力を纏った爪を振りかざす。恐らく、奴の全力の一撃と思われるその攻撃は


―パキン―


「ッ、爪!? お、俺の爪がーーーー!!??」


呆気なく、根元からへし折れた


「・・・・・・傷一、・・・・・・付いて・・・・・・ない・・・・・・?」

「かった~い・・・・・・」

「な・・・・・・・何なんだ? なんなんだ、これは~~~!?」


魔力を纏った竜の一撃で、傷一つ付かないか。これが相手の中核だとしたら、この余裕もうかがえる。私達ではこの縄張りを落とすことは不可能でしょう。


(は~~~、腹、捩じれるかと思ったなの)

(ね? 竜でもこれぐらい、馬鹿で、愚かで、可笑しな奴が紛れているんです。全部消すのは勿体なくないですか?)

(む~~~、分かってるなの! 根絶やしはしないなの!)


ね、根絶やし? え、まさか交渉に失敗したら、そんな未来もあり得るの?

この者たち、理性的なんじゃない、何処までも冷静で、冷酷、残酷なんだ。失敗したら、私たちは如何なるの?


(? なんか、勝手に騒いでるなの)

(あ~、世界樹さんを引っ掻いて、爪が折れたみたいですよ?)


攻撃されたことにも、気が付いていない。いや、そもそも今、世界樹って言いました? え?世界樹? 世界樹!!??

テレと、シスタの方を見る。二人とも驚愕の表情を浮かべている。聞き間違いでない!? 嘘ォ!? で、でも、もし本当なら、この存在感と、この辺りの魔力濃度の濃さの説明がついてしまう。


「ひ、卑怯だぞ! 引き籠ってないで出てきやがれ!!」

「そ、そうだ! お前に、俺と戦う権利をやる! 一騎打ちだ! 俺と戦えるなんて、一生に一度あるか無いかだぞ!!」


糞虫が、糞の様な提案をしている。お前にそんな価値がある訳ないでしょ。そもそも、相手が言った世界樹と言う言葉が嘘で無ければ、今まさに目の前に居ることになる。


(・・・・・・話進まないし、お前らもう邪魔だわ)

「ひ!?」

「~~~、コーザ! 俺が命令したら、その女の首を食いちぎれ!!」

「!? お、おぅ!!」


私を取り押さえている腰巾着が、私の首、急所である魔力袋に牙を突き立てる。

これが、散々竜族の誇りを口にし、相手を臆病者扱いした者の姿か。自分が今、どれ程情けない事をしているか、分かっているのか?

そもそも、私を盾にしてどうすると言うのか・・・・・・。


「ククク、形勢逆転かな?」

(・・・・・・で?)

「へ?」

(だから、それで?)

「こ、この女がどうなってもいいのか!? 竜族と交渉する機会を失うんだぞ!?」

(別に?)

「べ・・・・・・」

(お前も、そこのお三方も、俺達の縄張りに“無許可”で“侵入”したことに、変わりはありません。勝手に殺し合いしても、俺達に責任も実害も無いですね。仲間でもない方の為に、なぜ労力を割かなければならないのですか?)


そう、ここの主からしたら、ここに居る者は全員侵入者。助ける義理も無ければ義務も無い。話をしてくれているのも、向こう側の好意でしかないのだ。


(そちらの方たちについては、事情があるみたいですし? 俺に話がある様ですから聞きますけど、こちらが絶対必要な訳でもありません。それに、その方が死んだとしても、残りのお二方からお話を聞くだけです)


・・・・・・もし私が死ぬことになっても、シスタが居れば何とかなるでしょう。


(それに、この一件で言い掛かりを付けて来るような種族なら、そうですね~・・・・・・)




潰すか




・・・・・・淡々と、一切感情を感じさせない声色で言い放った。


「竜族と戦争するつもりか!?」

(戦争? なる訳ないじゃ無いですか。戦争って言うのは)


―バコン―


(ある程度実力が拮抗して、初めて成立するんだよ)


突然、糞虫どもが居た地面が、割れた。


4/17修正(一軒→一件)

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