61 生誕祭!②
①生誕祭!
②独り占めダメ絶対
③人をダメにする鳥
~純霊【スポナー(中)】を設置します~
「……あれ?」
「どうしたなの?」
「いつもなら、設置してすぐに生まれるのに……出てこないですね、なぜ?」
「え? 目の前にいるなの」
え? マジですか? ……目を凝らしても、辺りにそれらしいものは見当たらないんですけど?
……純霊。魔力のみの体に意思を持った虚体の魔物。他の物質に宿る事で、肉体を得ることができる。骨や土に宿るとスケルトンやゴーレムに、火や水の様な属性を持つと、火霊や水霊の様なものに進化する。
……え? つまりは、魔力適正ほぼゼロの俺は、肉体を持たない虚体の魔物は見ることができないのか?
「なのなの! よろしくなの!」
世界樹さんには、ハッキリと見えている様子。見えないのは不便です、如何にか見られませんかね? 自分の目で見る方法は、早々に諦める。使える魔力がゼロでは、魔法の訓練自体ができないですしね。
今すぐできる方法といったら……コアさん経由がありますね。早速ダンジョンの機能を使って、今いる部屋の映像を見てみる。ダンジョンの映像は、コアさんが領域内にあるものを映像に加工して、出力してくれているのできっと見られるはずだ。
映像には、フヨフヨと青白い火の玉の様なものが二つ、空中に浮いている姿が映し出されていた。これが純霊。見た目はお化け屋敷とかで出てくる、狐火をイメージすると分かりやすいかな?
……これって、他の子達も見えるのかな? 見えないと、ちょっと不味いかも知れないですね。その手の魔物が攻めてきたら対応が遅れることに成るし、後で確認しておきましょう。
~純種【スポナー(中)】を設置します~
コアさんが次のスポーンを設置してくれた……あれ? お願いしましたっけ?
1㎝ほどの植物の種が、10匹? 個? 生れてきた。その後すぐに、芽が出てきて双葉が広がり、タンポポの綿毛のようなものが頭頂部に生え、空中を漂いだす。
室内で風が無くても、双葉を動かして空中を器用に移動している。問題ないみたいですね。こちらに一匹流れてきたので、受け止める。
「こんにちは」
「……」
うん、反応は無し! 植物な上にまだ種子なだけあって、自我らしいものはまだ持っていないご様子。
ちなみに今まで、植物は結構な種類を【生産】してきたが、魔物との決定的な違いは魔石が在るかどうか。無い奴は植物、有るやつは魔物に分類される。
う~ん、この子達は如何しましょうか。動き回れる種類も居ますけど、ひとまず世界樹さんの周りにでも根付いてもらいましょうか?
~純蜥蜴【スポナー(中)】を設置します~
純種の今後を考えていると、コアさんが新たな【スポナー】を設置してくれた。
コアさんや、随分グイグイ来ますね。もしかして焦れています?
~否定~
え~? でも、結構時間も経っていますし? ただ見ている側からし ~否定~ あ、ハイ……。
最近、コアさんから人間らしさを感じるけど、考えても答えは出ない。本人も否定していますし、今は気にせずに行きましょう。
生れてきたのは30㎝程の真っ白な蜥蜴が5匹。目元に黒い模様が有ったり、尻尾の先が黒かったり、眠そうな表情をしていたり、個性豊かですね~。
「シャ~~~」
尾をぺちぺち、地面に叩きつけたり、頭を左右に振ったりと、見ていると癒される子達ですね。世界樹さんの琴線には触れなかった様だ。見てはいるけど、発狂したりしない。本当にモフモフ専門なんですね。
「こんにちは、これからよろしくお願いしますね」
「シャッシャシャ~~~」
純蜥蜴が膝の上に登ってくる。物怖じしないですね~。そんな彼らを、プルプルと押しのけて、代わりに膝の上に収まる影が一つ。
「え~と、プルさん?」
(ここは、プルのばしょ~)
「シャ~~」
(わたしは、あなたたちのせんぱいなの~)
「シャ、シャ~?」
(ちっが~う! プルたいちょうとよぶがよい!)
いつの間に俺の膝の上は、プルさんの指定席になったのでしょうか? そりゃ、いつも乗せて、プルプルしていましたけど。
急に現れたプルさんに先輩面されても、純蜥蜴達は特に思うところはない様子。むしろ、尾でバランスと取りながら二本足で立ち、前足で敬礼している。乗り良いですね、君たち。
~純魚【スポナー(中)】を設置します~
ドンドン来るな~。生まれたのはアユの様な姿の魔物が10匹。元気に水中を泳いでいる。あ、ちゃんと水場は用意しているので、陸で溺れることは無いですよ?
~純貝【スポナー(中)】を設置します~
……もう何も言うまい。
シジミ……ホタテの方が合っているかな? 二枚貝の姿をした魔物が5匹、生まれてきた。
「これからよろしくお願いしますね、みなさん」
―ピチョン―
―パカパカ―
純魚が水面上に飛び跳ね、純貝が貝を開閉して答えてくれる。言葉は分かっている様だ、良かった、良かった。
この子達の為に、広めの水場を迷宮内に造らないといけないですね……風呂場と繋げると変わった進化するかな? 煮魚、蒸し貝に成ったりしないですよね?
薬樹の迷宮(仮) LV:7
特性:植物・水
DP:1,828,400
処理能力:8,500/9,000(使用率97%)
機能容量:8,500/9,000
そろそろ、DP残量が関係なくなる位安定して来るので、DP表示が無くなると思います。




