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58 お散歩③

①暇つぶし

②プレゼント

③特産品ゲット

 蜘蛛(タラント)エリアをそのまま進み、上へと昇る。たどり着いたのは、世界樹の中腹辺りに空いた、外へと繋がる穴だった。


「お~~~~…」


 視界広がるのは一面の草原。所々低い木や湖、そこから小さな川が延び合流し、丘の間を枝分かれしながら流れている。

 所々、魔力結晶だと思われる物が光を反射し、キラキラと輝いている。種類のバラツキが有るのか、起伏が激しい場所、水が多い場所、風が強い場所、陽炎が出でいる場所、氷が張った場所、全て混ぜこぜになった様な場所。ダンジョンによって加工された映像でない、本物の風景が広がっていた。


「絶景ですね~」

「フフ~ン、当然なの! 私より大きな奴なんて居ないなの!」


 腰に手を当て、踏ん反り返る世界樹さん。確かに、世界樹さんくらいの高さがないと、この光景は見られなかったかもしれないですね。

 足元も糸で補強され安定していますから、安心して見ることができます…そう言えば、こっちに来てから初めて外に出たかも…気にしないことにしましょう。


「見た感じ良さそうですけど、属性付き魔力が増えて、環境のバランスよくなっています?」

「なの! いろんな属性が混ざり合って、とっても安定しているなの!」

「属性が無かったり、1属性が強かったりすると、特定の魔物が異常繁殖したり、病や毒が蔓延するんでしたっけ?」

「なのなの」


 元居た世界風に言うと、酸素や二酸化炭素とかのバランスが狂った様な状態に近い。直ちに影響が出る程ではないけど、長く居ると体調を崩す事間違いなしである。


 しかし、領域の境がくっきり出ていますね、(アルト)達によってできた黒い線が見える上、そこから先はなんにもない。更にそこから先は…う~ん、山になっていて見えない。


「シャ?」

「ん? おぉ、蟷螂(マンティア)さんですか、どうも」

「シャ!」

「ム」


 領域が広がって行く様子を眺めていたら、別の穴から蟷螂(マンティア)達が出てきた。そんな彼らを、世界樹さんが忌々しい者を見る目で見ている。全く、この植物は…


「ま~だ、根に持っているんですか?」

「フンなの!」

「そりゃぁ、一撃で枝を切り落とされたのは、悔しかったかもしれないですけど?」

「ぐふぅ…」


 世界樹さんが成長したことによって、伸びた邪魔な枝を切る事になった時、蟷螂(マンティア)に切ってもらった訳なんですが、まさに一刀両断で切り落とされたのだ。それが、相当プライドを傷つけたらしい。

 ちなみに世界樹は、まっすぐ伸びる幹と、至る所から伸びた枝でできており、枝は一定以上まで伸びたら、曲がって捩じれ、お互いに絡まることを繰り返し、真っ直ぐな幹を中心にどんどん高く、太くなっていく。木と蔓植物の間みたいな成長をする、不思議樹木だった。その特徴的な成長の仕方もあって、世界樹の中には意外と空洞が多く、そこに魔物が住み着くのだとか。魔力も豊富で、魔物には最高の環境らしい。元の世界にも、こんな木って在るのかな?


「シャ」

「!?」

「シャシャ」(上から目線)

「(ブチ!)言ったななの!? いい度胸なの!」

「シャシャ!」

「丁度邪魔な枝があるなの! やれるもんならやってみろなの!!!」


 蟷螂(マンティア)を引き連れて、世界樹さんがどこかへ行ってしまった。何を言われたかは知りませんが、世界樹さんや、煽り耐性無さすぎじゃぁありませんか?


 もう、風景を楽しむ雰囲気じゃ無いですね~…頂上付近まで登ろうかな?


 ―――


「ひ~、疲れた。ちょっと休憩」


 流石にこの高さは無謀だったかな? 人間だったら頃なら、半分も登れる自信がない。魔力が濃いかららしいが、スタミナが殆ど減らない。減った端から回復するんですよね。限界は有りますし、精神力は回復しませんけど。


 この辺りは、枝も捩じれていないし、伸びた枝から青々した葉が茂っている。ここからは、安定した足場が少なくなってくるかな? 今までは幹に巻き付いた元枝を、足場に登ってきたけど、もう手頃なのが無い。この辺りで諦めますか。

 しかし、改めて間近で見ると大きな葉ですね~、幅1m位あるかな?


 ― ジジジジジ -


 そんなこんなで休憩を取っていると、更に上空から特徴的な羽音を鳴らしながら、こっちに近づいてくる影が視界に入る。

 リーダー1匹とその他4匹、いつものチーム編成で(ドビー)さん達が現れた。この辺りは、空を飛ぶ子達のエリアとなっていましたね。


「ジジジ!」

「こんにちは、(ドビー)さん」

「ジ!」

「「「「ジ!!」」」」

「何をしているんですか?」

「ジ!」


 代表として近くに寄っていた、指揮蜂(ドビー・リーダー)が指し示す方向を向く。


「キュ~♪」

「ジ~!」


 そこには、数匹の(バタリー)が楽しそうに飛んで居た。ちょっと前まで穴倉暮しでしたからね~、良かったよかった。

 そんな(バタリー)達に向かって、(ドビー)グルーブが攻撃を仕掛けている。おそらく戦闘訓練だろう、(アルト)といい、(きみたち)といい、訓練が好きですね~。しかし…


「え、えげつねぇ」

「ジ~…」


 指揮蜂(ドビー・リーダー)が、申し訳なさそうな顔をする。まぁ、そんな顔にもなりますよね。

 鱗粉が届かない距離からの遠距離攻撃は、魔法で相殺するか逸らされ、鱗粉が来ない風上からの中距離攻撃は、風魔法に乗せた鱗粉と魔法による幻覚、さらには火魔法か何かを利用した陽炎も合わさり、明後日の方向に向かって仕舞う。

 近距離戦闘は鱗粉がある為論外。中途半端な速度では、鱗粉が効いて仕舞う為だろう、高速で突っ込んで攻撃を当てに行っているが、それも躱される。しかも鱗粉でできた分身の置き土産付きで、的を絞らせない。

 鱗粉と魔法による、状態異常の多重掛け…耐性が無ければ、近づいただけでアウト。時間を掛ければ、それでもアウト。攻撃も相殺されるか、そもそも当たらない。えげつねぇ。


 あ、一匹鱗粉分身に突っ込んだ。あらら、動けなくなって、そのまま落ちていって仕舞いましたね。


「あの子、大丈夫なんですか?」

「ジジ!」


 大丈夫っぽい? …あ、下の方に回収班が居たんですね。抱えられながら戻ってきました。

 しっかし、どんな状態異常になったんですかね? ちょっと『鑑定』。え~と、なになに?


 麻痺(大)、石化(小)、幻覚(大)、錯乱(大)、不調(大)、睡眠(大)、気絶(大)、乱魔(大)、封魔(大)


「…えげつねぇ」

「ジ~…」


 そんな状態異常を掛けた張本人(バタリー)は、今日も優雅に飛び回るのであった。


「キュ~♪」

薬樹の迷宮(仮) LV(レベル:6

特性:植物・水

DP:1,969,300


処理能力:7,800/8,000(使用率97%)

機能容量:7,000/8,000


分かりにくそうな状態

幻覚:(情報の誤認)存在しない音や姿、気配等を誤認する

錯乱:(思考力の減少)

不調:(耐性の減少)

乱魔:(魔法の使用困難)

封魔:(魔法の使用不可)

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