50 命の洗濯
①癒しの施設?
②迷宮LVア~プ
③迷宮機能一覧
~ピピピ・ピピピ・ピピピ~
~おはようございます、マスター~
~ダンジョンがLV4からLV5になりました~
~迷宮のレベルが一定値を超えました。情報が更新されました~
~迷宮化が終了しております~
「おはよ~…ありがと、コアさん」
機能の一覧を取得した翌日、今日もコアさんの目覚ましによって起床した…まだ眠い。
機能の確認? 夜も遅かったし、今日に回しましたよ…。
「おはようなの! 早速行くなの!」
寝起き早々、世界樹さんに引っ張り起こされてしまった。そんなに施設が気に成りますか…気に成ることを、コアさんが言っていたような、後でいいか。
―――
「―――で、出来た空間に、水と火、冷の魔力結晶を設置して完成になります」
「なのなの…火と冷、両方の魔力結晶を置くのは何でなの?」
「ダンジョン内は魔力が濃いですから、片方だと危険かなと思いまして」
「成る程なの。部屋を広くしたのもその関係なの?」
「ですです。後、広い方が大勢で使えます」
現在俺は、完成した通路を進みながら、世界樹さんに設計図を見せ、施設の説明をしている。うん、色々あったけど、有耶無耶にはならなかった。完成品を直接見せたかったのですがね~。敗者は勝者に従うのみです…本気になった世界樹さん、結構強いんですもん。いや、俺が弱いのか?
身体能力、子供並みだったのを忘れていました。首に腕を回された状態じゃ、逆らえません。ちなみに世界樹さんは今、俺の背中にしがみ付いている状態です。何時でも首を絞められますね。
「それって、そんなにいい物なの?」
「う~ん、人による…ですかね? 俺は好きですよ。世界樹さんは…木ですからね~、どうでしょう?」
「なの~?」
「ミ?」
(プルはすき~~~♪)
うん、粘液は好きでしょうね。世界樹さんと、鼠は分がんね。
しかし、世界樹さんの感覚ですか。そもそも植物の五感ってどうなっているんでしょうね?
「ちなみに、世界樹さんの依り代って、五感はどうなっているんですか?」
「なの? 温度とか、触れている感覚は有るなの」
「痛みとかはあるんですか?」
「そこまでいくと鈍いなの。もっと精巧に作れば感じる様になると思うなの」
「そうですか。だとしたら、世界樹さんには合わないかもしれないですね~」
「むぅ、残念なの」
そんな会話をしながら、完成した通路を進んでいく。なんせ、世界樹さんに影響が出ないように、16本作った通路とその部屋の、更に奥に造りましたからね。その距離、約400m! …交通の便を考えていなかった、遠い。普段使いには向かないですね、後でどうにかしましょう。
―――
(わ~い♪)
歩くこと数分、ようやく目的地に到着。プルさんは待ちきれなかったのか、先に行ってしまった。
上から流れてくる水、モクモクと上がる蒸気、地面に出来た水溜まりや、それを繋ぐ水路。
「これが風呂なの?」
そう! 俺が作ったもの、それは風呂!!
総使用DP 10万3500! かなりDPを使ったけど、後悔はしていない!
毎日使ってもいいし、大きく造ったから他の子達も使える、…虫族が気に入るかは、分からないけど。
こっちに来てから、一度も体を洗っていなかったのだ。半虚現体、半分魔力の体になってから、代謝が殆ど無くなったのか、汚れもしないし悪臭もしない。体が痒いことも無いので、入る必要は無いかもしれない。だが、そこは元日本人! 思い立ったら、入らずにはいられない! 地球に居た頃を合わせたら、どれ位入って無かっただろうか。そう言えば、入ろうと思って風呂のスイッチ、付けっぱなしだったような……
……過去に捕らわれてはイケないのです! 今は、目の前の風呂だ!
構造としては、100㎡の大部屋で、サイコロの4の目の様に柱が設置した大部屋となっている。奥の隅には、それぞれ【魔力結晶(火・小)】と【魔力結晶(冷・小)】を設置し、その真上の天井に【魔力結晶(水・小)】を設置し、温水と冷水を造っている。地面には、所々御椀型の窪みや溝があり、そこで水が合流することで、温度調節がされる様になっていているので、それぞれの【魔力結晶】の近くは地獄でしょうね。それが良い子も居るかもしれないけど……属性持ちの粘液とかは平気そうだ。
わざわざ二種類の【魔力結晶】を用意した理由は、結晶が成長する為だ。【魔力結晶(火・小)】だけだと温度が際限なく上がってしまう為、相殺の為に設置した…ヤバく成ったら割るなり回収なりして、新しくすればいいですしね。
【魔力結晶(風・小)】も設置されており、温められた空気は【魔力結晶(冷・小)】へと送られ、過剰に温度が上がらないようにするのと同時に、氷を解かし水に変える。氷は動かないですからね。
天井には、所々穴が開いており、そこから明かりが降り注ぐ。明かりでできた柱が、綺麗ですね~。
部屋の高さは、10mと他と比べて高めに設定した。ずっと発熱する訳ですし、保温や換気を考えたら広い方が良いかなと。それもあって、大部屋になってしまった。造って分かった事だけど、部屋の状態を維持しやすい方がDPの消費が少なくて済む。見栄えの為に柱を付けたら、コストが下がって驚きました。
プルさんに続いて中に入る。この部屋、もう草が成長している、最早浸食ですね。ホロロンの実まで、空中にも水面にも浮いている。その内ここも樹海に沈むのか……ん? この匂いは何でしょう? 青臭いような、甘いような、湯もなんだか色が付いている。
…………嫌な予感がひしひしと。
「コアさん、『鑑定』してもらえます?」
【ポーション(優)】
【マナポーション(優)】
【ライフポーション(優)】
【スタミナポーション(優)】
【耐性薬(優)】
【万能薬(優)】
【エリクサー(優)】
【魔女の秘薬(優)】
【命薬(優)】
【魔水(優)】
【純魔水(優)】
―――
うわ~、うわ~、うっわ~~~。どうしてこうなった……どうしてこうなった!? 複数作った湯舟が、薬液で満たされてしまっている。普通の湯がない、薬湯ってレベルでもないぞ!?
熱湯が突沸し波打つことで溢れ、周囲の薬草を巻き込んでいる……その端から新しい草が生えて来ている。植物の成長速度が異常な、ここだからこその現象ですね。魔力を大量に含んだ熱湯で煮込まれ、蒸気で蒸らされ、それが合わさって薬になったのか……配合とかどうなっているんだ?
「成る程なの、薬に浸かって回復するのが風呂なの!」
「いえ、普通はただのお湯で、汚れを落とすところです。薬湯とかが無い訳じゃないですけど、こんな豪華なじゃ無いですからね?」
「なの? でも、山とかで似た場所があるなの」
「あ~、温泉のことですかね?」
そう考えれば…アリか? 異世界ですから、本当に似た場所が有ってもおかしくないですけど…。
良さ気な温度の場所を探す。ここまで来て入らない選択肢は無いでしょう……お、【マナポーション(優)】ですか、効果も温度も良さげですね。服を脱ぎ、早速浸かってみる。
「ア˝~~~~~~…」
数日ぶりの風呂はいいですね~。
「私達も入るなの」
「ミー!」
世界樹さん達も一緒に入る……事案じゃ無いですよ? 世界樹さん、服着たままですし、姿は幼児だし? そもそも性別無いですし!?
「湯加減は如何ですか?」
「…よくわからないなの」
世界樹さんがしょんぼりしてしまった。やっぱり駄目でしたか、こればっかりは仕方がない。
「そんな事より、機能の一覧を見せるなの! レベルも上がったから、新しいのができるなの!」
「その予定でしたね。では早速」
ダンジョンの機能一覧を表示する。ほ~~~んと、多いな。
薬樹の迷宮(仮) 残り猶予 999:24:59(停止中)
LV:4→5
特性:植物・水
DP: 2,470,766(113,500消費)
処理能力:6,800/7,000(使用率97%)
機能容量:6,000/7,000




