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32 世界樹さんの決定

①世界樹復活!

②世界樹さんは考える

③リア充、爆発しろ


 ポチ・ポチ・ポチ


 領域内をカメラで見ているが、本当に外何もないな。ぺんぺん草一つ無いって、こういった状態を言うのかもしれない。

 ジメジメした砂漠をイメージしてもらえれば分かるかな? 毒が地下に流れているから、地表に毒は無いけど、残りカスの砂しかない。

 あ、でも世界樹の周りには、少し緑が見られるね・・・て、すごい勢いで広がっていっているな。この調子なら、ここ一帯は草原になりそうだね。これなら、近いうちに樹木類も【生産】できそうだ。今の状態じゃ、砂地で安定感がないし、大きな樹木類は倒れかねないからね。エサに成るなり、枯れるなりして、土が出来れば、安定感も増すでしょ。

 次に、領域外にも見ようと視点を変える。


「あれ?」


 映像には、真っ黒に染まった空間だけが映っていいた。領域を境にその先は見えないらしい、領域の外も見られるかなと思っていたが、無理なようだ。

 う~ん、普通のカメラみたいに、光を捉えているのではなくて、領域内を映像として加工し、表示でもしているのかな?見るなら、外に出るか、カメラ機能を持つ道具や、能力持ちの子を【生産】するしかないか・・・その内でいいか。


(ぱぱ~、おみずなくなった~)

「え?」


 いっしょに居た、毒錬金粘液ポイズン・スライム・アルケミスト・・・プルさんが報告してくれた。そういえば、この子ずっと此処にいるけど、食事とか如何しているんでしょ? それは後で聞いてみるとして。

 どうやら、迷宮化で作った縦穴に、放出していた水が無くなってしまったらしい。まだ、【倉庫】に水はかなりの量が有るのだが、何があった?

 カメラで確認してみると、縦穴に植物の根が張り巡らされており、放出した端から吸われている様だ。心なしか、周りにいるスライムがしょげている気がする。

 これ、世界樹さんの根っこだよね、嗅ぎつけるのが速いな。水やりは目的の一つだったから良いけど、皆の憩いの場が無くなるのは、上司として見逃せない。

 ・・・DPも残り少ないし、全部使ってしまいましょうか。残して置いてもできる事は限られますし。


「コアさん、結晶(水)を【生産】、縦穴に設置して」


 ~500DPを使用し【魔力結晶(水)】小を【生産】します~

 ~【魔力結晶(水・小)】を設置します~


【魔力結晶】高濃度の魔力が結晶したもの。一定以上の大きさ、濃度に成長すると、周囲の魔力を吸収し属性に対応した物質に変換、又は周辺に影響を及ぼす。


 これも【創造】で創った物の一つだ。これがあれば、周りの魔力を水に変換してくれるだろう。迷宮化した縦穴内なら、他よりも魔力濃度は高い。小さな結晶でも、少しは効果が見込めるかもしれないですし、置いておけば大きな結晶に成長するかもしれない。【生産】して損は無いでしょう・・・て


 ドババババ――――


(わ~い、おみずだ~♪)


 ものすごい勢いで水が出て来ているんですけど!? ・・・コアさんや、【創造】で造った時の結果予測と違い過ぎませんか?


 ~現在、サブマスター【世界樹】の活性化に伴い、迷宮内の魔力濃度が上昇傾向にあります。それにより、通常のダンジョンより魔力濃度が高いためと予測します~


 まじで? やっぱり世界樹ってスゲ~。これは、DPが確保出来たら、他の結晶も作りましょうか、近々大量確保の予定がありますし。

 あと、このコアルームも他より魔力濃度が高い為、半虚現体の粘液(スライム)さんも、俺と同じく殆ど食事がなくても平気とのこと。やっぱ便利だね、魔力があれば生きていけるのだから。


(主様! ご報告いたします)


 今度はクロスさんですか、家族サービスは終わったご様子。お疲れ様です。


「クロスさんですか、お勤めご苦労様です」

(? 労い。痛み入ります。内側の毒液について、今日中に処理が終わる目途が付きました。処理範囲の拡大を視野に入れておりますが、如何致しましょうか?)

「それも良いですが、そろそろ本格的に活動する可能性があります。」

(それでは、ついに!)

「世界樹さんの決定次第ですけどね。戦闘になるかもしれないので、覚悟しておいてください」

(承知いたしました!)

「こちらでも、戦闘方法は考えてみますので、後で会議でも開きましょうか」


 そんな風に、こまごまとしたことを処理しながら数時間が経過。


 ~決めたなの!~


 そんな声と同時に、目の前に光が集まり人の形をとっていく。そこに世界樹さんの依り代が現れた。どうやら答えが出たようだ。そして、高々と宣言した。


「エルフと人間は、近づいてきたら駆除するなの! それ以外は我慢するなの!」


 そこに落ち着きましたか。まぁ、妥当ですかね?


「だけど、私を殺そうとした奴らはダメなの! 全部駆逐するなの!」

「え~と、全部ってどれ位の範囲を考えています?」

「なの? え~と、人間は国? って巣を造るって聞いたなの、それ位なの!」


 なるほど、人間全部じゃなくて、襲ってきた国が対象って訳ですか。

 良いんじゃないでしょうか? 襲ってきたのは人間って単位じゃなくて、国ですからね、その国を攻め滅ぼす分には問題ないでしょう。始めに手を出して来たのは相手な訳ですし、戦争を吹っ掛けられても、文句を言える立場でもないでしょう。


「分かりました。そういう事なら協力しますよ。その為にも調査は必要ですね。どこの誰で、どの程度の規模が相手なのか知る必要があります」

「・・・」


 これから必要なことを提案していたら、なぜか世界樹さんが驚いた様な、変な生物を見る様な目でこっちを見てくる・・・なぜ?


「え~と、何か変でしたか?」

「相手は貴方の同族なの、本当に良いなの?」


 いや、同族って・・・


「そんな奴らと、同族扱いされたく無いんですけど・・・そもそも、俺はこの世界出身では無いですし。人間なんて、国や環境が違えは殆ど別種族ですよ? 生き方も、考え方もです。文化が違うって言えばいいですかね?」

「そっか、うん、わかったなの。よろしくなの!」


 これで、本当の意味で落ち着いた。世界樹さんが暴走しようものなら、今の俺じゃ止められないでしょうしね。

 準備期間は終了、これからが本番だ。明日から、本当のダンジョン運営の開始です!


世界樹の迷宮(仮)

LV:2

特性:植物・水

DP: 16 DP (500DP消費)生産に使用

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