【閑話】聞き取り グロ注意……マジでグロ注意!
①侵入者
②地下施設整備中
③警備体制はばっちり!
グロ注意です! 暴力的、残虐的な表現が大量に含まれます!
不快感を覚える可能性があります。
この話を飛ばしたとしても、今後の話に影響は御座いません。
それでもよろしいと言う方は、よろしくお願いいたします。
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「ふ、くっふふふふふ……」
「おや? 気でも触れましたかな?」
拘束され運ばれている人間から、愉悦を含んだ笑い声が漏れる。
「愚かな奴らだ。我々に手を出し、唯で済むと思っているのか?」
「ゴミに何かした程度で、問題が起きるとは思いませんが?」
ゴトーの返答を理解できなかったのか、一拍の空白を置いて、自分達の事をゴミ扱いしたことに思い至ったのか、怒りと殺意をゴトーに向ける。
「ご、ゴミだと……至高の存在に仕えし、我等使徒をゴミだと!? 下等生物共が、唯では済まさんぞ!」
「何も知らん、下等生物共が!!」
「イラ国、イラ教、暗部、第三部隊、別名【天の裁き】ですよね?」
「「「!?」」」
ゴトーの答えに対し、怒りに任せて罵倒していた者達が、一斉に押し黙る。
イラ国の人間であることもそうだが、自分たちの存在を、的確に指摘された衝撃が、ゴトーに対する敵意を上回る。
選ばれた存在である自尊心を、更に掻き立てていた彼等にとって、その衝撃は無視できるものでは無かった。
そもそも【天の裁き】と言う名は、外部には一切漏れていないはずの存在なのだ。暗部の存在を囁かれる事はあっても、その名を知っているはずがない。
「その名を何処で知った! 答えろ、下等生物!」
「貴方達からですよ、ゴミ」
その言葉に、最初に思いつくのは裏切り者の存在だ。だがしかし、自分たちの存在を知っているのは、イラ国の中でもごく一部、それも上級階級に限られるのだ、裏切る理由が思い至らない。ならば、今ここに居る内の誰かが? そんな葛藤を見てか、メルルとゴトーが可笑しそうに笑う。
「色々考えている様ですが、恐らく違うと思いますよ?」
「なに?」
「怪しい者には訓練も兼ねて、片っ端から監視を付けておりましたからね。この数日、24時間体制で見張られていたことに、気が付かなかったのは?」
「なん……」
巨大な門を潜り、木をくり貫いた様な通路を進む。
監視していた自分たちが、逆に監視されていた。そんな事はあり得ない、有り得て堪るモノかと思いつつも、強く否定できない。
「一緒に監視していた、キーク殿とミール殿が後を付けていた事に気が付いていなかった時点で、能力は御察しでしょうな」
道行く先々で、多種多様な魔物とすれ違う。
侮蔑を込めたゴトーの言葉に、つい先ほど襲われ、その隠密能力の高さを身に染みて理解してしまった彼等からは、反論の言葉が上がる事は無かった。
「主な仕事は、妨害工作に破壊工作、窃盗、強盗、誘拐、拷問、暗殺、扇動、等々でしたか? 確かに、必要な場面はあるでしょう、それ自体を否定する気はありません。ですが、それらを実行するに値する、一線と言うものが在るとは思いませんか? 自分たちの欲望のままに、生きる為でなく、欲望を満たす目的だけに、それらの手段を執行するのは、少々目に余る」
いつの間にこのような場所へと迷い込んだのか……怒りと憎しみと驚愕に塗れ、周囲に意識を向ける暇も無かった彼等は、ここに来て、漸く周囲の風景が、環境が、先ほどいた地下道とは何もかもが変わって居る事に気が付く。
吐き気を催すほどの高濃度の魔力が満ち、辺りには魔物が闊歩する。
「自分達もやっているのですから、やり返される覚悟はできているのでしょう?」
だがしかし、その溢れ返る魔物の気配も足を進める程に薄くなり、最終的に、周囲に生き物の気配が全くしない薄暗い一室の前に辿り着く。
「して……拷問でしたか。貴方達が行う拷問とは、どの程度のモノなのでしょう。私め、とても気になりますぞ!」
開かれる木の扉。その中へと、問答無用で運ばれる。
「ひぃ!?」
仮面の奥から、引きつった悲鳴が上がる。
視界を彩るのは、赤。
何かを解体した後の臓器と、吊り下げられた肉の塊。
部屋の中央には、明らかに人型のモノを固定することを目的とした椅子が、地面から生えたかのように、円を組む配置で並べられていた。
「嫌だ! 放せ! 放せーーー!!」
一人一人拘束を解かれ、椅子へと無理やり座らされる。手足、頭、指に至るまで、一切の身動きを封じる。
「い、今ならまだ間に合う、考え直せ!」
壁には、用途不明な様々な器具が並べられ、今か今かと、活躍の時を待つように、鈍い光を反射する。
だがその用途は、この場の惨状を見れば、一目見て理解できるだろう。それは、人間を壊す道具、効率的に痛みを与える道具、残虐性と悪意を形にした道具。
「国を…イラ王国を、敵に回す、気か?」
「はぁ……ワンパターンですね。人間は似たような事しか言いません。全く、面白みに欠けます」
そのセリフを聞き、心底つまらなそうにため息を吐くゴトー。
ハンターの人間を捕らえた時も、同じ様なセリフを吐くだけで、説得も、命乞いも、今更誰も聞かなくなっていた。例え聞いたとしても、大概が嘘偽りばかりなのだ、人間の言葉には価値がない。既に【世界樹の迷宮】に住む者達の、共通認識となっていた。
「そもそも、暗部であるあなた達がどうなろうと、国が表立って動けるのですか?」
「……」
「貴方方に許されたことは、我々の質問に、嘘偽りなく答える事。それ以外の存在価値など、存在しませんよ」
壁から器具を手に取り、椅子に拘束され身動きが取れない者達の周りをゆっくりと歩く。
怯える者、視線を逸らす者、睨みつける者、未だに敵意を向ける者……一通り各々の顔を見渡しながら、一人の前で立ち止まる。
「そうですな……先ずは貴方から行きましょう」
「俺が口を割ると? フン、下等生物らしい浅はかな考えーーー」
前振りも無く、手に持ったペンチで、指の爪を力任せに剥ぎ取る。
「~~~~~」
二枚目
「いぎ!?」
三枚目
「あ゛ぃい!?」
四、五枚目
「ま」
反対の指に回り、六、七枚目
「待て、待て待てま゛!?」
八,九,十枚目
「~~~! ~~~! ~~~!」
最早声にならない悲鳴を上げながら、救いを求めるような視線を向けるも、最後まで止まることなく、全ての爪を乱雑に剥ぎ取る。
拷問とは、被害者の自由を奪った上で肉体的・精神的に痛めつけることにより、加害者の要求に従うように強要する。または、情報を自白させる目的で行われる行為。
「いぎぃぃぃいいい~~~~いいいぃぃぃいい!!??」
だがしかし、いま目の前で行われているのは、一方的な暴力。何かを強要する訳でもなく、口を割らせるわけでもなく、唯々、淡々と、肉体を壊すだけの暴力。
爪を剥ぎ、皮を焼き、剥ぎ、肉をやすりで削ぎ落し、骨をハンマーで砕き、肉と一緒にかき回し、歯を抉り取り、舌を引き千切り、眼球を焼き抉り、腸を引きずり出す。
「ふむ……これ以上は、壊すところがありませんね。では」
死ぬ一歩手前。ギリギリ、人の形を保っている何かがに向け、瓶に収められていた液体を浴びせかける。それによって、今までの傷が嘘のように全身の傷が再生し、元の人間の姿を取り戻す。
「!? い…や、話す、話すから…もう、止めて、くれ」
「いえいえ、その必要はありませんよ?」
「は……ぁ?」
「貴方の言葉に、一体どれ程の価値があると思っていたのですか?」
終わる事のない苦痛、本来の拷問であれば、相手が提示する条件に答える事で、解放されるところだが、これは拷問ではない。
実験、解体、加工……獲物に対して振るわれる、一方的な暴力でしかない。
「それに、これからではありませんか。折角傷を癒したのです、また最初からできますな!」
「い!? 嫌だ! 嫌だ―――! 放せーーー!」
傷を癒し、爪を剥ぎ、皮を剥ぎ、肉を削ぎ、砕き、歯を抜き、舌を引っこ抜き、眼球を抉り、焼き、腸を引きずり出す。
「この野蛮人が! 畜生が! 貴様らは狂っている!」
「人の心は無いのか!? 外道が!」
「何を言うかと思えば……これは昨晩、あなた達が行った拷問の手順と同じではありませんでしたかな?」
その言葉を前にして、開いた口から放たれる罵声が止まる。その最中にも、作業の手が止まる事は無く、傷を癒し、爪を剥ぎ、皮を剥ぎ、肉を削ぎ、砕き、歯を抜き、舌を引っこ抜き、眼球を抉り、焼き、腸を引きずり出す。
「殺して…殺して…ぐれ」
「ふむ……成る程成る程。これ位になると、絶望するのですね。この感情も覚えておきましょう。では、続きです」
肉体を、精神を、魂を壊す。壊し続ける。繰返し、休みなく、淡々と……
「…………」
「おや? 精神が壊れてしまいましたか?」
虚ろな目。痙攣する体。心臓は動き、体は生きているが、その心は粉々に砕け散っていた。
「では、これですね」
先端が針の様に尖った円柱を、壊れた人間の頭部へと突き刺す。
「い? ……あ、あぁ? あ、あぁ!? あ、あ゛ーーー!?」
「狂う事など、許す訳が無いでしょう? 絶望する事を、許容する訳が無いでしょう? 心を閉ざす権限など、有る訳無いでしょう?」
頭に取り付けられたものは、装着者に対し、精神耐性を強制的に付与する魔道具。疲弊し壊れた精神も強制的に修復し、安定させる。つまり、狂う事すら許されない。
「魂が擦り切れるまで死に続けなさい。それがお前に許された、唯一の存在価値なのですから」
―――
「さて……流石に回復回数が3桁を超えると、魂の残量が尽きるようですね」
どれだけの時間が経っただろうか……回復薬を掛けても、肉体の回復が開始されることが無くなると、二度、三度浅い呼吸を繰り返した後に……息絶えた。
耳鳴りが起きる程の静寂が支配する中、パンと、仕切り直すように手を叩く音が鳴る。
「さて、つまり皆さんも、100回程は繰り返せると言う事ですな!」
死ぬ事すら許されない地獄、目の前に繰り返された、救いも懇願も、何もかもを無視して行われる、最早拷問ですらない作業。そこには希望の欠片すら存在しない。
「……助かりたいですか?」
「「「!!??」」」
絶望が支配する中、慈愛に満ちた優しい声色で、希望を掻き立てる甘い声が掛けられる。たとえそれが、この惨事を引き起こした当の本人からの提案であろうとも、今の彼等にはそれ以外に縋るモノが無かったのだ。
だが、その言葉を発した当人から最悪な、悪魔の様な条件が付きつけられる。
「但し、情報を提供した者だけです。我々が把握していない情報を提供した者だけに、慈悲を与えましょう……早いもの勝ちですよ?」
言い終わると同時に、拘束椅子がスライドする様に動き出す。
「な、なに?」
「近くに仲間が居ては、話し難いのではないですか? 個室を用意するので、思う存分お話しください。こちらは誰が、何を言ったか、暴露する事はありません」
情報の提供、早い者勝ち……恐怖と生存本能が合わさり、その言葉が意味するところを、瞬時に理解する。
彼等が何を知っているか、何を知らないのか、彼等は全く知らない。そして、他の者がもし先に情報を提示した場合、その後に話したとしても、その情報提供は無効扱いとなる。
確実に助かる為には、他よりも早く、可能な限りの情報を提示すること。
「「「……」」」
牽制する様な視線を、仲間だった者達に向けながら、壁の向こう側へと、飲み込まれる様に部屋から消えていく。
先ほどの惨状を前にして、既に仲間意識などと言う軟な感情は、綺麗に崩れ去っていた。
生き残る。その為だけに、彼等は口を開くだろう。自身が持つ情報を全て、一滴残らず、絞り出すように、自身の命の対価として……
やられたことはやり返す、因果応報ですね。
あ、普通に捕まった人には、こんなことはしていませんので、予めご容赦ください。実験動物に対しては、苦痛なく被検体としての役割を全うしてもらっています。(例外アリ)
(……まぁ、所詮ケルド(寄生虫・病原菌・がん細胞etc)ですしおすし。)




