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146 鬼の居ぬ間に、鬼の居る間で

①お仲間集合

②一番強いのは、だ~れ?

③キョクヤさんや、その方々は偉い方なんですよ

 ~ ピピピ・ピピピ・ピピピ ~

 ~ 指定時刻となりましたことを、お知らせいたします ~


「「「おぉ!」」」

「コア様! ここでの話は内密にお願いいたしますわ!」


 ~ 了解、中央エリア【大広間】の映像、音声の観測を一時停止します ~

 ~ 解除の際はエリア外にて申請下さい ~


「有難うございますわ! …オホン! それでは時間になりましたので、第七回、主様(お父様)を語ろうの会を開催いたしますわ!」


 ― ワーワー ―


「僭越ながら、司会は私、ルナでお送りさせていただきますわ!」

「……なぁにこれ?」

(皆怖がって、面と向かって話さないんだもん~)

「主がその程度で、怒ったりしないのにね~」

(ね~)

「つまりは……ダンマスに対する愚痴?」

(愚痴も…なくはない?)

「見てれば分かるんじゃない?」

「はぁ……てか、もうすでに6回開いているんですね」

「普段は誤魔化す為に、職人(マッド)方を隠れ蓑にして語ってきましたが、此度お父様の帰還日が決定いたしました。それに伴い、安全な期間が確保できましたので、今宵は思う存分本音をぶちまけたいと思います!」


 ― ワーワー -


 ―――by新入り


「「「憶病すぎる!」」」


「優しすぎるよね~」

「うんうん、居心地はいいけど、刺激が無いよね」

「人間の国亡ぼすんでしょ? 目前になって、やめたりとかしないよね?」

「流石に無いだろ。そもそも、殺したがってるのは世界樹様の方らしいし」

「事前準備とか、情報収集とか……根回しとか、確かに大事だけどよ。俺たち全員で突っ込めば、十分じゃねぇ?」

「もう少し攻めの姿勢で行っても良いと思うな」

「身内が死ぬのを、極端に避けてるよね~」

「犠牲の無い勝利など、無いと言うのに」

「ちょっと心配だよね~」

「あいつ、そんな甘い性格してるかな~」

「キョクヤは、御主人がいた世界と同じ人種だったんだよね?」

「うん、ついでに同じ国ね。それを考えると……ヤバい奴だと思うけど」

「たとえば?」

「仲間だろうと、肉親だろうと、敵になったら容赦しないとか?」

「だね、今までの情とか全部消えるんじゃない?」

「「「え~?」」」

「じゃあさ、キョクヤ様とかが噛付いてきたら、どんな反応するのさ」

「腕一本とかなら、治せるし許してくれるんじゃない?」

「「「うんうん」」」

「本気で殺しに来たら?」

「え? 場合によるけど、こっちの一方的な問題なら、処分するんじゃない?」

「「「( ゜д゜)」」」

「「「((((;゜Д゜))))」」」

「そうなる前に妥協点見つけるだろうから、そんな事無いだろうけどね~」

「そもそも、喧嘩なんてしないし」

「「「ね~~~」」」




 ―――by実動部・隠密課


「「「ぶっちゃけ怖い」」」


「甘いとか言ってた奴、それこそ甘い考えだな」

「あの方は、ヤルるからには徹底的にヤル方だ」

「敵対した相手には、一切の慈悲など無いぞ!?」

「先ほども<幹部>級の方々が言っていたが、敵になったら仲間でもきっと消す」

「あの方が放つ、無機質な殺気を受けたことが無いからそんなことが言えるんだ!!」

「「「うわぁーーーん!!」」」

「「「落ち着け」」」

「何あの集団……」

「主様被害者の会。主様の<威圧>を受けたことが有る奴ら」

「あれか……うん。あれは心が擦り潰れる」

「擦り潰れる!?」

(ゴドウィンは良く意識保てたよね~、凄い凄い)

「君、あいつ等の中では勇者扱いされているからね」

「え?」

「逆らったら、死ぬ未来しか見えない…ぐすん」

「……死ぬだけで済めばいいですわね」

「「「え?」」」

「……大袈裟、逆らっても、敵対まで行かなければ、大丈夫」

「敵対したら?」

「…………楽に死ねると、良いね」(視線逸らし)

「「「((((;゜Д゜))))」」」




 ―――by実動部・戦闘課


「「「強い!」」」


「え? ダンマスって強いの?」

「うん、多分ダンジョン、特に迷宮内だとぶっちぎりで最強」

「あの人、自分は弱いとか言ってるけど、阿保でしょ!!」

「スキル使い放題とか、チートやチーターや!!」

「処理しているのはコア様だから、コア様が凄いってのも分からなくは無いけど……ねぇ?」

「それができるの、マスターだけだからね~」

「唯一の弱点は、長時間のスキル使用ができない位?」

「出力するのはマスターらしいからね」

「それも定期的に使って、改善できそうだって言ってたよ?」

「処理が大変なスキルでも、出力が低ければ、今でも使えるんでしょ?」

「<神出鬼没>とか、最たる例だよね」

「ああ、あれいいよね~。覚えられないかな? タイムラグ殆ど無いから、回避とか回り込んだりとかに便利そう」

「あれな、魔力が極端に乱れる戦闘とかでは、使えないって聞くぞ?」

「まじで? ダメじゃん」

「それでなくても、上位スキル、ユニークスキル使い放題は酷いと思う」

「プル様とルナ様と戦って押し勝てる時点でおかしいから」

「「「マジで?」」」

(唯の遊びだからね~?)

「またやりたいですわ! クワァ!」

「過小評価が過ぎねぇか?」

(戒めの意味もあるって言っていたけどね~。慢心は身を亡ぼすだってさ~)

「「「あぁ、なんか納得」」」

「あの方なら言いそうだな」




 ―――by実動部・工作課


「「「社長?」」」


「大まかな指針を決めた後は、大体自由にさせてくれるから、有り難いよね~」

「何かあったら、助けてくれるし」

「物資とか、申請とか、届けたらすぐに判断してくれるもんね」

「上司に通すよりも、(あるじ)様に直接話した方が速いし気が楽」

「「「うんうん」」」

「「「うぉい!?」」」

「そう言えば、要塞とか、地下通路はどうなってるの? 鉱石出た?」

「取り敢えず、世界樹様を中心に12方位にまっすぐ伸ばしているが、何もでないな」

「要塞化している西の山脈は、土と石しか無い。山脈と言うよりも、盛り上がった土と言ったほうが正しいかも知れん」

「南のカッターナって名前の人の国に、鉱山あるらしいが……時間がまだまだかかるな」

「領域外に出ちゃったから、迷宮化できなくて、土の排出が追いついていないんだよね」

「主様に領域拡張を願おうにも、今は無理だしな」

「「「帰ってきて~、帰ってきて~」」」




 ―――by研究部


「「「おかん」」」


「小言がうるさい」

「僕らばっかり説教するんだもん。他の奴らだってやりたい事、やってるじゃん! ずるいよね!」

「いや、お前ら(マッド)は自分の体調管理をしっかりやれ。そうすれば何も言わんだろう」

「君ら、あれはあれで楽しんでるでしょ?」

「「「えへへ~~~」」」

「……何だかんだで……主も……乗っかってる」

「卑怯ですわ! (わたくし)だってお父様とイチャイチャしたいですわ!」

「……実際、定期的に、主様が、来ないと、破綻、する」

「監督役は大変だな」

「代わってくれる?」

「「「絶対ヤダ」」」




 ―――by生産部


「「「ケチ!!!!」」」


「資材を寄こせーーー!!」

「「「寄こせ―――!!」」」

「技術を寄こせ―――!!」

「「「寄こせ―――!!」」」

「アイディア寄こせーーー!!」

「「「寄こせーーー!!」」」

「DP余ってるんだから、融通してくれたっていいじゃん!」

「「「そうだそうだーーー!!!」」」

「実際、なんで制限してるの?」

「無駄遣いが酷いのと、鉱物資源は属性の関係なのか、DP消費が他のより高いから」

「後は、今はDPが豊富だとしても、それに頼ってばかりだと、枯渇した時に回らなくなっちゃうからって言ってた」

「「「む」」」

「情報も、世界の記憶から引っ張れるものには限界があるから、だったら始めから研究したほうが良いってさ。技術を使う技術を養うのに丁度いいって」

「「「ぐぬぬ」」」

「それに何だかんだ言ってるけど、将来性を考慮して、他の部よりも回してるDP多いからね? これ以上は無理だと思うわよ?」

「「「うぼぁ」」」




 ―――by名前付き(ネームド)


「では、先ずは我から行かせていただこうか!」

「「「あ、クロス様は良いです」」」

「ぬぅ! 何故だ!?」

「「「話長い」」」

「狂信者のお話は、一般の方には早すぎますわ」

「てか布教すんな、ど阿呆」

「では、モコモコ様どうぞ」

「そうだな~…優しいし、気配り上手だよね」

「うんうん、困っているところに出くわすと、絶対バレるよね」

「「「ね~」」」

「ポーカーフェイスとか、意味ないよな。どうして分かるんだか」

「しかも、構って欲しくない時だけ、スルーするもんね」

「お陰で、隠し事とかできねぇよ」

「せめてもの救いは、心や記憶を読んでいる訳では無い事ですわね」

「でなきゃ、こんな話できないもんな」

「他にも言いたいことが有るだろうし、取り敢えず僕はこれで、次ビャクヤね」

「ワフ。遊んでくれる!」

「「「あぁ、それ有るな」」」

「みんながやってる遊びとか、大体ぬっしーの発案か、それの応用だもんな」

「トップが、下の者と遊ぶとか普通なのか?」

「それ言ったら、雑談とか、悩み相談とか、暇つぶしとか……トップにするような事じゃないよね」

「楽しくのんびりが、お父様の方針ですから。受け入れてくれる限りは、気にしなくていいと思いますわよ?」

(本人は気にして無いよ~?)

「いい気分転換になっている様ですし、気にしなくて問題ないかと」

「誠実で、優しくて、面倒見がよくて、思いやりがあって、頼りがいがあって、配慮ができて……聖人かな?」

「「「ないわ~」」」

「慈悲の欠片も無いからね? 感覚も完全に庶民だからね?」

「ピンキリだよね~、対応の落差が身内と、敵と、その他で、きっちり分かれてる感じか?」

「メルルルル、何やら面白い事をやっておりますな」

「「「げ、ゴトー」」」

「おんやぁ、その反応はどんな意味でしょうか?」

(ゴトーは、パパの事どう思ってる?)

「んん? 改めて聞かれますと、何と言ったらよいモノか……我等、魔物の王と言ったところですかな」

「「「おお!!」」」

「なんかしっくりきた!」

「んだんだ」

「そっか、主様は僕達の王様だったんだね!」


 ~ ピピピ・ピピピ・ピピピ ~

 ~ 指定時刻となりましたことを、お知らせいたします ~


「あ、もうそんな時間?」

「時間が流れるのが速いね~」

「おや、もう終わりでしたか。折角来たのに残念ですな」

「また開こうね~」

「ですわね、キリも良いですし、これまでといたしましょう! 解散!!」

「「「お疲れ様でした~」」」






  ―――鬼の居る間で


「あー、あーあー、ん? ん゛ん……ん?」

「何してるなの?」

「なんか、感覚がおかしい感じが。肉体から魂が離れたからだと思うけど、何処かおかしくないか?」

「うん、口調とか変なの」

「やっぱり? 起き掛けに気絶したのも原因かな?」

「なの!? 私のせいなの!?」

「あ、あれ世界樹さんだったんですね。何で突っ込んできたんだよ」

「べ、べべべ別に~? 寂しかったとか? 帰ってきて嬉しかったとか? そんな事無いな そんな事無いなの!」

「へ~」

「むぐ……そ、そうそう! 皆が私を抜きにして、秘密の集会を開いてたなの!」

「「「!!!???」」」

「集会? 何のですか?」

(パパの事を、どう思ってるかだよ~)

「ちょ、プル様!? それは、秘密の「ちょ!?」…あ」

(え~、秘密~? プルのログには残って無いも~ん。そもそも、パパにバレて困る事でも話してたの~?)

「「「裏切り者―――!?」」」

(裏切り~? 証拠は有るの~?)

「そんなの、物的証拠を残さな……あ」

(ママを除者にするとか、酷いよね~。ママに話が行っていないの、終わってから知ったよ~)

「まったくなの。酷いなの!」

「だって、世界樹様ずっとマスターの近くから離れ「こいつ等、悪口言ってたなの」世界樹様!?」

「別に、溜め込むぐらいなら愚痴って吐き出してもいいのに。うんで、皆なんて言っていたんだ?」

(うんとね~、臆病者)

「間違いでは無いかな?」

(怖い)

「なぜに?」

(強い)

「いや、それはコアさんですからね?」

(社長)

「……迷宮のトップと考えれば、変では無い?」

(おかん)

「誰がおかんだ、誰が」

(ケチ)

「特定した……それでですが」


 ― ガチャコン! -


「「「!!??」」」

「あ、開かない!?」

「君達は、何故に全力で<隠蔽>しながら、出て行こうとしているんだ? 隠していたこともありますし、そんなにやましい気持ちだったのかな~?」

「ま、まさか!」

「ふ、雰囲気と言うものですわ! 決して、やましい事ではありませんわ!」

「成る程、雰囲気ですか。確かにその方がやってて楽しいかもしれないな。なら俺もそれに乗っかろうか」

「「「え?」」」

「やましい事がバレたんだ、それなりのお仕置きってモノが必要じゃないか?」

「「「!?」」」

「全員は流石に無理ですね……首謀者は誰?」

「「「ルナ」」」

「貴様らーーー!?」

「凄いなの、コンマ一秒で裏切ったなの」

(どっちかと言うと、生贄だね~)

「ふふふ、おいでおいで~、モフモフ、スベスベ地獄の刑ですよ~」

「あ、ちょ、押さないで下さいまし、あ、あ、あーーー!?」


モフモフ・スベスベ地獄の刑


 延々と愛でられ続けるだけの刑……だが、薬も過ぎれば毒となる。

 絶妙な力加減と、相手の急所を捕らえ続ける終わる事のないマッサージは、快楽地獄(健全)とかす。執行される場所によっては、その姿を他人に見られるおまけつき。


一部の者にとって強い依存性がある為、質が悪い。




「ア……アヒ……」(ビクンビクン)

「あ、遣り過ぎた」

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