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137 神様、和解しました

①迷宮主の経歴

②迷宮主の能力

③他人と違えば違う程、普通は普通ではなくなる

 

「―――なので、まずは自分と相手の立場、力関係の確認が最も大事です。それによって、要求のできる範囲と、された時の限度がある程度分かります」

「ふむふむ」

「それに、相手を偏見や格下だからって、初めから見下すのはいただけません。そう言った感情は、言動の所々に滲み出ますよ? 勘の良い人なら、普通に気が付きます。気を付ける事です」

「……うん」

「今回の件だってそうです。俺の事を格下の下等生物だと思って、保険も掛けずに来たんでしょう? 俺じゃ無かったら、殺されてもおかしくないですよ?」

「うぐぅ」

「繋がりを切断された時点で、今までの態度から、命乞いや交渉はほぼ不可能。その切れた繋がりを辿れば、本体の所にも辿り着けるかもしれません。そうなれば、そのまま力を奪う事もできる。まぁ俺は、神格になる事に興味は無いですから、そんな事はしませんが」

「あ˝い! ありがどうございま˝す!」


 説教している訳では無いんですけどね~……アドバイスですよ、そんなに怯えなくても良いでは無いですか。


 先ほどから、感情の芯の部分に怯えがこびりついて仕舞っているんですよね~。一種のトラウマみたいなものになって仕舞っている。敵意はもう無いんですけどね~。


 ~ 再起動完了、スタートアッププログラムを始動 ~

 ~ マスター権限を魂の繋がりより検索……検索完了 ~

 ~ 魂の波長(ソウル・コード)参照……参照完了 ~

 ~ マスターを再設定致します。おはようございます、マスター ~


「はい、おはようございます、コアさん。早速で悪いですけど、この空間の切断の解除、お願いできませんか?」


 ~ 了解致しました。空間遮断を解除致します ~


「え……いいの? 僕の繋がりも戻るよ?」

「え? 敵対するんですか?」

「いやいやいやいやいや!! しないよ!?」


 全力で首を横に振りながら、否定するショタ神様。

 ですよね~。外だけでなく、内側にまで敵を作るのは避けたいでしょうしね。


 既に俺達は、世界規模でヤバい状態って事で、一時休戦中にまで関係は戻っている。

 やり方はあれでしたが、あれはショタ神様の同僚の方がクズだっただけで、ショタ神様自体はとっても素直な方でした。自身も言っていましたが、本当に若いんでしょうね、見た目通りの年齢(5~10歳)として扱う事にしました。


 なので、先ほどの対応も若さゆえの過ち。過剰反応。教えを請うた相手が悪かったって事で、おとがめなしって事で。ちゃんと反省して、考えを改める柔軟さも持ち合わせていますからね、将来に期待と致しましょう。


 ―――


 ムシャムシャ、ボリボリ、ズズズズ、ゴックン


「美味しいですか?」

「うん、食べるなんて行為、普段全くしないからね」

「あぁ、神格同士から生まれたんでしたね、生まれた時から神格なら、食事って習慣は無いって事ですか」


 神格の方々の食事は、ズバリ世界から回収した魂なんだとか。

 しかも、魂にも品質や種類があり、燃料に適していたり食料に適していたり、世界によって、味が変わったりするらしい。

 そんな事も有り、物々交換ならぬ、魂交換が派閥間で行われているだとか。


 道具に、燃料に、食料に通貨にと、本当に魂は万能ですね。


「他に聞きたいことはある?」

「う~ん、神様の営みが、殆ど人と変わらないのも分かりましたし、こちらに危害を加える事が無い事も分かりました。後は、そちら次第ですかね?」

「じゃぁ、<使徒>になって!」

「まぁ、良いですけどね、そうすれば関係者以外に話した事実は消せるかもしれないですし。契約内容は、こちらで作らせて頂きますよ?」

「うん!」



 ①契約者(以降甲)が開示した情報に対して、被契約者(以降乙)は、下界に対しての情報開示を禁止するモノとする。

 ②甲に対して、乙は虚偽の申請を禁止する。

 ③乙に対して、甲は虚偽の申請を禁止する。

 ④甲は、乙に対して、称号≪使徒≫を与える。



 絶対服従の箇所以外はほぼ同じです。此方から求めることも無いですしね。俺は、今の生活に満足しています。


「そんなので良いんだ。あ、<使徒>の箇所、レベル5って加えておいて。ダンジョンのセキュリティークリアランスレベル5相当になるから」

「ほうほう、レベル6以上は?」

「そこからは、契約を結んだ神格から<使徒>持ちに対して、命令権が発生するから」

「おや、命令権、欲しくないのですか?」

「君を敵に回す方が怖いわ!」


 ちなみに、レベルが上がるかどうかは、称号持ちの方で拒否できるんだとか。なら安心ですね、レベル1~5は情報量以外変わらないみたいですし。


「ほい、どうぞ」

「わーい、<使徒>ができた~♪」

「随分嬉しそうですね?」

「≪使徒≫は、神格が下界に干渉する為の手段の一つだからね。あって困る事じゃ無いよ。悪用する奴は、称号剥奪すればいいだけだしね」

「あぁ、放置って訳では無いんですね、安心しました。因みに<使徒>が増えたではなく“できた”って事でしたが、他に≪使徒≫の称号を持った方はいらっしゃいますか?」

「……」


 お~い、目線を逸らさない。それは認めているのと同義です。


「う~、仕方が無いじゃ無いか! この世界が初めての担当なんだから!」


 そんな気がしていました。てか、担当も初めてでしたか。


 俺より長生きしていると言っても、精神年齢も肉体年齢も子供。子供が困っているのを放置するのは、忍びない。

 周りに碌な仲間もいなさそうですし……仕方がないですね。


「それで、俺は何をすればよいのですか?」

「え? て、手伝ってくれるの?」

「できる限りの事はしますよ。俺が住んでいる世界の事ですからね、住み心地が良い空間(世界)にしたいじゃないですか」


 もともと、手伝うこと位はする気でいましたからね、できる限りの事はしますとも。


「じゃぁ、今住んでいる場所の管理をお願い」

「それだけで良いのですか?」

「うん、丁度真上に大きめの穴が開いているんだ。そこにダンジョンが有ると力が漏れ出し難くなるから、その間に他の場所の修理を優先するよ」

「こちらは、今まで通りで良いって事ですね。他には?」

「そうだな~……魔物の種類をもっと増やして、今いる魔物は殲滅してくれるとありがたいかな?」


 今いる魔物は、野蛮派の連中が侵入した時、世界からエネルギーを搔き集めるために生み出した魔物が、世界に定着して野生化したものが大半なんだとか。外来種かな?


「元から居た魔物は居ないのですか?」

「居るにはいるけど、殆どいないんだ。だったら、全てを一掃してから、新しく真面な魔物を創りなおした方が速いよ。普段そんなことできないけど、丁度適任者がいるからね」


 神が言う殆どですか……信用できませんね。自然に淘汰されるのは仕方が無いとして、意図的に処理するのであれば、如何にか見分ける方法はないもんでしょうか?


「う~ん、5000年前のデータを検索出来れば…………………あ、あった」

「有るんかい、良く残っていましたね」

「うん、襲われた時に、バックアップを取っていたみたい……だけど、これは、取ったのは襲われてから、時間が経ってからみたいだね、残っているのが敵の情報だけっぽい」


 あら、残念。元の魔物の情報が残っていたら、再生できたかもしれないのに。


「まぁ、生物なんて、進化と絶滅を繰り返して、繁栄するもんだからね。そこは仕方が無いよ」

「そうですね……その敵の情報を、コアさんの方に回せませんか? 目につく相手位なら、駆除しておきますよ」

「うん、お願いね。情報量が多いから、検索できるようにしておくね」


 おぅ、気が利きますね。意外と、将来は有望かな?


ショタ神様、生還!

迷宮主は寛大なので、例え敵対したとしても、悔い改めたならば追撃をしたりはしません。ショタ神様は、若い柔軟な思考を生かして、偶然にもこの危機を乗り越えました。今回の経験は彼の成長の糧になるでしょう。


もし、改めなかったら? 駆除します。神様陣営と敵対? ほら、そこにエネルギーの塊があるじゃろ?

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