表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
139/334

129 獣人さん、交渉しましょ?

祝! ブックマーク1000件突破! ありがたや~ありがたや~。

これからもよろしくお願いします!


①獣人さんのご予定は?

②凄いお薬!

③リリーさんは族長のお孫さん

「旦那、ちょっと良いか?」

「なんだ?」

「こっちで、頼みたいことが出た」


 離れて聞いていた獣人さん達から、声が上がる。

 まぁ、粘液(スライム)さんを通じて、内容は既に把握していますけどね。


「何かあっただろうか?」

「北に行った連中も、ここに住めないだろうか?」


 西へ直接移動した者達は、現在何処に居るか分からないが、北に向かった者達の位置ならば予測できる。彼等獣人達の移動速度と、分かれた場所を参考にすれば、早くとも竜の谷の麓辺りに居ると思われる。

 その場にとどまっていればよし、移動しているのであれば、何もない荒野なので、上空から探せばすぐに見つかる事でしょう。


 逆に、すぐに見つけないと、トカゲモドキ共に見つかる可能性が高い。迎え入れるなら、早めに行動するべきでしょう。


「さらに増える事になるが、大丈夫だろうか?」

(構いませんよ。今の規模が倍に成る位なら、支障は有りません。そうなると、先ほどと同じようなものですね……時間も無いですし、こちらで手配することにしましょうか。誰か迎えに行ける子居ませんか?)

(では、僭越ながら(わたくし)が向かいましょう! 同じ竜族ならば、遭遇したとしても、他種族より話になるかもしれませんわ)


 立候補したのは、竜族であるルナさん。

 確かに、俺から見てもそうですが、竜族から見たら、ルナさんはかなり可愛いようですし、少しは話になるかもしれないですね。

 しかし、一体で行かす訳にもいかない。同行者と、獣人からもお仲間さんへの説明役に、何人か来て欲しいですし、その運搬係も必要ですね。


(同行者は、(わたくし)の配下を何頭か連れて行きますわ。ですが、他者を運ぶのには適していませんので、運搬係をどなたかお願いいたしますわ。噴竜、斬竜、付いてきなさい!)


 おや、外で他の竜族と遊んでいると思ったら、配下なんかになっていたんですね。後で、ご挨拶しておかないと。

 運搬の方は、移動速度と乗り心地を考えると~……


「フワフワさん、お願いできませんか?」

「僕? いいよー」


 フワンフワンと、フワフワな翼を羽ばたかせるフワフワさん。

 スキルを合わせれば、余裕で運べますからね。乗り心地は、見た目からお察しである。


 モフモコフワ豪華三点セットが崩れますが、既に世界樹さんは夢の中。問題は無いでしょう。


(ってことで、問題ありませんか?)

「何から何まで、申し訳ない!」

(こちらも、打算があっての事ですよ。お互いに利益のある事です)


 実際、人が増えるのはかなり有り難い。DPの回収量が増えますし、ダンジョン内で死亡するなら、それも直接DPになります。こちらが損することは無い。


 何よりも、情報収集源が増えるのが有り難い。

 今はゴトーさんを筆頭に、エスタール帝国に潜入していますが、取得できる情報も限られますしね。


 東、アルベリオン王国(仮想敵国)

 南東、イラ王国(排他的宗教国家)

 南、カッターナ連合国(犯罪の温床)


 ……周りに面倒くさい国が多すぎる。エンバーには、獣人さん方に交流を持ってもらい、そのついでに情報を貰えればよし。その代わりに、ゴトーさん達にはカッターナ連合国の方を、お願いしましょうかね~。


「では、対価は如何なものを用意すればいい?」

(そうですね。一つ、獣人さん全員に結んでいただきたい契約があります)

「……内容は?」

(なに、簡単な事ですよ。世界樹さん…先ほどエルフ爺様が仰っていた、女神様の相手をお願いしたいのです)


 これだけでは分からないでしょうから、ここで、これまでの経緯を説明する。


 現在、世界樹さんはとても立派に成長しましたが、その姿に似合わず、精神面の成長が付いて行っておらず、未だに幼い。

 その原因は、エルフモドキ共のせいで、初期の成長が阻害されたことから始まる。

 仲間は殺され、歪に成長した状態では毒にも抵抗できず、自身も死にかける。幼い世界樹さんが、精神を病むには十分な経験でしょう。


 世界樹さんが大きくなることに拘るのは、見栄だけでなく、未だ消えない恐怖心から来るものが大きい。少しでも大きく、頑丈に。領域を広げ、近づけないように。


 そんな世界樹さんは、未だに精神的に不安定。そして、その精神安定の為、世界樹さんの趣味の為、獣人さん達にはその相手、正確にはモフり対象になって貰いたい事を話した。


(世界樹さんは、モフラーなんですよ)

「もふらー?」

(他者のモフモフな毛を愛でるのが好きな方のことです)

「「「あぁ、エルフ爺さんの同類か」」」


 ビャクヤさんに乗った時に察していましたが、やはりですか。さては、モフモフの為に住み着きましたね。

 やはり、世界樹さんと相性良いのでは? とも思ったが、同じ趣味って事で、咽び泣いているエルフ爺様の姿を見ると……うん、無いかな~。


「行く人、決まったよー」


 鼠人のチェットさんを筆頭に、猫人に兎人と小柄な方が中心。あと、鳥人が何人か。そして……


(リリーさんも行くんですね?)

「リリーの言葉なら信用を得られるからな」

(族長の孫だから…では無いでしょうね。何故ですか?)

「……あれ? <鑑定>して無いの?」

(初対面の相手に<鑑定>を掛けるのは、失礼な行為だと記憶していましたが、獣人は違うので?)

「「「……」」」


 なぜ皆さん、呆れたような視線をこちらに向けるのでしょうか?


「な! いい奴だろ?」

「リリーがそう言うって事は、本当に嘘言ってないんだな」

(……どういう意味で?)

「見て見ると良い、そうすれば分かる」

(おや、見ても良いのですか?)

「これから世話になるだろうからな、その程度問題ない」

「バッチ来い!」


 そうゆう事なら、遠慮なく。


 名称:犬人

 氏名:リリー

 分類:現体

 種族:獣人族

 LV:4

 HP:100 /100

 SP:100 /100

 MP:158 /158

 筋力:48

 耐久:48

 体力:40

 俊敏:83

 器用:43

 思考:73

 魔力:73

 適応率:25(Max100)

 変異率:1(Max100)

 スキル

 ・肉体:<状態異常耐性LV1><毛皮LV1><HP回復上昇LV2><MP回復上昇LV1>

 <魔眼(虚偽)>

 ・技術:<身体操作LV1><魔力操作LV2><土魔法LV1><風魔法LV1><感知LV2>

 ・技能:<身体強化LV1>

 称号: <巫女見習い>


 ほうほう、ステータスは普通に子供の範囲内ですね。どちらかと言うと魔法使いタイプ、しかも<魔眼>持ちですか。


<魔眼(虚偽)>:他者の嘘を見抜くことができる。


 あ~なるほど。確かに、これなら信用されるのも頷けますね。


「一度でも嘘を吐いた相手には、身内にすら警戒心を持つからな、こいつ」

「リリーがこれほど懐く奴は、見た事が無いんだ。十分、あんたを信用する理由になる」

(……確かに、リリーさんに嘘を吐いた覚えはないですね)


 妙に懐いていると思ったら、このスキルのせいでしたか。

 ……気持ちは良く分かります。自分を騙そうとする相手と、一緒に居たいとは思わないですよね。

 こんなスキルを持っている割には、随分と素直に育ったものです、周りの環境が良かったのでしょう。普通なら、人格が歪んでいたとしてもおかしくない。


 しかし、このスキルはかなり危ういものですね。後で検証をしておいた方が、リリーさんの為になりそうです。それよりも、気になる称号が……


(……巫女?)

「ふっふ~ん! そう、私は審判の神、テミの巫女なの!」

(……へ~)

「……いま、似合わないとか思ったでしょ?」

(ソンナコトナイデスヨ?)

「あーーー! 嘘ついた、嘘ついた!?」

(ハッハッハ)


 成る程、成る程。直接視界に入れなくても、効果が有るんですね。怖い能力だな~。


「ん?」

「なんだ……霧?」


 リリーさんと戯れていると、獣人さん達の周りに、白い霧が立ち込める。フワフワさんが到着した様ですね。

 フワフワさんはそんなに速くないので、到着に少し時間が掛かって仕舞った。獣人さん方と普通に会話していますけど、世界樹さん自体が大きいので、ここから皆さんが居る所まで意外と距離があったりしますからね。


(やっほー! こんにちはーーー!)

「うぉ!? どこだ?」

「ふむ、この霧自体……かのぅ?」


 あ、エルフ爺様が復活した。

 しかし、そこに気が付くとは、伊達に長生きしてないですね。同行予定の方たちの周りに、霧状のフワフワさんが集まって行く。


(運ぶのは、君達?)

「う、うん」

「私達は、飛んで付いて行くね~」


 あ、鳥人さんが同行者に居ると思ったら、自力で飛んで行くつもりでしたか。しかし、う~ん……


(申し訳ないですが、多分付いて行けないと思いますよ?)

「何ー!? 私達を舐めるなよー!」

「そうだそうだー! 外敵を気にしなければ、速いんだぞー!!」

(そうですか?)


 ……まぁ、ダメなら、フワフワさんに運んでもらえばいいか。


 挨拶もそこそこに、移動を開始してもらいましょう。話なら移動中でもできますし、今回は少しでも早い方が良いですからね。


斬竜

全身を鎧のような滑らかな鱗で覆われた、地竜をベースに作られた、物理特化ドラゴン。

その鱗は、花の蕾の様に重なり合っており、戦闘時はその滑らかな鱗が逆立ち全身凶器と化す。鱗の一枚一枚が鋭利な刃状に成っており、近づいたモノを切り裂く。

翼は第二の腕と化しており、滑空はできても、とぶことは苦手。

竜気法使用時は、逆立った鱗は戻る事で防御力が戻り、鱗の隙間から魔力が噴き出し、笛のような独特な音色を奏でながら、魔力の刃が乱舞する。その切れ味と範囲は鱗の比ではない。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] バルファルクがモデルかな?
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ