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126 獣人さん、ご案内

①オタクの玩具

②プレゼント

③世界樹の悲しみが、天元突破

 ~ピピピ・ピピピ・ピピピ~

 ~おはようございます、マスター~

 ~領域より11,500 DPを回収しました~

 ~侵入者を撃退し、29,659 DPを取得しました~

 ~所持DPの端数を利用し、世界樹に対して<成長>を執行します~

 ~迷宮化が終了しております~

 ~領域拡張が終了しております~


 う~ん、増えたな~、DP回収量。

 今までも、じわじわ増えてはいましたけど、昨日今日で特に回収量が上昇した。恐らく、獣人達の分でしょうね、普段より1,000DP程回収量の増加量が多い。

 ……竜族だと、3た…あ、トカゲモドキも合わせて10体、一体死んで9体か、その日は5,000DP増えたことを考えると、竜族の凄さが分かるってもんですね。

 ……真面な3体(エレン、シスタ、テレ)が居なくなってからは、6体で1,000DPまで回収増加量が減った時は、呆れましたけど。ま、瘴気が抜けて、少しはましになりつつありますがね。


 そして、ついに! 侵入者の撃退時の収入も加えれば、ようやく収支が黒字になりました!

 ……領域拡張に、迷宮作成、スポナーによる生産だけを見てですけど。


 領域拡張を優先していますから、他の処理が後回しで、迷宮作成とかにDPを殆ど割いていませんから、DPの消費が少ないともいえる。領域拡張にDP、殆どかかりませんからね。周りに何もないですからね!


 これでようやく、DP枯渇の可能性が低くなりました。

 以前から温めていた、“あの機能”の検証をすることができます。DPを消費して発動しても、何も変化が見られなかったので、DPの心配がなくなってから検証しようとなったんですよね。この一件が終わったら試してみましょう。


「「ごちそうさまでした(なの)」」


 朝ごはんも食べ終わり、今日のメインイベントの準備に取り掛かる。

 さてさて、獣人達は~…こちらも移動を開始しましたね。大部分はその場に残り、10人ほどこちらに向かって来ています。ホロウさん達にお願いした伝言は、しっかり伝わっている様でなにより。


 あ、こっちに向かって来る一団に向けて、接近中の魔物を発見。団体から離れたから、獲物として見られましたか。

 う~ん、こちらから呼んでおいて、怪我をさせる訳にもいかないですね。要らないって言っていましたけど、やっぱり迎えでも出しましょうか……面識が有りますし、ビャクヤさんで良いですかね?


「モッフモフ、モッフモフ♪ グ~ヘヘヘヘ」

「俺が聞きますから、勝手に突っ込んだりしてはダメですからね?」

「当然なの! 許可なく相手をモフったりしないなの!」


 ならいいんですけどね? その顔を、外に曝さないでくださいね?


 ―――


 ダンジョンマスターからの招待。

 昨晩、勝手に抜け出した大バカ者(リリー)と共にもたらされたものだ。


 本来、そんなものを受ける道理はないのだが、無断で侵入して、仲間を保護して貰ったうえ、薬まで提供されてしまった。

 そこまでされておきながら、無視することは彼等にはできなかった。

 そもそもここは、相手の縄張り、領域なのだ。ここを通るのであれば、断る選択肢など、もともと無いともいう。だと言うのに……


「ッチ、囲まれてるな」

「突っ切るか?」

「ダメだ、俺達なら行けるだろうが、今回は非戦闘員が居る」

「儂は、魔法で支援はできるじゃろうが、走るのはのぅ……」


 集団で行動するタイプの魔物だろう。周囲を囲む様に展開している。

 招待は嘘、確実にこちらの戦力を削る為の罠。そう判断した彼らは、早々に引き返そうとしたが、移動速度の違いから、囲まれて仕舞っていた。


 獣人の身体能力であれば、大半の魔物からなら逃げられるが、森人(エルフ)はそうはいかない。普段は魔法で支援することができるが、今の状況では完全なお荷物状態である。


「そもそも、何で爺さんまで来てんだよ」

「世界樹じゃぞ!? この大陸から消えて、早1000年! その世界樹が目の前に有るんじゃ! 行かない選択肢は無いわい!」

「分かったから落ち着け爺さん…て、バカやってる場合じゃないな」


 彼等の目の前、進路上に現れたのは、一体の―――


「猫人?」

「一緒にすんな! どう見ても違うだろうが!!」

「おおぅ、すまん」


 ―――猫人が四つ足で歩いている様な姿をした、魔物である。

 ここの魔物は、何故か獣人をかたどった奴が多い。似た種族から見れば、全然違うようだが……さらに、今までの魔物と違い、我武者羅に仕掛け来る事が無い。集団でいる時に向かってこない時点で、分かっていたことだ。


 こういった行動をとる魔物は少なく、そして厄介だ。勝てると踏んだと時のみ仕掛け、他はすぐに逃げ出す。

 今回とて、集団から抜け出した彼等を狙って来たのは、勝てると踏んだからだ。


 その魔物たちが、急激に包囲を縮め、今まさに戦闘が始まろうかとした……その時


 ― ワオォーーーーーーーーー -


「「「ミギャー!!??」」」


 響き渡る鳴き声。その声を聴いて、慌てふためき逃げ出す魔物たち。


「あ、ビャクヤが来た」


 ビャクヤ


 鳴き声とその名を聞いた獣人達に悪寒が走る。直接見た者、そうでない者、等しく恐怖する。


 ネームドモンスター

 それは、他と一線をかく魔物に対して、人が名前を付けた魔物のこと。

 そして、迷宮の魔物においては、人が接触する前から付いている事が有る事から、ダンジョンマスターが名付けたと思われる。

 強いからネームドになるのか、ネームドだから強くなるのかははっきりしていないが、とにかく、危険な魔物の事を指す。


 そして、彼等は知っている。その魔物のヤバさを。群の中ならいざ知らず、この人数で勝てる相手ではなかった。


「あれが来る!?」

「囲っていた魔物は足止めか!」

「クッソ、逃げ―――」

(リリー、迎えに来たよ~)


 遥か彼方から聞こえて来た遠吠え。かなりの距離が有ったはずだった。

 だと言うのに、その魔物は既に目の前に居た。太陽の輝きを反射する、真っ白な体毛に覆われた、犬人に似た姿の魔物が。


「やっほー、今日も良い毛並みだね!」

「うむ、儂もこれほど素晴らしい毛並みは、見た事が無いのぅ」

(リリーもね。おばあちゃん元気に成った?)

「うん! すんごい元気になった、そして、すんごい怒られた! あの薬凄いな!」

(そっかー、良かったね!)


 軽い感じのやり取り。だが、彼から放たれる存在感が全てを台無しにしていた。


「な、なに呑気に…はな……話てるんだよ!?」

「何って?」

「そうじゃのぅ」

「お友達だから?」

「敵意が無いからのぅ」

「ワフ! ヘヘヘヘヘ♪」

「「「……」」」


 わしゃわしゃと、ビャクヤの頭を撫でるリリーと、どさくさに紛れて撫でているエルフ爺さんの姿を見て、何も言えなくなる獣人達。


(ご主人も待ってるし、早く行こう?)

「あ、だったら、エルフ爺さん乗せてくれない? 足遅いんだもん」

「ほほほ……面目ない」

(……エルフなの?)

「何かありましたかな?」

(うんうん、いいよー、乗って乗って)

「では、失礼して……おほ♪」

「しゅっぱーつ!」


 リリーと足の遅い森人(エルフ)の爺さんをその背に乗せ、早々に移動を再開となった。


 ―――


 一番の足手まといが居なくなり、移動速度が格段に向上した一行。


「はー、はー、こんな速度で動いて、大丈夫なのか? 魔物にぜってーバレてるぞ!?」

「んなもん、さっきから近づいた時点で、逃げ出してるよ!」


 何よりも、魔物が寄ってこないのが一番の要因でもある。


「ウ~~~……」

「どうかしましたかのぅ?」

(さっきから近づ離れず、鬱陶しいな~)

「付いて来ている魔物が居るの? 良く分かるな、私は全然分かんないや」

「獣人の感知能力を超えるか、凄いのぅ」

「思ったんだけどさ、仲間じゃ無いのか? 同じダンジョンの魔物だろ?」

(う~ん、このダンジョンで生きているだけで、仲間じゃ無いよ。ご主人の命令も聞かないし、獲物がしっくりくるかな?)


 ビャクヤと気軽に話すリリーとエルフ爺さん。周りの者は戦々恐々である。

 そんな姿を黙って聞いているだけで、黙々と進む。


「ゼーゼーゼー、俺、もう、無理」

「旦那!? しっかりしてくだせぇ!」


 ……ビャクヤの速度に付いて行くだけで、精一杯なだけとも言う。

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