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96 ダンジョン会議①

①????大量進出

②復活! 冒険者ション復活!!

③冒険者逃走

 

「報告は以上になります」

「成る程、有難うございます」


 そっか、人種がね~、来たかー……とうとう来ちゃったか~~~。思っていたよりも早かったな~~~、は~~~~~~~~~~……


 暫くは害虫への対応でゴタゴタして、調査にはもっと時間が掛かると思っていたんですがね~~~。意外と近かったのかな?


「主様、申し訳ありません。報告が遅れ、対応が後手になって仕舞いました。全ての責任は、統率を取れなかった我に在ります。どうか―――」

「そうですか、それは良かった」

「……え?」

「新体制での問題が見えているのでしょう? でしたら、後はその原因を改善するだけですね。幸い被害が出る様な事では無かったですし、このタイミングで見つかって良かった、良かった」

(私も引っ付いているから、何とでもできるよ~)

「~~~~~~、ありがとうございます!」


 さてさて、報告の詳細確認と、今後の予定を決めるのは後にして……


「取り敢えず……世界樹さん。ちょっと落ち着きましょうか?」

「ア˝ァ˝?」


 一緒に報告を聞いていた世界樹さんが、真っ黒モードに突入して仕舞っている。まだまだダメか~~~。


 情報が入るのが遅れて良かった。世界樹さんの行動範囲内にいる内に情報が入っていたら、殺しに行っていたかもしれない。

 取り敢えず、逃げ出さない様に膝の上に抱える。


「ほらほら、もう人種は居なくなったんですから、怒っても仕方が無いですよ?」

 ― ギチギチギチギチ -

「それに、来たのは西側からです。世界樹さんの敵は東側でしょ?」

「……」

「関係ない奴は巻き込まない、でしたよね?」

「……なの」

「しかも人種の内の一人に、“プルさんの内の一匹”が引っ付いています。情報入手のチャンスですよ? エルフ? の情報も、手に入れられるかも知れません!」

「む~~~~~~……」


 よしよし、落ち着いてきましたね。

 ……途中、本当にヤバい物に成りかけていましたね。依り代だけでなく、迷宮全体まで軋んだ時は、どうなる事かと思いましたよ。


 暫く撫で続けて、世界樹さんの心の整理が付くのを待つ。

 早めに行動に移りたいところですが、これは世界樹さんの問題。除け者にする訳にはいかないですからね。


「大丈夫、大丈夫……怖いものは居ないですよ~~~、皆も居ますからね~~~」

「……ん、なの」


 ―――


 今にも暴れ出しそうだった世界樹さんが、ようやく落ち着きを取り戻した。その代わりに、しがみ付いて離れなくなって仕舞いましたが。

 嫌い、憎い、怖い、隠れたい、引っ込みたい、だけど一人は嫌ってとこでしょうかね?


 ……家の子にトラウマ植え付けやがって。どうしてやろうか?


「……なの」

「おや、大丈夫ですか?」

「ん、大丈夫なの……話を進めると良いなの」


 あらら、気を使わせて仕舞いましたか。まぁそれだけ、余裕が戻ってきたって事ですね。

 あいつ等が関わらなければ、本当に良い子です。無理は……して無いですね。


「分かりました。皆さん、再開しましょうか。プルさん、馬車に乗った人種に引っ付いた子と、連絡は取れますか?」

(直接はもう無理かな~? 私の<群体>から外れちゃったから)

「そうですか、“馬車に引っ付いて”行った子の方はどうですか?」

(そっちは大丈夫! でも、遠くに行くと<群体>の精度も落ちるみたい。正確な情報は難しいかも……)


 個人回線の<念話>みたいな性能ですかね? <念話>みたいに、他人にもれたりはしないですし、隠密活動に超便利です。

 問題なのは、人と<共生>関係になった子との連絡方法の確立かな?


「<念話>は……危険ですね、バレる可能性があります」

「馬車に引っ付いて行った方のみでは、だめなのですか?」

「人種の生活水準が知りたいですからね、身近な情報が欲しいのですよ」

「生活水準?」

「そんなの……要るなの?」


 世界樹さんだけでなく、他の子も同じ考えの様で困惑気味だ。結構重要だと思いますけどね~。


「……人と敵対する覚悟、有る?」

「不遜であるぞ! モコモコ殿!」


 羊を模した魔物、(シープル)であるモコモコさん。眠るのが好きな子で、いつも眠たそうにしている。現在、世界樹さんの抱き枕が主な仕事。あ、命名は世界樹さんです。それもあって、懐いているのは世界樹さん。俺に対しては、それ程ではない?


 まぁ、否定的な意見が出るのは良い事です、こういった存在が今まで不足していましたからね。だからクロスさん、そんな頭ごなしに否定しない。


「で、でも、主様も人種です……し……寂しいとか……」

「モフモフ殿まで……だが、うむ……」


 兎を模した魔物、(ラピット)のモフモフさん。当然、命名は世界樹さんです。

 憶病な性格で、森の中でいつも逃げ回っている。時々、食事の為に狩りもしているし、低レベルが相手ではまず捕まらないから、安心して放置できる位には強い。

 寂しがり屋だから、いつも他の方や特にモコモコさんと一緒に居る。この子達は、最早セット扱いですね。


 ……で? クロスさんや、その探る様な視線は何でしょうか?


「寂しいなの?」

「うんや、全く」

「……ちょっと位、そんな感情があっても良いと思うなの」

「う~~~ん、そんな事を言われましてもね~。元々の気質も有りますけど、これだけ周りに身内が居ると、寂しがる理由が無いですしね~」

「「「……」」」


 え、何で皆さん黙るんですか? 


(それで? どんな情報が欲しいの~?)

「え? あぁハイ、何でもですかね?」

(なんでも~?)

「生活水準は結構重要項目ですよ? 食事一つとっても種類や鮮度を見れば、その国の生活水準が結構分かると思うんですよ。ただの日々の糧なのか、娯楽として楽しめるだけの余裕が有るのか。その余裕は、生産ラインや運搬…要はインフラ関係ですね、それが充実しているからなのか、又は魔術や魔道具によるものなのか? 魔道具の類なら、どれ程のものがある? 生活に関係するモノだけなんてあり得ないでしょう、武器は? 兵器は? ここまで来られる存在の生活に密着していれば、外から見るだけでは得られない情報が得られると思いません?」

(アッハイ)

「あ、勿論他の粘液(スライム)族以外の子にも、情報収集はお願いしたいです。色んな視点からの情報が欲しいって事です」

(なるほど~。分かった、他には~?)


 情報の回収方法は……どうしましょうか?


(私と繋がっている子と接触できれば、情報のやり取りはできると思うよ? でも、そもそも粘液(スライム)の感知能力だと、細かいのは分からないかも?)

「全然大丈夫ですよ~。降って湧いたような機会ですしね。なので、最優先は自身の命です……あ、それと、接触できたら伝言を一つお願いします」


 プルさん達、粘液(スライム )についてはこんなもんですかね? 


迷宮主のメモ帳:進化


上位の存在に至る事を表す。

魔物であれば、レベルが最大値に至る事で進化が可能になる。(進化しないと、それ以上成長できないともいう)

ステータスで言えば、現在レベルの右に表示された値が最大レベルになる。

また、上位の存在に成らず、同じ位の別の存在に成る事を、変異と言う。


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― 新着の感想 ―
[一言] 人外に行かせて殺されたとしても文句言わないならともかく文句言うなら主が出なきゃダメよな。
2021/01/30 21:49 退会済み
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