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第一話「UMAを探しに」

すごい久しぶりの一日二話投稿。

「いやぁ! 今からすっげぇわくわくするなぁ!!」

「今から張り切っても目的の場所まで二時間もかかるぞ? それよりも、威田。お前大丈夫か? バイトが終わってすぐだが」

「大丈夫大丈夫。俺、結構体力はあるほうだから」


 藤原が言い出したとんでもないこと。

 UMAを探す。

 ずっと昔から未確認生物として地球で様々な存在が言い伝えられてきた。有名なのだと、日本では河童とツチノコ辺りだろうな。


 今でも日本だけじゃなくて、世界中でそのUMA達を見つけ出し捕獲しようとしている者達がいる。テレビのミステリー番組とかでもよく取り上げられることがあるが、発見したミイラや骨が、それぞれかなり違うからどれが本物なのかもわからない。

 そもそも、本当にいるのかどうかと疑っている人達も少なくはない。

 そんなUMAだが、新種のUMAじゃないか!? と言われる生物が俺達がこれから行く山で目撃されたらしい。

 その山は、夏や秋などには人々がキャンプなどをするためによく訪れる。綺麗な湖も近くにあり、ボートなどで湖を楽しみ事ができるとか。


「んで? その新種のUMAっていうのはどういうのなんだ?」

「俺も藤原に言われてから色々と調べたんだが。どうやら、真っ白な毛が見えたとか。でっかい足跡があったとか。そういうのがあったな」


 スマホを操作しながら、芳崎が調べた情報を次々に読み上げていく。


「足跡から、最初は狼じゃないのか? って言われていたんだが。明らかに、今この地球にいる狼や同じイヌ科の動物の足跡とは大きさが違うとかで。UMA扱いにされた」

「本当にただのでっかい狼なんじゃないのか? ほら、シーラカンスとかその辺りの生きた化石みたいなさ」

「俺も、大昔から存在していた古代生物だと思っていたんだが。もしかしたらあれからもしれない!」

「あれ?」


 藤原は、ふっふっふっふと怪しく笑いメガネを光らせる。まあただ夕日がめがねに当たっているだけなんだけど。


「日本が誇るアニメに出てくる、あの狼かもしれない!!」


 ……あぁ、あの狼ね。

 黙れなんとかっていうあの。まあ確かに、大きな狼って言えばそれを想像するけど。あれは、アニメの存在なわけだし。


「確かに、ネットでもそうじゃないかってすごい量で語られているみたいだけど……」

「もし、そうだとしたら俺は会ってみたい!! 傍にその狼に育てられた少女がいるかもしれない!!」

「いや、さすがにそれはないだろ。藤原くんや、さすがにアニメキャラは現実には出てこないぞ」

「わからないじゃないか!! この世の中、まだまだわからないことだらけだ!! 二次元から出てくることはできないかもしれないけど、似たような存在がいるかも!!」


 もし、いたとしても普通は近づいていかないだろ。明らかに、襲われて人生終了だぞ。などと注意しても今の藤原は止まらないんだろうな。

 まあ、もしもの時は、俺がこいつらを護ってやらなきゃな。

 っと、その前に。


「ん? どうしたんだ、刃太郎」

「ちょっとトイレ」


 俺は、席から離れ別の車両へと訪れた。

 しばらく進みと、注目を集めそうな席を発見。その席からは、ぴょこんっとうさぎ耳が飛び出していた。


「結局ついてきちゃったのか……」


 その席の隣に座り、俺ははあっとため息を漏らす。


「あ! 刃太郎お兄ちゃん! 遊びに来てくれたの?」

「今、四人でババ抜きをしているところなんだけど。混ざる?」

「バイトの後で、お疲れでしょう。どうぞ、天宮が作った栄養ドリンクです」

「刃太郎様! 私の手元からジョーカーが全然離れてくれません!! これってなんかの呪いなんでしょうか?!」


 知りません。

 あの時、同じファミレスにいたから予想はしていたんだが。まさか、本当についてきてしまうとは。しかも、駿さんまで一緒に。

 コトミちゃんの執事だから当たり前なんだろうけど。ファミレスの時も、後ろの席に座っていたのを確認済みだった。


「それで? 四人の目的もUMA探しなのか?」

「うん!! 一回でもいいからUMAに会ってみたかったの!!」


 それよりもすごい存在には何度か会っているんだけどな。あいつらに比べたらUMAなんて、近所のペットみたいな存在だろう。

 いや、今でもあいつらが近所のペットみたいな存在か。身近に過ぎるだろ神々。


「私は、コトミ様の付き添いですが。実のところ、UMAにも興味がありまして。あ、また一組揃いました」

「私はもちろん、刃太郎様がご友人方とどんな面白い行動をするのかと思いまして。あ、私も揃いました」

「僕は、コトミが行くところには行くからね。文字通り一心同体だから。はい、あがり」

「まあ良いけどさ。あまり目立つような行動は取らないようにお願いします」

『はーい!』


 本当に大丈夫なんだろうか。

 心配になりながら俺は、天宮家の四人がいる車両から離れ藤原と芳崎がいる席に戻った。


「よう、おかえり。ん? なんだそのドリンク」

「……親切な人から貰った」


 そして、俺はそれを一気飲みし今か今かと窓から景色を眺めることにした。

 二時間。ずっと眺めていると、やっと目的地の駅へと到着。

 降りる人達には、カメラを持った人達や何かのスプレーを持った人達がちらほらと。おそらく、俺達と同じく新種のUMAを目的としているんだろう。

 どうやら、あの四人は目立たないように……とは行かないが俺達よりは先に山へと向かったようだな。

 ちなみに、山の近くにもちゃんとした宿屋がある。

 俺達は今日、そこに泊まって明日の早朝から捜索を開始することにしている。


「いやぁ、にしてもぎりぎりだったな。宿屋。やっぱ、新種のUMAはかなりの人気だってことだな!」

「元々、そこまで大きな宿屋じゃないからな。部屋もかなり限られているみたいだし」


 そういえば、あの四人はどうするんだろうか。

 いや、心配することはないか。

 どうせ。


「予算があればこっちの宿に泊まってみたかったんだけどなぁ」


 俺達が予約した宿屋に途中。

 ちょっと周りの建造物とは外観が立派な宿があった。そこには、しっかりと天宮の文字が。まさか、こんな山奥の町にまで天宮があるとは。


「仕方ないって。なにせ、この宿はあの天宮が経営しているんだから」

「くう! 一級ホテルからこんな山奥の小さな宿まで経営しているなんてな。やっぱ、天宮はすごいぜ!! 俺も一度でいいから、高級ホテルに泊まってみたいなぁ……」


 羨ましがりながらも、藤原達と一緒に俺達は駅から歩いて十五分ぐらいの場所にある宿屋に到着。先ほど、駅で見かけた人達もやっぱりここに泊まるようだ。


「あ、すみません。予約した藤原ですが」

「はい。藤原様ですね。ただいまご案内致します」


 案内された部屋は、丁度UMAが目撃されたという山が見えるところ。本当にいい部屋を取ったな。普通に景色を見るだけでも楽しめそうだ。

 荷物を置き、どっかりと腰を下ろした藤原はテーブルの上に立派なカメラを置いた。


「今に見ていろよ、UMA! このカメラでその姿をばっちり撮って世界中に晒してやる!!」

「晒してやるって……」

「どこぞのパパラッチみたいな言い方だな。怪しい顔が余計に際立ってるぞ藤原」


 さてはて、新種のUMAとやら見つかるのか。

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