アルファ編
「アルファ……エリクトラント」
「アリサか」
「自殺……したのね」
「ああ」
重苦しい沈黙が続く。
「どうしてあの時私と来なかったの! 何で自殺なんてしたのよ!」
号泣するアリサ。
「これが俺の……せめてもの償いだから」
「償い?」
「ああ」
「こんなのが償い? ふざけないで!」
またもや沈黙が続く。
「アルファ。生まれ変わりなさい。そして罪を償いなさい」
「いや、俺はいい」
「何故?」
「これが俺の結末で俺という存在に対する結論だからだ」
アリサは理解出来ないという感じでしつこく転生を勧めてくる。
「アリサ」
「何?」
「俺はある意味幸せだ」
「何言ってるの!? ここは地獄よ」
「地獄でも幸せなんだよ」
しばらく間が空いたあと俺は言った。
「俺はここで永遠に自分を罰する」
「何故、そうする必要があるの? 生まれ変わって罪を償うほうが貴方は幸せ「お前は善意のつもりかもしれないが」
「その善意は俺には悪意に見える」
「……」
「俺にお前の幸せを押し付けないでくれ」
「アルファ、それでも!」
「さようなら アリサ」
俺、アルファ・エリクトラントの物語はこれで終わった。
苦しみしかないが、結局それが俺という物語だ。
なかなか面白かったよ。もうその物語を楽しむことは出来ないが、それでいい。
「さようなら俺、皆、そしてアリサ。」
やっと俺はゴール出来る…………。
――
「何で!? どうして!?」
ずっと涙が止まらない。
こんなのってないよ。アルファは自分を罰し続けると言ってそれが幸せって意味分からないわ。
「ラタルタ」
「何かね」
「幸せって何?」
「難しい質問だね。幸せは人によって違うだろうから」
「アルファは幸せ?」
「それは私には分からない」
「……」
「さあ、アリサ。まだまだ迷える魂は多い。泣いている場合ではないよ」
「それも……そうね」
アルファ。私諦めないから、貴方に本当の意味で幸せになって欲しいと思ってる。
だから……諦めない。




