世界の破滅編14
「待っていたよ、アリサ・レイニード」
この声聞き覚えがある
「エルフェン……」
「あら? ヘルフェスはどうしたのかしら?」
エルフェンが不敵な笑みを私に向ける
「彼は名誉の戦死を遂げたわ」
「そう、残念ね、でも安心していいわよ」
「どういう意味?」
「あなたはもうすぐ彼に会えるもの」
今回殺されれば魂は消滅するというのに
まあ悪魔でもそこまでは分からなかったようね
「これはきついな」
「ああ」
信彦と拳が不安げな声を上げる
「先手必勝!!」
突然信彦が悪魔に斬りかかった
「あら、もう少しお話したかったのに残念ね、それじゃあアスモさん」
「ああ、分かった」
アスモという悪魔は他の悪魔よりオーラが禍々しかった
恐らく上級悪魔なのだろう
「アリサ・レイニードを狙え! やつさえ仕留めれば我々にエデンが訪れる」
悪魔にエデンとは
皮肉ね
しかし、もう戦いは始まっていた
「くっこの数は無理だ」
「諦めるんじゃないよ拳、俺っちたちは勇者だろ!」
「俺は勇者じゃねえ」
「神の使いであるリアターだから同じだよね」
「リアターを勇者と一緒にするな!」
全くこの二人は……
まあいいや
「今なら能力を使えるかしら」
私は念じてみた
しかし、ダメだった
これはまずい
このまま私が殺されると世界が破滅に追いやられる
でも悪魔たちは拳や信彦に気を取られている
不利かとも思ったが思ったより二人は戦えていた
これはもしかすれば行けるかもしれない
そう思った矢先
「誰もやらないなら俺がやる」
そう言ってアスモという上級悪魔が手をドリルにして私に突っ込む
拳と信彦は悪魔たちとの戦闘で守りに入る余裕がない
「まずい!アリサちゃんが危ない!!」
信彦の叫びがこだまする
終わった
チェックメイトだ
私は世界を救えずに終わるのだろうか
ごめんお兄様、アリア、ヘルフェス
私、使命を果たせなかったよ……
私は死を覚悟して目を瞑った
「ん?」
もう死んだのだろうか?
「何だと!?」
アスモの声がする
私は恐る恐る目を開けた
私の目の前にいたのは
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アスモのドリルを剣で受け止めるエト・ミへイムの姿があった




