レコーディア編
~あらすじ~
「君には生贄になってもらう」
レコーディアに捕らえられたアリサ
彼は自分の望む世界のためにアリサを生贄にする
彼の望む世界はラタルタの世界と酷似しているが
それは違うとアリサは彼を諌める
ヘルフェスが駆けつけてきたところで彼の計画は失敗する
そして彼はラタルタに慰められ司祭として生きなおす決意をするのだった
「いやあ、お前たちが来てから俺のパーティは大活躍だ」
「今日はレッドゴーレムの討伐を祝いして乾杯しようぜえ」
「もう二人とも盛り上がりすぎよ」
「アリサ様あやつらはああ言ってますがどうします?」
「別にどっちでも構わないわ」
私たちはとあるパーティのメンバーに入っている
まあその話は置いといて
私がこの世界でできるのは脳内で”ラタルタの予言”を読むことができる程度だった
ちなみにヘルフェスは召喚できていて人間の姿にもなれている
私が世界によって能力が制限される以上、ヘルフェスにもそれがあるはずだ
どうやら討伐祝いとしてパーティを開くらしい
危険で強いレッドゴーレムを討伐してから大金が入ったのだ
道中
ある人物が街中を通り過ぎた
周りには兵士がいて守りを固めている
「レコーディア様だあ」
街の人々が口々に言う
彼、彼女かな?とにかくその人物は中性的な顔をしていた
「レコーディア様って誰?」
私はパーティの一人に聞く
「マルン教の司祭だよ、そのカリスマ性で人気がある、護衛がつくほどにな」
「ちなみにあの人は男、女?」
「男だよ、まあ女にも見えるけどさ」
私は再度レコーディアに目をやる
すると彼も私に目を合わせてきた
偶然かな?
いや、私を凝視するような目で見ている
「気のせいかしら……」
私は自分を自意識過剰だと諌めた
夜
パーティも終わった頃
私たちは宿屋に訪れた
今日はここで止まる
「ん?」
脳内で”ラタルタの予言”が開いた
”この街の路地裏を歩きなさい、ヘルフェスは連れてこないこと”
そう書いてあった
よりにもよって何故?今?しかも街中の路地裏なんだろう
わざわざ危ない目に会いに行くようなものじゃない
だがこの予言に従うのが私の役目
この予言のおかげでたくさんの世界が救われた
だから私はこの予言に従う
「アリサ様、どちらに行かれるので?」
ヘルフェスが当然のように私に問いかける
「ちょっと外でたそがれたくて」
「それなら私もお供します」
「一人でたそがれたいのよ」
「ですが今は夜、アリサ様のような方が外にでるのは危険です」
「とにかくついてこないでちょうだい!これは命令よ!」
「しかし……」
「命令よ!!!」
「……承知しました」
私はヘルフェスを押しのけるようにして宿を出て行った
街中の路地裏を歩く
するとローブ姿の輩数名が
私に襲いかかってきた
私は鼻に布みたいなものを当てられて意識を失った
俺はアリサ様を尾行していた
アリサ様は付いてこないでと言うけど
俺はアリサ様の忠実なる下僕
やはり心配なのだ
アリサ様が路地裏を歩く
しばらくするとローブ姿の輩数名が
アリサ様を持ち運びどこかに連れて行こうとしていた
ここで助けに入ろうかとも思ったが
一人を足止めに使われて他の輩に逃げられては困るので
辛抱強く跡を追った
「ここは?」
「おはよう、アリサ君」
私は十字架の下の方に縛り付けられていた
「あなたは!?」
昨日見たことがある顔だった
レコーディアだ
辺りは教会のような感じだった
「なぜ私の名前を知っているの!?」
「私は超能力の持ち主でね」
「ほう」
「悪いが君には生贄になってもらうよ」
「理由を聞いてもいいかしら?」
「この世界を幸福で豊かな世界にするためだ」
「そう、それなら私も賛同するわ」
「大変です!!レコーディア様」
一人の青年がレコーディアに話しかける
「どうした?エリクト」
「一人の青年がこちらに向かってきております、下々のものが対処していますが手に負えません」
「そうか、エリクト、相手をしてやれ、私の儀式の時間を稼ぐだけでいい」
「分かりました、幸福で豊かな世界のために」
そう言うと青年は出て行った
レコーディアは十字架の丸いくぼみにはまっている玉(おそらく光水晶)に
手を置き何か念じているような顔をしている
儀式をしているのであろう
しかし、幸福で豊かな世界か
悪くない
私はそう思いつつ彼に目をやるのだった
「皆、皆死んじゃえばいいんだあああああああ!!!」
私はエリクト
エリクト・ウェルジャ
私は幼い頃から戦争に巻き込まれていた
私は生き残るために必死で戦っていた
兵士の死体から銃を取り
それを手にしながら戦場を駆け回る
そんな日常だった
ある日、私はレコーディア様にあった
兵士達が私に銃を向ける
「お前たち銃を降ろしなさい」
「しかし、相手も銃をこちらに向けております」
「いいから降ろしなさい」
兵士たちが銃を降ろす
「レコーディア様?」
レコーディアと呼ばれる男性が私に近づく
「く、くるな!!うつぞ!!!」
「あなたは何のために戦っているの?」
私はしばらく考えた
「戦いをする人がいなくなるために戦っています!!」
「そう、私と同じだね」
「え?」
「良かったら私と共に戦わないか?幸福で豊かな世界のために」
「幸福で豊かな世界、いい言葉ですね」
「でしょう」
こうして私は彼とともに戦うことになった
私は実力もあるため今では彼の側近だ
「お前には分からぬか、レコーディア様の望む世界が!!!」
「私が望む世界はアリサ様が望む世界だ!!!!」
私はとある男と剣を交えていた
しかし、やつは手ごわかった
次第に私は押されていった
「レコーディア様……時間を稼げなくて……申し訳ありませんでした」
私はその場で力尽きた
「もう少しだ!もう少しで私の望む世界が出来る」
「あなたの望む世界について聞いていいかしら」
私はレコーディアに疑問をかける
「先ほども言ったが幸福で豊かな世界だ」
「具体的に聞いても?」
「誰もが苦しむことも無く、悲しむことも無く、生き生きとして幸せに暮らせる世界だ」
「やはり……そうだったのね」
「何がだ?」
「あなたの望む世界は間違っているわ」
「どこがだ?私の望む世界のどこが間違っている!?」
「人間は苦しみ、悲しみ、それを乗り越えたときこそ本当の幸せに達することが出来るのよ」
「貴様もラタルタと同じようなことを言うのだな」
「ラタルタを知っているの?」
「ああ、私は霊と交信も出来るのでな」
レコーディアはそう言うと一つ間を置いた
「私とラタルタ、求める世界は同じなはずだ!!」
「いいえ、違うわ」
「ラタルタは幸福に満たされた平和な世界を望んでいる、私と何が違うんだ?」
「ラタルタは人間皆が自分で幸せを掴むような世界を望んでいる」
「……」
「しかし、あなたの望む世界に人間の意思は反映されていないわ」
「どういうことだ」
「だって苦しむことも悲しむこともないんでしょ?」
「ああ、それの何が悪い!!」
「さっきも言ったけど人間は苦しみ、悲しみ、それを乗り越えたときこそ本当の幸せに達することが出来るのよ、あなたの世界は只の甘えでしかないわ」
「何だと!!」
レコーディアは大層切れていた
「まあいい、私の世界は実現する」
バタン
「アリサ様!!!!」
「何!?」
教会の扉を蹴破って一人の青年が入ってきた
ヘルフェスだ
「ヘルフェス!どうしてここが?」
「すいませんが後を付けてきました」
「そう」
「おのれ!!!」
「レコーディア、あなたの計画は失敗ね」
レコーディアは十字架の光水晶から手を離した
「レコーディア!!覚悟!!!」
「ヘルフェス、やめなさい」
「しかし、彼はあなた様を!!」
「人を殺していい理由なんてないわ」
「……分かりました、アリサ様がそこまで言うのなら」
「なあアリサ・レイニード、私はどうしたらいい?」
レコーディアは私に問いかける
「あなたは司祭なのでしょう、迷える子羊たちに時には優しい言葉を時には厳しい言葉をかけてあげなさい」
「分かった、そうしよう」
どうやらレコーディアは私の言葉に納得してくれたようだ
ピカーン
花のペンダントが光った
「ヘルフェス、次の世界へ行くわよ」
「了解しました、アリサ様」
私は次の世界へ行く
「ラタルタ、私は間違えていたのですね」
「レコーディア……」
「アリサという少女に言いくるめられてしまいましたよ」
「そうか」
「しかし、未だに理解できないのです、人は何故苦しみ悲しむ必要があるのか」
「それを助けるのもお前の仕事だろう」
「それはそうですが」
「アリサの言ったことが答えだ、人は苦しみ悲しみを乗り越えた時こそ本当の幸せにありつける」
「……」
「君は君の職務を全うするがいい」
「……」
「世界を幸福で平和にする方法は一つだけじゃないのだから」
「それもそうですね」
私は改めて司祭として生きる決意を固めた
ーレコーディア編ー
完
アリサとアマリアのパラレルワールドォ!
第16話
街中をアリサとヘルフェスが歩く
アリサの後ろにはヘルフェスがいる
(アリサ様はやはり可愛いなあ)
ヘルフェスアリサを凝視していた
「ヘルフェス」
「なんでしょう?」
「私の前を歩いてちょうだい」
「なぜ?」
「いいから!!」
「……分かりました」
(もう!アマリアといいヘルフェスといい何で私の周りには変態しかいないのよ!!!)
そう思うアリサだった




