続 生徒会長 大野博美のシャオ見守り日記
4月の下旬、シャオさんが 「パォ~♪ 今日は大変でした~!」 と言いながら席に着いた。
また何かあったのだろう。もはや驚くことではないが、一応聞いてみる。
「何があったの?」
すると、目を輝かせながら話し始めた。
「放課後部室に行ったら、琴美先輩が ‘昭和のパソコン’ を持ち込んでたんです~♪」
——また妙なことを始めたようね。
「昭和のパソコン?」
「パォ~♪ PC-8801FR って言ってました~!」
(……なるほど、吉峰さんならやりかねない。)
「でも、普通のパソコンの方が便利でしょう?」
私がそう言うと、シャオさんは笑いながら 「パォ~♪ でも ‘昭和’ を体験するのが文化部の使命ですから~!」 と胸を張った。
——文化部の「使命」私には理解しきれない世界だわ。
どうやら、伊勢野くんが 「現行のパソコンの方が便利だろ」ともっともな意見を述べたらしいが、吉峰さんは 「分かってないなぁ!日ノ本文化部は ‘昭和’ を体感する部活なの!」 と豪語したらしい。
その後、部室ではパソコンと一緒に持ち込んだゲームソフトをみんなで調べる流れになり、「パォ~♪ これ、すごいですね~!」 とノリノリで参加。
(……シャオさん、あなた台湾からの留学生よね?なぜそんなに昭和文化に馴染んでいるの?)
最終的に、三国志のシミュレーションゲームをプレイすることになり、武将をジャンケンで決めた結果——
「パォ~♪ 私は ‘孫策’ でした~!」
「へぇ、悪くないわね。」
「でも、美優ちゃんが ‘袁術’ になったんですけど…」
「袁術?なんでそんな微妙な選択を?」
「あっ、でもですね~、すごいことが起こったんですよ!」
どうやら、花村さんが適当にボタンを押した結果——
袁術(武力80)が呂布(武力100)に一騎打ちで勝利。
「パォ~~~!?!?!? すごいです美優ちゃん!!!」
「……え、それバグじゃない?」
「琴美先輩、めっちゃ怒ってました~! ‘人類への反乱!!こいつはターミネーターよ!!’ って叫びながらパソコンを投げそうになりました~!」
(……吉峰さん、あなた本当に部長として大丈夫なのかしら?)
4月下旬
「パォ~♪ 今日は ‘昭和の給食’ を食べました~!」
「……何それ?」
「琴美先輩が『昭和の給食は文化だ!』って言って、揚げパンとかカレーとか、脱脂粉乳を持ち込んでたんです~♪」
(また文化部の「使命」らしいわね。)
シャオさんの感想を聞くと、以下のような反応だった。
•脱脂粉乳 → 「パォ~♪ 薄いです!でも歴史の味がします~!」
•ミルメーク → 「パォ~♪ 魔法の粉ですね~!」
•カレー → 「パォ~♪ 匂いが ‘文化’ ですね~!」(※褒めてるのかは不明)
•ソフト麺 → 「パォ~!? 麺が暴れました~!」(袋を開けた瞬間飛び出したらしい)
•揚げパン → 「パォ~!これは美味しいです~!!」
結果、部室は 脱脂粉乳の粉と砂糖まみれ になったとか。
「パォ~♪ 文化とは戦いですね~!」
——違うわ、文化はもっと落ち着いているものよ。
5月のあたま
「それで、今日は勇馬の誕生日パーティーがありました~♪」
シャオさんは台湾のお菓子 「パイナップルケーキ」 を持参したらしい。
「パォ~♪ 勇馬、お誕生日おめでとうございます~!」
そして、昭和のゲーム大会が開催。
「パォ~♪ みんな色々なゲームをしました~!私、ボタン連打したら、なぜか高得点出ました~!」
「えっ、それで勝ったの?」
「はい!真平先輩が ‘お前、何の才能持ってんだよ……’ って言ってました~♪」
加藤くんのスピーチでは、
「みんなと過ごす時間そのものが宝物なんだ。」
と、文化部らしい温かい言葉があったらしい。
「パォ~♪ 勇馬、いいこと言いますね~!」
……でも、やっぱり最後は文化部らしくカオスな展開になった。
「パォ~!愛玉ゼリーを間違えて投げちゃいました~!」
……つまり、また文化部の部室が汚れたということね。
翌日
「パォ~!今日は新しいお客さんが来ました~!」
「新しいお客さん?」
「沙羅先輩の妹さんです~!」
「えっ、磯貝さんの妹?」
「はい~!とっても元気な子でした~!」
どうやら、萌香さんは文化部に興味津々で、けん玉を試したり、昭和のカラオケで歌ったりして大暴れしたらしい。
「パォ~♪ ‘お姉ちゃんも一緒に歌って!’ って言ったら、沙羅先輩がめちゃくちゃ嫌がってました~!」
「……で、沙羅さんは?」
「ずっと ‘もう帰れ!’ って言ってました~!」
結局、萌香さんは「また来るね!」と笑顔で去っていったらしい。
「パォ~!また来てほしいです~!」
「……いや、また来たら部室が崩壊するんじゃない?」
結論:今日もシャオさんは元気。そして文化部はカオス。
私は夕飯を食べながら、シャオさんの話を聞いて改めて思った。
日ノ本文化部は、やっぱり平常運転でカオスだった。




