美優の夢占い

　ある日、放課後の日ノ本文化部の部室。

　美優がいつものように、丁寧にお茶の支度をしていた。

「えへへ～♪ 皆さん、どうぞ～。」

テーブルには、美優が用意した温かいお茶と、お茶菓子が並べられる。琴美はさっそく湯呑みを手に取り、一口飲んだ。

「はぁ～、やっぱり ‘文化部のティータイム’ は最高ねぇ！」

「ほんと、美優のお茶は ‘ほっとする味’ だよな。」真平もお茶をすすりながら、リラックスした表情を浮かべる。

　そのとき——

　美優がふと、お茶を注ぐ手を止め、ポツリと呟いた。

「皆さん、夢占いってご存じですか？」

「夢占い？」琴美が眉を上げる。

「パォ～♪ それ、 ‘夢の意味を考える’ やつですね？」シャオが興味津々で身を乗り出した。

「えへへ～♪ そうです～。私、昔から ‘変わった夢’ を見ることが多くて……それを ‘夢占い’ で調べるのが好きなんです～。」

「へぇ、面白そうじゃん！」沙羅が腕を組みながらニヤリと笑った。「じゃあ、美優、私たちの ‘見た夢’ も占ってくれる？」

「えへへ～♪ いいですよ～。」美優が嬉しそうに微笑む。

こうして、『日ノ本文化部・夢占い大会』が急遽開催されることとなった——！

「じゃあ、最初は私ね！」琴美が勢いよく手を挙げた。「この前見た夢、めっちゃ不思議だったのよ！」

「どんな夢？」

「私、昭和の商店街を歩いてるんだけど……どこまで行っても ‘出口’ が見つからないのよ！ で、どんどんお店が昭和レトロになっていって、最後は ‘白黒映画の世界’ みたいになっちゃったの！」

「パォ～♪ なんか ‘昭和時代に閉じ込められた’ みたいですね！」シャオが驚いた声を上げる。

「えへへ～♪ それはですね～、『過去に強く執着している』 という暗示かもしれません～。」美優がほんわかとした笑顔で答える。

「えっ！？ それって ‘私の昭和愛’ を否定してる！？」琴美がショックを受けたように机に突っ伏す。

「でもでも、『懐かしいものを大切にする気持ち』 が強いとも言えますよ～♪ それに、商店街は ‘人とのつながり’ を象徴するので……琴美先輩は ‘文化部のみんなと一緒にいることが幸せ’ ってことかもです～♪」

「……おおお！ じゃあ、やっぱり ‘私は文化部と昭和の申し子’ ってことね！」琴美はあっという間に復活し、ドヤ顔になった。

「お前、単純だな……」真平が呆れながらお茶をすすった。

「じゃあ、次はシャオ！」琴美が勢いよく指をさす。

「パォ～♪ 私の夢、すごく変なんです～！」シャオが目を輝かせながら語り始めた。

「私は ‘台湾の夜市’ にいるんですけど、急に ‘巨大なパンダ’ が現れて、私を追いかけてくるんです～！ で、逃げるんですけど……そのパンダ、めっちゃ ‘バク宙’ とか ‘カンフー’ するんです～！」

「……それ、普通に ‘香港映画’ じゃね？」沙羅がツッコミを入れる。

「えへへ～♪ それはですね～、『自分のルーツを再確認するタイミング』 かもしれません～♪」

「パォ～？ どういうことですか～？」

「パンダは ‘中国文化’ の象徴ですし、夜市は ‘台湾のアイデンティティ’ です～。だからシャオちゃんは ‘日本での生活’ を楽しんでるけど、時々 ‘自分がどこから来たのか’ を思い出してるのかもしれません～♪」

「パォ～！？ なんか深いですね～！」シャオは感動して両手を合わせる。「じゃあ、私は ‘台湾の心’ も ‘日本の文化’ も大事にすればいいんですね～♪」

「えへへ～♪ そうかもしれません～♪」美優が微笑む。

「ねぇ真平あれ話してみれば」沙羅が真平を促す、少しためらうが意を決したように

「俺の夢も占ってくれるのか？」真平が渋々と口を開いた。

「もちろんです～♪ どんな夢ですか～？」

「……なんか、古い中国みたいな場所で、俺は ‘目隠し’ されて洞窟を歩かされるんだよ。」

「パォ～！？ なんか怖そうですね～！」

「で、ある場所に着くと、誰かに ‘言い残すことはないか’ って聞かれるんだ。俺は……『天に恥じることなし』 って言って……その後、首を切られる。」

部室が一瞬、静まり返る。

「えっ……ちょ、待って待って待って！？！？ それ ‘夢’ っていうか ‘前世の記憶’ みたいじゃん！！！」

　琴美が思わず立ち上がる。

　部室の空気が一瞬で張り詰めた。

　真平は腕を組んで、どこか釈然としない表情のまま話を続けた。

「いや、俺もよくわかんねぇんだけど…… ‘あの夢’ はなんかリアルすぎてさ。」

「パォ～！？ それ ‘本当に’ 夢ですか！？ なんだか ‘転生の記憶’ みたいですね～！」 シャオが目を丸くして驚く。

「で、その ‘首を切られる’ 直前の感覚……あんた、それ、どんなだった？」

「……最初は刃の触れた瞬間が冷たい、でも次の瞬間 ‘熱っ！！’ ってなって……俺は首を落とされた自分の身体を見てるんだ。しばらくして目が覚めたんだ。」

「うわぁぁぁ！！ それ、 ‘首斬り’ のリアルな感覚じゃん！！！」 琴美が叫ぶ。

美優はしばらく考えたあと、静かに口を開いた。

「えへへ～♪ それはですね～、『前世の記憶』 かもしれません～♪」

「いやいやいや！？」真平が即座にツッコむ。「なんで ‘前世の記憶’ なんだよ！？」

「えへへ～♪ 『過去の自分が経験したこと』 が夢に出ることもあるんですよ～♪ もしかしたら、真平先輩は ‘歴史的な大人物’ だったかもです～♪」

部室の空気が一気に張り詰めた。

「えっ……」琴美が思わず座り直し、真平を凝視する。

「ねぇ、真平……本当に ‘歴史的な偉人の生まれ変わり’ だったりしない？」

「だから違うって言ってんだろ！！！」真平が全力で否定するが、文化部メンバーの目はすでに「こいつ、もしかして……」という疑念に満ちていた。

「パォ～！？ でも ‘天に恥じることなし’ って、まさに ‘将軍’ の言葉ですね～！」シャオがワクワクした様子で真平を見つめる。

「確かに……そんな ‘決めゼリフ’、普通の高校生が言えるもんじゃないよな？」沙羅が顎に手を当て、考え込む。

「えへへ～♪ これはですね～、『過去の記憶が夢として蘇る現象』 かもしれません～♪」美優が微笑みながら、お茶をゆっくりとすする。

「いやいや！ 俺はただ ‘変な夢’ を見ただけなんだって！！！」真平は頭を抱えるが、琴美がニヤリと笑って口を開いた。

「ちょっと待って……！」

勇馬が突然、パソコンを開いてカタカタと検索を始めた。

「えっと…… ‘天に恥じることなし’ って言った歴史上の人物……いた！！！」

「マジか！？」

　全員が画面を覗き込む。そこに表示されていた名前は——。

『韓信』

「え……！？ 韓信って、あの漢王朝の ‘大将軍’ の！？」沙羅が驚愕する。

「パォ～！？ ‘韓信’ って、あの ‘股をくぐらされた’ ことで有名な人ですね～！」シャオが興奮して両手を握る。

「えへへ～♪ そうですね～。でも韓信さんは ‘のちに天下の大将軍’ になったんですよ～。」美優がほんわかと微笑む。

「ちょ、待て待て待て！ 俺、韓信じゃねーよ！！！」真平が全力で否定する。

「でもさ……」琴美がパソコンをスクロールしながら、面白そうに話し出した。

「韓信って ‘洞窟の奥に連れていかれて処刑’ されたって記録があるんだけど……」

「うわぁぁぁ！！ それ、 ‘真平の夢のシチュエーション’ そのまんまじゃん！！！」

「やめろやめろやめろ！！！ 俺の過去を勝手に ‘歴史的大人物の転生’ にするな！！！」

「でも真平、『股くぐり』 しようとしてたよね？」沙羅がニヤリと笑う。

「ちげぇよ！！ あれは ‘場を収めるため’ だって！！」

「パォ～♪ まさに ‘忍耐の人’ ですね～！」シャオが目を輝かせながら言う。

「……もういい！！ 文化部、俺を ‘転生ネタ’ にするのやめろ！！！」

　真平が全力で抗議するが、琴美はニヤニヤしながらさらに畳みかけた。

「ねぇねぇ、韓信って結局 ‘裏切られて処刑’ されるんだよね？」

「やめろ！！！ 俺の未来を勝手に ‘処刑エンド’ にするな！！！」

「えへへ～♪ でも、 ‘夢占い’ って ‘未来’ を示唆することもあるんですよ～♪」美優が穏やかな声で呟いた。

「えっ……待って、それってどういう意味！？」

「えへへ～♪ それは先輩の行動次第ですね～♪」

「おい！！！ どういう意味だ！！！！」

　こうして、文化部の日常にまた一つ、新たな謎が生まれたのだった——。